サポートキャラを全力拒否!

まる

文字の大きさ
上 下
6 / 7

6

しおりを挟む
お茶をしてひとしきり話した後、姉に尋ねる。

「それはそうとお姉様、今日はどのようなご用事で?まさか私のドレスの件で来られた訳ではないのでしょう?」

「そうそう、ハンナからロゼのドレスの事を聞いてすっかり忘れていたわ」

リーク元は侍女頭のハンナらしい。そういえば普段からあまりドレスを新調しない私がまさかデビューのドレスまで新調しない事を家族より嘆いていた。

「貴女の青薔薇を分けてもらえないかしら」

「構いませんが何株ほど要り用ですの?」

「お義母様がお友人に贈られるのに2株、侯爵家に2株、私の友人に1株、で5株。お願い出来る?」

「それくらいなら、すぐご用意できますわ」

「ありがとうロゼ!社交界でも話題の青薔薇がこうやって手に入る事でお義母様からも感謝されているのよ。私も鼻が高いわ」

どうやら次期侯爵家夫人としての地位確立にも役立っているらしい。

「では、準備してまいりますね」

「ありがとうロゼ」

その後姉は温室から持ってきた青薔薇とともにご機嫌で帰っていった。

さて、思ったより姉に時間を取られてしまったが、今日はドレスに合わせる装飾品を選ぶために戻ってきたのだ。

瞳の色に合わせたエメラルドを使用するか、パールでまとめるか、侍女と一緒に決めかねていると、ハンナがため息をつく。

「お嬢様、デビュタントでドレスばかりか、アクセサリーまで新調されないとは、伯爵家が侮られてしまいますよ」

「見る人が見れば、今では手に入らない特別なものだって分かるわ。ものの価値が分からない人には言わせておけばいいのよ」

「ですが。今年は会場も王城ではありませんし。今年でなければなりませんか?」

「ハンナ。心配してくれてありがとう。でも、そもそも私は人が多いところが苦手だもの。それに今年の会場は大公家で行われるでしょ?有名な『月待草』のお庭を満月の日に見ることが出来るのよ。こんな素晴らしいことはないわ」

毎年、デビュタントは10月の満月の日に行われる。しかし、来年、王族がデビューするとあって、現在王城は大改装中である。そのため、今年のデビュタントは前王弟である大公家がお住まいの離宮で行われるのだ。その離宮の庭には『月待草』という、満月の夜にだけ咲く花が群生している。この『月待草』は根付く条件が難しく、一般にはなかなかお目にかかれない。どころか、満月の夜にしか咲かないため見るチャンスなどこの機会を逃すと一生ないとも言える。
このことからも、絶対に今年デビューしよう!と息巻いて頑張っているのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。 魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。 目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた? 国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」「カクヨム」でも掲載してます。話数が追いつくまでは毎日十話前後更新する予定です。追いついたら一日一話くらいの予定です。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます! ◆ベリーズカフェにも投稿しています

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・ 気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました! 2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・ だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・ 出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!  ♢ ♢ ♢ 所謂、異世界転生ものです。 初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。 内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。 「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。 ※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。

乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも、私男性恐怖症なんですけど…。

三木猫
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公の美鈴。どうせ転生するなら悪役令嬢とかライバルに転生したかったのにっ!!男性が怖い私に乙女ゲームの世界、しかもヒロインってどう言う事よっ!? テンプレ設定から始まる美鈴のヒロイン人生。どうなることやら…? ※本編ストーリー、他キャラルート共に全て完結致しました。  本作を読むにあたり、まず本編をお読みの上で小話をお読み下さい。小話はあくまで日常話なので読まずとも支障はありません。お暇な時にどうぞ。

激レア種族に転生してみた(笑)

小桃
ファンタジー
平凡な女子高生【下御陵 美里】が異世界へ転生する事になった。  せっかく転生するなら勇者?聖女?大賢者?いやいや職種よりも激レア種族を選んでみたいよね!楽しい異世界転生ライフを楽しむぞ〜 【異世界転生 幼女編】  異世界転生を果たしたアリス.フェリシア 。 「えっと…転生先は森!?」  女神のうっかりミスで、家とか家族的な者に囲まれて裕福な生活を送るなんていうテンプレート的な物なんか全く無かった……  生まれたばかり身一つで森に放置……アリスはそんな過酷な状況で転生生活を開始する事になったのだった……アリスは無事に生き残れるのか?

処理中です...