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10話

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「え、婚約披露宴ですか?」

「昨日、グリン殿の父上、帝国の王と話あってそういうことになった」

 翌日、お父様から呼ばれて部屋に行ってみると、婚約披露宴について言われた。
 お父様は今回の婚約に反対していたので、正直驚いている。

「ですが、王国での件があるからと反対していませんでした?」

「いや、その件はもう大丈夫になった。詳しいことは今は言えないが、まぁ大丈夫だ」

 昨日の話し合いで、どんな内容を話したのかは分からない。
 けれど、何やらひと段落したのは確かのようだ。

「え、とういうことはお父様は......」

「あぁ。婚約を認めよう。これで、心からエミリーとグリン殿の婚約を喜ぶことか出来る。」

「お父様っ!」

 私とグリンさまの婚約に対して、お父様が出していた課題は解決されたらしい。
 私は、あまりの嬉しさから子供のようにお父様に抱き着いた。

「これこれ、これからは慎みを持たなければいけないぞ」

「ごめんなさいお父様......」

 そう言いながらも、お父様はどこか寂しそうな嬉しそうな顔をしている。

「結婚するからには、親子の間であっても気をつけなければな」

 そう言われて、私は落ち込んだ。
 これまで通りに、お父様に甘えるのは難しくなる。
 結婚するということは、嫁いで行くということだ。

 慎みも持って、どこに出ても恥ずかしくないようにしなければならない。
 そうしなければ、お父様にも迷惑がかかってしまう。

「まぁ、でも誰もいない部屋なら良いだろう」

「まぁ、お父様!」

 私は、またお父様に抱きついた。
 お父様の表情もどこか嬉しそうだ。
 何だかんだ、寂しいのはお互い様だったみたい。


 その後、お父様から聞いた内容をグリンさまに伝えた。

「エミリーさんも聞いていましたか!」
「と言うことは、グリンさまも?」

「ええ、先程父上から聞いたばかりです」
「私もちょうどさっき聞いたばかりですわ」

「これで私たちは婚約することが出来ますね」
「ええ、グリンさま」

 そう言ったグリンさまの表情は、とても嬉しそうだった。
 その顔を見て、私もより心から嬉しい気持ちとなった。

「婚約披露宴は、数月後になるらしいですよ」
「数月後ですか......」

 グリンさまは、帝国の王さまから日程を聞いていたらしい。
 そのことを私に伝えてくれた。

「衣装やその他のことは二人で決めて行きましょう!」
「はい、グリンさま!」

 こうして私たち二人は、数月後に行われる婚約披露宴の準備を進めていくこととなった。
 披露宴で着るドレスの作成から、部屋の装飾を決めていく。

 それだけではなく、各国の要人たちに招待状も送ることになった。
 もちろん、王国のランス王子とその婚約者のサラにも——。
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