異世界転移した次期女王の仕事は甘い恋愛の日々でした（旧異世界転生は甘い出会いの連続でした）

第2章 ハルシュライン編

第46話 アリスとウィルのすれ違い

アリスはウィルの前で涙を流す。
このあとどうすればいいのか分からないのだ。
だが、どうにかしないとウィルが助からないかもしれない。

そこでアリスは妙案を思いつく。

（“拒絶”で催淫効果を消せばいいのではないでしょうか）

アリスは一心不乱にウィルの肩を掴む。

「催淫効果を“拒絶”します」

アリスが催淫効果を消すと、ウィルの意識が戻っていく。
そして意識の混濁から目覚めたウィルが見たのは裸の自分の前で涙するアリスだった。




アリスたちはハルシュライン王国に無事についたがウィルはその間、一切口を開くこ都はなかった。
アリスが食事にシーサーペントの心臓を持ったことがバレたのだ。
婚約者同士の信頼関係が完全に崩れたのだった。

それにアリスはウィルが最後に行った言葉を忘れない。
『私はあなたを見誤っていました。性欲だけの淫乱な痴女だったのですね』
この言葉を言われアリスは何も言わずに部屋から出ていってしまった。
それ以降、二人の仲は最悪である。
単語1つも声をかけて貰えないのだ。
アリスはこの言葉を聞き、船首から飛び降りようとしたほどだ。
女性騎士たちがなんとか止めて事なきを得たが一歩間違えば大事件である。

（女性騎士さんたちはウィルが女性の扱いが下手なのが悪いと言っていましたが、性愛だけを求めた私がわるいのでしょう）

アリスはハルシュライン王国の港を眺めながら涙するのだった。




ウィルは後悔してしまった、アリスが自分の裸を見ているのを知り、つい暴言を吐いてしまったのだ。

しかし、アリスを傷つけてしまったことに変わりがないと彼はアルストロメリア王国に帰ったら副騎士団長を辞退することを心に決めていた。
女性の扱いが下手なだけでなく、アリスの心を弄び、あのような行為をさせてしまったのだ。

（こんなクズ男には騎士になる資格はないですね）

ウィルはアリスに近づくことを辞めた、自分のせいで彼女が傷つくのがたまらなく恐ろしいのだ。

それだけが理由でないアリスに裸を見られた熱が消えないのだ。
アリスに身体を触られた時の手の柔らかさが忘れられないのだ。
だから、アリスを見るとつい傷つけてしまうかもしれない。
そんな思いからもアリスを避けてしまったのだ。

アリスが船首からまた飛び降りようとしてことを知り、それから酒を浴びるように飲み、すべてを忘れよともした。しかし、アリスが苦しんでいると知ると胸が締め付けられ酒を全て吐き出した。そんな空しい1日を過ごすとハルシュライン王国についてしまった。

「あぁ、私はバカですね。死ねば許されるでしょうか」

ウィルは短剣を首筋に押し当てる。

「それは止めてください。ウィル」

そこに現れたのは第三王子のリーベルトだった。