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そんなに好きなら~

ルフェルウスとエドワード

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ルー様視点です。


✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼



「エドワード!  そろそろいいだろう?  いい加減に頷いてくれ」
「……」
「お前は私を何年待たせていると思っているのだ?」

 私は今、目の前のエドワードに何度目かの打診をしている所だった。
 その打診とは、もちろん……私の側近になって欲しい、だ。
 もはや、これは何度目だろうか。

「一度目は、まだ学生だからという理由で断って来たな?」
「そうですね」
「その次は、大好きなアリーチェ嬢が学生なのでまだまだそばに居たい。側近の地位についてしまったら忙しくて会えなくなる、という理由だったな?」
「可愛いアリーチェとの時間は大事なので」

 照れる様子もなく真面目な顔で答えるエドワード。
 ……本っっ当に、ブレないな。
 私のリスティへの想いも相当重い事は自覚しているが……こいつのアリーチェ嬢への想いは相当だ。

「そのアリーチェ嬢が卒業してもお前は首を縦に振らなかったではないか!」
「可愛い可愛いアリーチェの念願の婚約者とはなれましたが、変な女が現れましたので」
「くっ……」

(あの狂気の女か……)

 その後のゴタゴタは記憶に新しい。
 急にエドワードからの連絡が途絶えたと思ったら、なんと言っても記憶喪失だからな。あれには本当に驚かされたものだ。

「ならば、もういいだろう?  事件が終わった後もお前は、“ようやくアリーチェ嬢と本物の恋人兼婚約者になれた。この幸せを満喫したい”とか言ってのらりくらりと躱して来たが」
「いえ、殿下。待って下さい。俺は、俺は今!  ようやく!」
「知ってるとも!  次はようやく念願叶ってアリーチェ嬢と結婚出来た!  妻が可愛い!  常に愛でていたい!  とか言うのだろう!?」

 私の言葉に、エドワードが驚いた顔をする。

「さすが殿下ですね……!  全くもってその通りです。俺の妻になったアリーチェは最高に可愛いので、片時も離れていたくありません」

 そう言ってウンウンと頷くエドワード。
 誰に聞いても分かるわ!!
 かなりの鈍さを発揮する私のリスティにだって分かるだろうよ!!

 ───と、怒鳴ってやりたい。

(本当にエドワードこいつは……)

 私とリスティの仲が拗れた時も、助けてくれたのかと思いきや頭の中はアリーチェ嬢の事ばかりだった男。
 だからこそ、逆に信頼出来るのだがな。

「エドワード。私はずっと前からお前に決めている」
「殿下……」

 お、この反応……少しは絆されてくれたか?
 と、期待するも──……
 エドワードの顔が歪む。

「そんな誤解を招きそうな発言は止めてください……俺はアリーチェ一筋ですので」
「……っっ!  私もリスティ一筋だぁーー!」
「まぁ、知っています。殿下は今でも変わらずリスティ様にデレデレしていますからね」
「……」

 こいつにだけは言われたくない!
 心からそう思った。

「当たり前だ!  リスティはいつだって美しく可愛く……」
「はいはい、知っていますから。惚気は結構です」
「……」

 ジロっとエドワードの事を睨む。
 すると、エドワードはふぅ……とため息を一つ吐くと私の目を見て言った。

「分かりましたよ、お引き受けします」
「!」
「これまでお断りしてきた分も、精一杯、仕えさせて頂きます」
「そうか!  よろしく頼む」

 よし!  ようやくエドワードが頷いたぞ!

「ですが、夜は愛妻の待つ家へ即帰らせて頂きますので、よろしくお願いします」
「……」

 仕事が途中でも容赦なく帰りそうだ。
 私だって愛するリスティを愛でていたいに決まっているだろう!

 はっ!  そう言えばリスティ……

「ん?  どうかしましたか?」
「いや、リスティなんだが……お前達の結婚式の後から様子がおかしくてな」
「リスティ様が?」
「あぁ。だが本人は、大丈夫!  私はどこもおかしくないと言い張るのだ」

 医師を呼ぼうと言ってもルー様は大袈裟ね、と言うんだ。
 実際、おかしいと思っているのは私だけなのか、リスティ付きの者達もそうですかね?  と揃って首を傾げる始末。

(絶対様子がおかしいと思っているのだが……)

「よし!  エドワード。私の側近の初仕事としてリスティに医師を呼ぶことを説得しろ!」
「……それは側近の仕事ですかね?」
「冗談だ」
「……絶対本気だったとしか思えない……」
「ん?  何か言ったか?」
「いえ……」

 エドワードは首を静かに横に振りながら何でもないと言う。
 まぁ、いい。
 これで、ようやくエドワードは私の側近になってくれたのだ!  多くは望むまい。

(仕事が楽になればリスティとのイチャイチャする時間も増えるだろう……)

 そんな頭の中が愛しのリスティの事でいっぱいになっていた私は、エドワードが意味深な顔で考え込んでいた事には気付かなかった。





 ───数日後。


「か、か、懐妊!?」

 エドワードから発せられた聞きなれないその言葉に私の耳がおかしくなったのかと思った。

「はい。リスティ様は妊娠しておられます」
「リスティが……私の子を?」
「そうですよ?  おめでとうございます、殿下」
「……!」

(リスティが!)

「リスティの所に行ってくる!!  何処にいる?  部屋か?」
「自室で休まれています」
「分かった!  後は頼むぞ、エドワード!!」

 私はエドワードに任せて愛しのリスティの元に向かった。



────


「リスティ!!」
「ルー様!?  え?  公務は?」

 突然部屋に飛び込んで来た私にリスティが驚いている。
 そんなビックリした顔も……超絶可愛い。
 横で医師が渋い顔をしているが多少は許して欲しい。

「リスティ……エドワードから聞いた」
「あ、はい……そうなんです。私、ルー様との子供を授かっていたみたいなんです……」

 そう言ってはにかむリスティが可愛くて可愛いくて天使にしか見えない。
 私はそっとリスティに近付きそっと抱きしめる。

「……ありがとう、リスティ」
「元気な子供……産みますね」
「あぁ……」

 チュッと私はリスティの額に口付ける。

「ルー様……」
「リスティ!」

 チュッ……もう一度、私は愛しのリスティに口付けた。



 この時、部屋にいた医師によると、一瞬で部屋の空気が甘くなり大変だった……
 こうなる事が分かっていたので渋い顔をした、と後に言っていた。


 また、リスティに医師の診察を受けるよう説得したのはエドワード。
 冗談だったのに、私の話を聞いて思う事があったらしい。

 エドワード曰く──……

「殿下のリスティ様に関する事は、些細な事でも決してバカには出来ませんからね」

 との事だ。

(やはり、エドワードを側近にして良かった)


 私は心からそう思ったのだった。


 だが、エドワードがようやく私の側近を引き受けてくれた理由の裏には、
「エド様、そろそろ逃げないで下さい!」
 というアリーチェ嬢の助言があった事をこの時の私は知らない───




   
✼✼✼✼✼✼✼✼✼

ずっと書きたかった話です。ルー&エドの攻防(?)

そして、ようやく子供の話が……
最初の嬉しい報告はこのカップルでした!
さて、次は……

  
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