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第1話 ヤンデレはいりません
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水野空は恐怖していた。
今日も彼女が家に来るからだ。
逃げたい衝動に駆られるが逃げればただではすまないだろう。
(なんで俺がこんな目に)
彼は彼女から逃げるために宇都宮市の高校から東京の大学へと、担任と両親にだけ教えて引っ越してきた。
なのに、入学式の日に彼女が笑いながら手を振っていたのだ。
地獄のような高校生活から解放されて青春と甘酸っぱい恋愛ができると浮かれていた気持ちが一瞬で冷めていった。
そう彼女から逃げられないのだ。
蒼井実花からは――
いつものように合鍵を渡していないのに部屋の鍵が開けられる。
この時点で、空は恐怖で冷や汗が止まらない。
「空、今日も一緒だね♪」
「あぁ、そうだな」
緊張で上手く舌が回らずに適当な返しをしてしまう。
「ねぇ、私たち幼馴染で愛し合っているんだよね」
先ほどまでの明るい口調は消え、空に向ける声は冷え切っており彼の恐怖を倍増させる。
「勘弁しくれ、俺たちは付き合っていないただの幼馴染だ」
「なんでそういう事言うの?」
目が笑っていないだけでなく、手にはボールペンが握られていた。
これには空も恐怖で震えが止まらない。
(クソが。この女、どうにかできないのか!)
空は心の中では悪態をつくが実花に対して何も抵抗できない。
「もう一度、確認するけど私たち付き合っているよね?」
「ええと――」
ボールペンが空の眼球に向けられる。
これには恐怖を感じ震えが止まらない空。
「ねぇ、私のこと好きだよね」
「はい、好きです」
感情を殺し機械的に答える空。
その目には恐怖で涙が浮かんでいた。
「それなら、付き合えるよね」
これには答えに行き詰まるが、ボールペンが少しずつ近づいてくる恐怖に耐えかねて折れる。
「付き合います。ですから眼球は勘弁してください」
「うん、それならよろしい♡」
こうして空の意志に関係なく二人は付き合うこととなった。
楽しそうに実花が空に口づけをしようとする。
しかし、急に爆発音がしたと思った瞬間、二人の意識は途絶えたのだった。
今日も彼女が家に来るからだ。
逃げたい衝動に駆られるが逃げればただではすまないだろう。
(なんで俺がこんな目に)
彼は彼女から逃げるために宇都宮市の高校から東京の大学へと、担任と両親にだけ教えて引っ越してきた。
なのに、入学式の日に彼女が笑いながら手を振っていたのだ。
地獄のような高校生活から解放されて青春と甘酸っぱい恋愛ができると浮かれていた気持ちが一瞬で冷めていった。
そう彼女から逃げられないのだ。
蒼井実花からは――
いつものように合鍵を渡していないのに部屋の鍵が開けられる。
この時点で、空は恐怖で冷や汗が止まらない。
「空、今日も一緒だね♪」
「あぁ、そうだな」
緊張で上手く舌が回らずに適当な返しをしてしまう。
「ねぇ、私たち幼馴染で愛し合っているんだよね」
先ほどまでの明るい口調は消え、空に向ける声は冷え切っており彼の恐怖を倍増させる。
「勘弁しくれ、俺たちは付き合っていないただの幼馴染だ」
「なんでそういう事言うの?」
目が笑っていないだけでなく、手にはボールペンが握られていた。
これには空も恐怖で震えが止まらない。
(クソが。この女、どうにかできないのか!)
空は心の中では悪態をつくが実花に対して何も抵抗できない。
「もう一度、確認するけど私たち付き合っているよね?」
「ええと――」
ボールペンが空の眼球に向けられる。
これには恐怖を感じ震えが止まらない空。
「ねぇ、私のこと好きだよね」
「はい、好きです」
感情を殺し機械的に答える空。
その目には恐怖で涙が浮かんでいた。
「それなら、付き合えるよね」
これには答えに行き詰まるが、ボールペンが少しずつ近づいてくる恐怖に耐えかねて折れる。
「付き合います。ですから眼球は勘弁してください」
「うん、それならよろしい♡」
こうして空の意志に関係なく二人は付き合うこととなった。
楽しそうに実花が空に口づけをしようとする。
しかし、急に爆発音がしたと思った瞬間、二人の意識は途絶えたのだった。
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