上 下
58 / 62
第2章 ハルシュライン編

第57話 ハルシュライン王国との会談

しおりを挟む
アリスはメイドたちに笑われながら着替えをしていた。
この後に、ハルシュライン王国との会談が迫っているのにあろうことが婚約者同士で盛り上がりキスマークだらけになったと思われているのだ。

「アリス様、そのまま行為に及び孕んでいただければ我が国も安泰なのですが」

サラはアリスのお腹をさすりながらアリスの目を見て笑う。

(このメイドたち、確実にバカにしていますね。ここは反撃をしましょうか)

「そうですか。サラたちメイドは毎日、男性にご奉仕しているのですね。誰これかまわずに股を開く経験豊富な淫乱さんなんですね」

この言葉にメイドたちは顔を赤らめ目を泳がせるのだった。
彼女達には男性経験すらなく、すべて噂や人聞き程度の知識なのだ。
アリスを笑っていたにも関わらず自分たちには男性との恋愛経験すらない。

「サラはどのように男性を喜ばせているのですか?」

「うっ……それは……手で」

「手でどのように奉仕するのですか?」

「うぅ、すいません未経験です」

サラは顔を沸騰しそうなほど赤らめてアリスに頭を下げるのだった。
メイドたちをからかうアリスは、興が乗ってきたのか笑顔でメイドたちに止めを刺す。

「自分たちは恋愛経験すらないのに私を嘲笑したのです。罰として甘味を今後は与えません」

この言葉にサラを含めたメイドたちが絶望をする。
彼女たちにとってアリスの“ネットショップ”によって得られる甘味は人生の支えなのだ。
それを取り上げられてしまって生きてはいけない。
そのため、メイドたちはアリスに跪きすり寄るのだ。

「どうですか反省しましたか。今回は許してあげます」

「「「「「寛大なお心遣いありがとうございます」」」」」

メイドたちは跪き頭を垂れるのだった。
彼女たちにとっては、それほどアリスの甘味に依存してしまったのだ。
それはもう狂信的に――




アリスとレイ、ウィルは現在、王城の応接室で会談をしていた。

「それで、女王陛下はどのようにお考えでしょうか」

アルストロメリア王国第三王子であるリーベルトは女王に今回のこの行き違いについて問う。
今回、アルストロメリア王国のヴァンフォール公爵家長男のレイナルドとハルシュライン王国の第一王女エレオノーラの婚約が仕組まれたことであり、これを解消するべきかをリーベルトは問うているのだ。
これに対する返答次第ではアルストロメリア王国とハルシュライン王国との戦争の可能性すらあるのだ。

「今回は互いの国の者が手を合わせ仕組んだこと、婚約は取り消しとしてリーベルト様とエレオノーラとの婚約に修正する予定です」

「そうですか。それはよかったです。エレナ、これで君と一緒になれる」

「はい、リーベルト様。死ぬまで添い遂げましょう」

リーベルトとエレオノーラは抱き合いながら情熱的な口づけをする

(あの二人、こんなところでディープキスとは良い度胸していますね)

「しかし、バルメロア公爵の襲撃の件はどうなさるおつもりですか」

ウィルは鋭い視線で女王を問い詰める。
女王は涼しい顔をしながら紅茶を飲み、口を開く。

「それに関しては公爵家一同死刑の上、関係者も死刑になります。あなた達への賠償は我が国の第二王子エリシアをそちらの国に差し出すことと、100憶Gの賠償金をお支払いいたします。ねぇ、それでいいわよね。あなた」

「うむ、それで良い。私からも謝罪をする。我が国の公爵がアルストロメリア王国の方々に迷惑をかけたことを申し訳なく思う」

王は尊大に謝罪をする。
これは、他国の者に王としての格を見せつけるための演技である。
それに王としての威厳は顔を腫らしている時点でない。
激怒したエレオノーラにやられた傷を治してもすぐに、娘に殴られ続けた結果、治さなければ殴られないという考えに至ったのだ。

「そうですか。次期女王としてそれでいいですかアリス」

ウィルはアリスを見つめて問いかける。

「ええ、いいですよ。今回はこれで決着です」

「あなたは優しいのですね。アリス様。エリシアをよろしくお願いいたします」

「任せてください」

「ふぅ、正式な会談はここまでですね。アリスさん、ドレスを着ているのにキスマークを堂々とつけて会談に来るとはなかなかの度胸ですね、アルストロメリア王国の次期女王は性欲が強いのですね。これなら次代も安泰でしょう」

「これは……違うのです。いろいろあっただけで――」

「いえバカにしたのではありません。実はうちの国もなかなか絶望的な状況でして。王家の男性の証である黒髪に紅い眼をしたものは第一王子と第二王子、第三王子のみなのですが、第一王子は男性しか愛せないため将来が期待できなく、第二王子はついこないだまで女性化の呪いにかかっていて、第三王子は女装趣味で男性しか愛せません。そのため、本来ならばエリシアを残したかったのですが、エリシアも実は男性しか愛せなかったのですが、なぜかアリスさんだけは特別でして、愛し合うことができたわけです。子供ができて成人した際には我が国の王にしたいのですがどうでしょうか」

「シア……本当なの」

「アリス、実は私は男性しか愛せない星の下で産まれたのです。しかし、アリスは特別です。アリスになら滅茶苦茶にされていいと思っています」

アリスはこの言葉に絶句するのだった。
シアが男性しか愛せないというのは初耳であった。

「だから、初めての時に最初以降は受け身だったのですか」

「アリスは責めるのが上手いし、女王様気質な所もあると思いますよ」

「こんなところで何を言っているのですかぁあああ!!!」

アリスのビンタによりシアは吹き飛ぶ。
これを見たシアの家族は顔を赤らめ視線を逸らすのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。 生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。 優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。 男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。 自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。 【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。 たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。

【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。

aika
恋愛
穂花は、彼氏とテーマパークでデート中、大喧嘩になり振られてしまう。 ショックで動けず閉園時間まで一人過ごしていると、テーマパークのシンボルとなっているお城のゲートが開いているのが見えた。 長身のイケメンがゲートをくぐり抜けていくのを目撃し、一目惚れした彼女は後に続いてゲートをくぐる。 そこにはテーマパークの動物達が獣人として暮らす、メルヘンな世界が広がっていた。 穂花は異世界に来てしまったことに気付く。そこは獣人と人間が共存する世界。 平和そのものに見える彼らの世界では、謎の熱病が流行り、「世界の終わり」が始まっていた。 熱病に罹ったものは、人格を失い、自らの能力が暴走してしまうらしい。 穂花は、彼らと交わることによって「暴走した力を無力化できる」というチート能力を持っていて・・・・ 男だらけの異世界で、イケメン達から求められまくるオイシイ物語が、穂花を待っていた。 (※R-18描写あり)

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...