サポートキャラを全力拒否!

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「どうかした?」

拳を握りしめていた私に隣の席のウィリアムが話しかけてきた。

「あっ別にどうもしませんわ」

慌てて手の力を抜いて笑顔を向ける。

「そう?あのさ、同じ伯爵家でせっかく隣の席にもなった事だし、僕のことはウィルって呼んでもらえると嬉しいな」

爽やかな笑顔を向けながらウィリアムが申し出るのを一も二もなく頷く。

「それでは私はロゼとお呼び下さい。あっこちらは」

「リーリナ•モリスです。モリス伯爵家の三女です。どうぞリリィと呼んで下さい」

「宜しく。ロゼ、リリィ。あと敬語も」

「そう••ね。うん。宜しくウィル、リリィ」

「はい!ウィルもロゼも宜しくお願いします。あっ」

赤くなるリリィに私とウィルにも笑顔が浮かぶ。

これよ。これこれ。私が求めていたのはこういうの!

思わずニンマリと淑女らしからぬ笑顔を浮かべそうになった時、年配の男性と一緒に王子と公爵家の2人が入ってきた。

15歳だからか、エンディングスチルより少し幼い攻略者達。

攻略者1人目はこのパリス国第2王子•ライオネル•パリス 金髪青眼、品行方正、学力魔力剣術などパーフェクトのザ•王子様。火、風、聖の3属性持ち。耳にかかるサラサラの金髪を靡かせ目があったものを虜にする。魅惑的な超絶美形。キラキラエフェクトが天然にかかるっている。光属性爽やかな王子キャラだ。

そして攻略者2人目はジルベルト•フォール。フォール公爵家の嫡男。現宰相の息子で時期宰相候補。銀髪に紫眼、今は肩までの髪を片側でゆるく結び流している。水、闇の2属性持ち。こちらも今はまだ幼さがのこるが4年後には王子の右腕となり、類まれな知力を尽くして数々の難題を解決に導く••らしい。
また、超絶美形である事は言わずもがなだが、前世ではお色気王子と言われる程の色気を醸し出し、ある意味猥褻物扱い。普段は厳しいが2人の時は甘くなるツンデレお色気担当だ。

そして、彼らと一緒に入ってきた唯一の令嬢。
彼女はアンジェリーナ•ガンプ。ガンプ公爵家の長女で、名実ともに第2王子の婚約者候補No.1。どのルートでもヒロインやロゼニアを虐めた事で断罪される所謂「悪役令嬢」キャラである。
黒髪に赤眼、火と珍しい雷属性持ち。魔力量は多くはないが、この珍しい雷属性が彼女の婚約者候補No.1の地位を不動にしている。
こちらも超絶美形である。

まあお決まりだが、乙女ゲームの主要キャラは全員超絶美形揃いだ。

ちなみにこのクラスには他に特待生枠3人の内2人が攻略対象者としている。

ヒロインの左隣が平民ながら高位貴族にも匹敵する財力を持つといわれている大商会の跡取り息子エドワード•ノリス。焦げ茶色の髪に黒と青のオッドアイ。普段はチャラいが本当は••という一途真面目キャラ。

そして、ヒロインの前の私が座るはずだった席に座っているもう1人の特待生枠。彼が、お忍びで隣国に留学にきている、隣の大国の第3皇子サハル•シード。褐色の肌に金眼。いずれかのルートをクリアした後に追加される隠れ攻略対象者だ。
正直なところ、金眼は隣の大国の王家にしかいない設定なのでお忍び出来ているのか甚だ疑問なのだが、今のところ話題に上がってはきていない。ちなみに、彼は俺様スパダリキャラである。

ちなみにこの『月と花と秘めた恋』のゲームの全容は至ってシンプルだ。
これから学園生活を送りながら、学園行事や各攻略対象者とのイベントをこなしていく。
学園での成績や行事貢献度、達成度などをポイント加算し、その他各攻略対象者とのイベント等で親密度を上げ、最終的なエンディングを迎える。
ただ、攻略対象者の親密度を同じくらい上げてしまうと最終エンディングに狙っていた攻略対象者以外が現れたりするのが、『秘めた恋』の所以らしい。

ゲームの全容はここまでにして、つまり、Sクラスになったという事は、ヒロイン•アリスはこの4名の攻略対象者のうち誰かと幼い頃に会っているという事になる。

しかし、誰なのかは今後イベントをこなす内にお互いがその事に気付くので今の段階では分からない。

アリスはどのルートに入っているのか。

個人的に関わらなくとも、クラス単位の行事がイベントとなる為、強制的に巻き込まれるものもある。

避けられるものがないか、早く手を打たないと。

王子達が席に着いた後は担任の挨拶と生徒全員の挨拶、授業などについての説明を受けたあと解散となった。




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