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一章 仮面の少年
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「おいおい、随分と不細工なツラしてんなァ?」
セキチクはそう言って、僕の背中からナイフを引き抜く。僕は前に倒れ込みそうになるのを堪えて、彼を押し退けて走り出す。また、殺されるのはごめんだ。
「アハハ。鬼ごっこかァ?」
突然の衝撃によりよろけた彼は笑みを浮かべる。痛くて切なくて、もう何も分からない。それでも、火事場の馬鹿力というべきか、僕は路地裏を全速力で駆け抜ける。
「おい、待てよ」
背後から笑い声が聞こえてきた。彼が追ってきているらしい。それはそうだ、いくら路地裏が入り組んでいるとはいえ僕は血の足跡を残している。どれだけ走り抜けようと、彼から逃れることはできない。
「逃げられるわけねェよなァ」
なぜ気づかなかったのだろうか。考えることが難しい。脳に血が巡っていないためか。
「アハハ、テメェ逃げる気あったのかァ?」
最終的に行き止まりに立ち合った。僕はあまりに簡単に追い詰められていた。
「さァて、もう鬼ごっこは終わりかよォ」
ナイフを片手に持った少年は、ふらふらと接近してくる。殺せると確信した彼は余裕の表情を浮かべていた。ゆっくりと近づいてくるその様から、侮りが見える。
僕は意を決して右ポケットに手を突っ込んで、瓶を開ける。そして、薬を一錠取り出して思い切り口に放り込んだ。
「何してんだァ?ってお前…」
その錠剤の正体に察した彼は僕の腕目掛けて飛んでくる。
しかし、間に合わない。僕は薬を飲み込む。瞬間、視界が黒く染まっていく。
僕は死んでいくようだった。その後、僕は腕を切られたのだろうか。痛みはない。死者に痛覚は存在しないのだから当たり前だ。彼の慌てふためく声を聞いた。そんなに自分で殺したかったのかと、嫌悪する。
ざまぁみやがれと僕が心の中で嘲笑った最期、彼はこう口にした。
「もう、二度と来るんじゃねェ」
彼の表情から、悲しみの感情が読み取れた。
そして、僕はなんの痛みも感じることなく、精神世界での死を迎えた。
◆
白い空間で目を覚ました僕はゆっくりと顔を上げる。ここは僕の病室だ。ポケットの中を確認すれば、瓶の中の錠剤は1粒無くなっていた。
ゆっくりとベッドから出て、彼女のことを思い出す。
精神世界で死んだ少女"ウツツ"。彼女の名前や好きなもの、本当のところは何一つわからなかったが、僕はあの歪な世界で誰かと共にいることで確かに救われていた。なのに。
僕は痛みなく死んだ。身体的には無問題だ。しかし、心には大きな傷が残っている。
それでも、僕はシュウ君を助けるためにまた向かわなくてはならない。
「っと。その前に」
僕は新しく得た情報を先生に伝えに行くことにした。
病室の扉を開けると、丁度ガスマスクをした看護師さんが廊下を周回していたため、僕は彼女に声をかける。
「看護師さん、ユウヤ先生に話したい事があるんです。診察室まで案内してもらっても良いですか?」
彼女は僕の方へと振り返り「分かりました」と一言。そのまま、診察室へと進んでいく。僕は彼女に着いていった。
◇
現の夢病院は、迷宮のように入り組んでいる。何も知らない人間が一人で歩き回れば、目的地には辿り着く事は出来ず、気づくと元いた場所に戻ってしまうらしい。そのため、現在、先生に会うため診察室へ行きたい僕はガスマスクをした看護師の後ろをついて歩いている。
彼女は無口でただ足を進めており、気まずさを感じた僕は口を開いた。
「あの、看護師さん」
彼女はゆっくりと振り返る。返事をする事はなかったが、聞く姿勢は持ってくれているようだ。ただ歩みを進める足を止める事はない事から、あまり僕と長話をするつもりはないのだろう。
「一つ気になる事があるんですけど、いいですか?」
「なんですか」
彼女は、ため息混じりの声で返事をした。正直、無視されてしまうと思っていたため少し意外だ。それでも好意的な反応ではない。
やはり聞がない方がいいかと思ったが好奇心には抗えない。僕は聞く。
「看護師さんは、生きていますか」
随分と前に、自称悪魔の薬剤師から聞いた話だ。この病院の患者は、既に亡くなった人間が多く入院している。その話を初めて聞いた時、彼女の妄言だと感じた。しかし、ユウヤ先生も似たような事を言っていた。
未だに信じる事が出来ないが、2人が嘘をついているとも思えなくなっていた。
そのため、聞きたかったのだ。彼女"ガスマスクをした看護師"が生きているのか、既に亡くなっているのか。
そして、僕がそう尋ねたとき、かつかつと足を進めていた看護師の足が止まった。
数秒の静寂。
その時、すぐに僕は自分の発言に後悔した。これは聞くべきではなかった。
「あ、いや、答えなくても大丈夫です。すいません、変なことを聞いて」
そう言って誤魔化そうとしたが、彼女の足は止まったまま。ガスマスクで表情はわからないが、彼女から読み取れる感情は怒りそのものだった。
マスクの内側からくぐもった声が聞こえる。
「そんなの、どちらでも良いじゃないですか」
その声はいつも感じる冷たさと共に、悲壮感を帯びていた。「あ…」と僕が音を発するのと同時に、彼女は前を向いてゆっくりと歩み始める。
僕と彼女は診察室まで、それ以上会話を交わす事はなかった。
ある扉の前で彼女は足を止める。扉の上には第一診察室と書かれている。そして、扉をコンコンと叩いた。
「先生、香睡千夜様がいらっしゃいました」
ゆっくりと開く扉の先にはうすら笑みを浮かべた医者が立っていた。
「やぁ、待っていたよ」
そう言って、ユウヤ先生はカルテを片手に席につく。僕も続いて、彼の斜め前にある椅子に座る。
「それで、何かあったかな」
彼は僕に向かって声をかける。そうだ、ここに来たのは精神世界での出来事を話すためだ。僕は口を開く。
「シュウ君の世界に行ってきました」
僕は事細かに精神世界で起きたことを話す。精神世界で出会った少女のこと、シュウ君の記憶のこと、少女を殺したセキチクのこと。
先生はうんうんと頷き、僕の話を聞いてくれた。
正直、全てを話したくはなかった。僕の落ち度で人が死んでしまったのだ。それを彼に懺悔して救われようとしているみたいで気分が悪い。
でも、話さなければならない。もしかしたら、先生は僕が今どうすべきかの答えを知っているのではないか、そう考えてしまったから。
僕が話し終えると、先生は「なるほど」と言って考えるそぶりを見せる。
「チヨ君、まずはこのような役目を追わせてしまっていることを本当に申し訳ないと思う」
彼はそう口にした。慈愛に満ちた眼に吸い込まれそうになる。僕は一言「大丈夫です」と返した。
「そうか、ありがとう。では、今回、シュウ君の精神世界に入って分かったことを話そうか」
先生は話の内容を本題へと移す。僕は頷き、彼の言葉に耳を傾ける。僕のすべきことを知るために。
「まず、君があった"ウツツ"という少女についてだけれど。たしかに私も名前は気になるが、君が考えていることと同じく、私も彼女は君と同じ異能を使っているという見解だ」
「僕と同じ異能…眠ると誰かの精神世界に入る能力ですか」
「そう、その通り。そして、君は死ぬと病院に戻ってくる。だから、彼女は精神世界で死んでも元の世界に戻ってきているかもしれない」
先生の発言を聞いて、僕は歓喜する。彼女は死んでいないかもしれないのだ。
「じゃあ…!」と口を開いた僕を先生は止めた。
「ただ、君の能力は稀なもので、前例も少ない。だから、情報がないんだ。死んで元に戻るのは君だけかもしれないし、そもそも、同じ異能と確定したわけじゃないしね」
それを聞き、僕は俯く。
彼の意見は最もだった。彼女の生死は現在不明のままだ。それを生きていると錯覚してしまった。それに精神世界で彼女が死んでしまったのは事実だ。
僕は罪から逃れるように彼女の生を望んでいた。そして、自分のために彼女が死んでいないと願っていたことに気づき、怒りを覚えた。僕のせいで明らかにあのとき彼女は死んだ。死ぬ痛みを僕はよく知っている。生きていようと死んでいようと、彼女はあの痛みを経験していたはずだ。
僕が自責の念にかられているなか、先生は「ただ」と続ける。
「可能性は0じゃないよ。彼女が生きているのか死んでいるのか、私達にはわからない。まるでシュレディンガーの猫のようだけれど、どちらか分からないのなら自分の望む方を願うべきだと私は思うよ」
その言葉に救われた気になった。僕は一言「ありがとうございます」と頭を下げた。
この、彼女に生きていてほしいという気持ちは嘘偽りなく本心だった。それは罪から逃れるための思考だけではない。
先生の言葉を聞いて、少なからずあるかもしれない偽善を自覚した上で、僕は彼女の生を願うことにした。
「じゃあ、次の話だ」
「はい」と言って僕は頷く。
ここから先は僕のメンタルケアのためにする話ではない。シュウ君についての話だ。そう考えて気を引き締める。
「君の見た、シュウ君の記憶について。それは、まだ彼が私には話していない、もしくは覚えていない内容なんだ」
先生の話を聞いて、あの一面が赤く染まった世界のことを思い出す。花畑で頭の中に流れ込んできたシュウ君の記憶。
目の前で、誰かが死んだ記憶だ。それをシュウ君が覚えていないのならどんなに良いだろうか。
それでも、彼が思い出さなければいけない、もしくは向き合うべき記憶なのだと思う。それを覗き見てしまったことを申し訳なく感じるが、知ることができて良かった。
「そうだね。一応、シュウ君にはチヨ君がシュウ君の病気を治すためにそのきっかけとなることをシュウ君の中から探していること、それを伝えているんだ。だから、君が彼の過去を知ることは了承してくれている。だからそこは安心してほしい」
僕の思考を読んだかのように、先生はそんなことを話した。そして、先生は話を続ける。
「そして、その記憶は彼にとって重要なものであることは確かだ。まだ本人が口にしていないことを考えると、直接伝えるのは避けたいけれどね。忘れてしまっているという可能性もある。それでも、まぁ、シュウ君の過去を知ることは人格の統合のきっかけになると思うんだ」
先生の意見に僕も賛同した。
シュウ君の記憶を知ることが出来れば死んだ今でも、シュウ君がなぜもう1人の人格に蝕まれているのかがわかるだろう。
それを知るためにも僕のやらなければいけないことはよく分かっていた。
「僕は、また精神世界に行ってシュウ君の過去を知らなきゃいけない」
その一言を聞いた先生は頷く。そして、ゆっくりと口を開いた。
「チヨ君、無理だけはしないでね。人のためを思って自分がダメになってしまっては本末転倒だ。何かあったらすぐに伝えてほしい」
「わかりました」と言う僕を見て、先生は優しい笑みを浮かべた。
「じゃあ、最後に」
先生は話題を変える。今回、シュウ君の世界で得た最後の情報についてだ。
「セキチクがシュウ君の世界にいることは分かっていたことだ。そして、彼は君を殺そうとしていた。だから、彼には気をつけてほしい。ただ、最後の一言が気になってね」
セキチクが僕の意識が途絶える間際に呟いた言葉。二度と来るな。それは、もちろんシュウ君の世界に来るな、ということだろう。
「何かおかしいですかね。だって、僕がシュウ君を探っていけば最終的に、セキチクは消えることになる。彼はそれを望んでいないでしょう。だからこそ、そう呟いたんじゃないですか」
僕は先生に率直な意見を述べた。先生は「そうだね」と僕の発言に納得しているような様子だ。
その後、少し考えるそぶりを見せて先生は口を開く。
「セキチクは哀惜の表情を浮かべていたんだろう?私達の認識の彼はそんな表情を浮かべるだろうか。なにか、彼について認識の違いがあるのかもしれない」
先生の考えすぎのように思えたが、確かにセキチクのあの顔は、シュウ君の浮かべていた怒りや悲しみの表情によく似ていた。彼を助けたいと思ったあの顔に。
だが、セキチクはシュウ君を苦しめる敵だ。僕の中でその思考が消えてなくなることはないだろう。
先生の言ったことは一応、心に留めておくが、どうあれ僕の目標は彼を消してしまうことだ。
そのように考えていると、先生が僕の顔を覗き込む。
「チヨ君、なにかあったかい?」
先生の表情から、感情を読み取ることはできないが、心配してくれているのだと思う。
僕が「大丈夫です」と返すと、「そうか」と一言返ってきた。
それから、先生はカルテに何か書き込んで「よし」と呟くと僕の方へと向き直る。
「シュウ君について、情報共有ありがとう。私はこれから別のクライアントと話をしなくてはいけない。何か気になることはあるかい?」
「いえ、今のところは大丈夫です」
「分かったよ。じゃあ、ガスマスクの看護師が外にいると思うから、病室まで送ってもらって」
僕は先生に一礼して、診察室から出て行く。ウツツのこと、シュウ君のこと、そしてセキチクのこと。思考が巡り頭がパンクしそうになる。
僕は一度深呼吸をして、ガスマスクをした看護師について歩き、病室へと戻っていく。
◇
僕は自室の硬いベッドに寝転がり物思いに耽る。そのまま目を瞑って3秒ほど数えれば、悩みの種を取り除くための行動を起こせる。
しかし、それがどうしてもできなかった。眠りにつけばあの地に辿り着く。それは、ウツツの生死の答え合わせが行われるということだ。
僕はあと一歩を踏み出せず、気づけば病室の外に出ていた。
何か目的があった訳ではない。病棟から出ればここに戻って来れないかもしれない、そんなことは知っていたが足は止まらない。
階段を降り、迷宮へと足を踏み込む。右へ左へ彷徨う僕は、ある部屋の前に辿り着く。扉は金庫のようで厳重に閉じられているという雰囲気だ。
扉に近づき、隣にある装置が付随していることに気づく。それはパスワードを入力する機械のようで、扉を開けるには何かを入力しなければならないようだ。
病院内にこのような場所があることに疑問を覚えたが、ここはよくわからないことだらけだ。
「んー…」
魔が刺した僕は適当に単語を入力する。当然、扉は開かない。大きな警告音に驚きあたりを見渡す。よかった、誰も来ないと安心した直後、背後から声がかかった。
「何かお探しですか?香睡様」
その声に「うわっ」と盛大に驚き、僕は尻餅をついた。そこに立っていたのは僕を見下すガスマスクの看護師さん。
僕はゆっくりと立ち上がり、何か悪いことをしていたような気まずさで彼女から目を逸らした。沈黙する僕を彼女はマスク越しから見つめている。
「あまり勝手に病棟の外に出られては困ります。何かあればナースコールをしてください。戻りますよ」
そう言って彼女は生を感じられない冷たい手で僕の手を強く引いた。逆らう理由はない。僕は彼女に連れられて病室へと引き戻される。
聞いてはいけないとは思った。そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる。しかし僕は問う。
「あの金庫みたいな場所、中には何があるんですか?」
彼女は足を止め、ゆっくりと振り返った。見えない表情で感情のない無機質な声でこう言った。
「まだ、知る必要のないことです」
さぁ、行きましょう。と彼女は続けて、また僕の手を引き歩き出す。僕は、彼女に従って歩く。
先生のところへ向かっていたときのこともあり、気まずさがあった。
「あの、さっきはすいませんでした」
「さっきというのは?」
「あの、死んでるか生きてるかとか、聞いちゃって…」
僕は居心地の悪さから頬を掻きながらそう謝罪した。それに対する彼女の反応はあっさりとしたものだった。
「あぁ。気にしないでください」
普段と変わらない淡白な声でこう言う。僕のことを気遣っているといった様子は一切うかがえない。しかし、それが僕にとっては救いだった。
それから、病室へ戻る道中、僕は彼女とこんな話をした。
「ガスマスクの看護師さん」
「なんですか?」
「もしも、確認しなくちゃいけないけれど、目をそらしてしまいたいことがあったら、どうしますか」
僕は今やらなくてはならないことを知っていながら、彼女にそんなことを聞いた。鼓舞されることを望んでいたのかもしれない。
しかし、望んだ言葉が返ってくることはない。
「そうですね、私なら逃げます」
彼女は即答した。
「目をそらします。なかったことにします。知らなかったことにします」
そう、つらつらと口にする。彼女の言葉は僕を勇気づけるものではなかった。僕が眠りにつかないという、逃げ道を提示されてしまった。
「えっと…後悔とか、しちゃうんじゃないでしょうか?」
「後悔したくないのであれば、目を逸らさなければいいのではないですか」
やけに刺々しい返しに口を紡ぐ。
僕は彼女の腕の方へと視線を逸らす。そこには、傷があった。褐色のシミのように見えるそれは、痛々しく白い肌を侵食していた。
「あの、その傷…」
僕が彼女のそれについて触れようとした時、彼女は「つきましたよ」と割り込んだ。前を見ると、そこには病室の扉があった。
あの謎の場所へ歩いた時間よりもあまりにも早く辿り着いた。そこに少し疑問はあった。それに、また、不快な思いをさせてしまっても、彼女の傷のことも僕は知りたかった。しかし、「では」と言って歩き出したガスマスクの看護師さんを僕は止めることができなかった。
◇
情けのない顔で自分の病室203号室へと戻る。いつでも眠れる気はするのだが、どうしても目を瞑ってじっとしていられない。
先生は言っていた。無理をしてはいけない、人のためを思って自分がダメになってしまっては本末転倒だ、と。確かにそうだ。
ガスマスクの看護師さんは言っていた。目をそらしてしまいたいことがあったら逃げてしまえばいい、と。その判断は間違いじゃない。
「でも、後悔はしたくないな」
シュレディンガーの猫という話がある。あまり詳しくは覚えていないが、猫の入った箱があり、その中身を覗かなければ猫が生きているか死んでいるかわからない。それは生と死が同時に存在しているみたいな話だった気がする。しかし、僕はそうとは思えない。生きている猫か死んでいる猫のどちらかが、必ず箱の中に存在しているはずだ。
それを確認しないでどちらの可能性もあると、諦めて目を逸らしても、僕は楽にはなれないだろう。
僕は、逃げてはいけない。彼女、ウツツが生きているのか死んでいるのか、それを確認しなければ。
意を決して目を瞑る。心の中で3、2、1と数えれば、気づけばそこは夢の世界。
僕は彼女を探して、歩み始めた。
セキチクはそう言って、僕の背中からナイフを引き抜く。僕は前に倒れ込みそうになるのを堪えて、彼を押し退けて走り出す。また、殺されるのはごめんだ。
「アハハ。鬼ごっこかァ?」
突然の衝撃によりよろけた彼は笑みを浮かべる。痛くて切なくて、もう何も分からない。それでも、火事場の馬鹿力というべきか、僕は路地裏を全速力で駆け抜ける。
「おい、待てよ」
背後から笑い声が聞こえてきた。彼が追ってきているらしい。それはそうだ、いくら路地裏が入り組んでいるとはいえ僕は血の足跡を残している。どれだけ走り抜けようと、彼から逃れることはできない。
「逃げられるわけねェよなァ」
なぜ気づかなかったのだろうか。考えることが難しい。脳に血が巡っていないためか。
「アハハ、テメェ逃げる気あったのかァ?」
最終的に行き止まりに立ち合った。僕はあまりに簡単に追い詰められていた。
「さァて、もう鬼ごっこは終わりかよォ」
ナイフを片手に持った少年は、ふらふらと接近してくる。殺せると確信した彼は余裕の表情を浮かべていた。ゆっくりと近づいてくるその様から、侮りが見える。
僕は意を決して右ポケットに手を突っ込んで、瓶を開ける。そして、薬を一錠取り出して思い切り口に放り込んだ。
「何してんだァ?ってお前…」
その錠剤の正体に察した彼は僕の腕目掛けて飛んでくる。
しかし、間に合わない。僕は薬を飲み込む。瞬間、視界が黒く染まっていく。
僕は死んでいくようだった。その後、僕は腕を切られたのだろうか。痛みはない。死者に痛覚は存在しないのだから当たり前だ。彼の慌てふためく声を聞いた。そんなに自分で殺したかったのかと、嫌悪する。
ざまぁみやがれと僕が心の中で嘲笑った最期、彼はこう口にした。
「もう、二度と来るんじゃねェ」
彼の表情から、悲しみの感情が読み取れた。
そして、僕はなんの痛みも感じることなく、精神世界での死を迎えた。
◆
白い空間で目を覚ました僕はゆっくりと顔を上げる。ここは僕の病室だ。ポケットの中を確認すれば、瓶の中の錠剤は1粒無くなっていた。
ゆっくりとベッドから出て、彼女のことを思い出す。
精神世界で死んだ少女"ウツツ"。彼女の名前や好きなもの、本当のところは何一つわからなかったが、僕はあの歪な世界で誰かと共にいることで確かに救われていた。なのに。
僕は痛みなく死んだ。身体的には無問題だ。しかし、心には大きな傷が残っている。
それでも、僕はシュウ君を助けるためにまた向かわなくてはならない。
「っと。その前に」
僕は新しく得た情報を先生に伝えに行くことにした。
病室の扉を開けると、丁度ガスマスクをした看護師さんが廊下を周回していたため、僕は彼女に声をかける。
「看護師さん、ユウヤ先生に話したい事があるんです。診察室まで案内してもらっても良いですか?」
彼女は僕の方へと振り返り「分かりました」と一言。そのまま、診察室へと進んでいく。僕は彼女に着いていった。
◇
現の夢病院は、迷宮のように入り組んでいる。何も知らない人間が一人で歩き回れば、目的地には辿り着く事は出来ず、気づくと元いた場所に戻ってしまうらしい。そのため、現在、先生に会うため診察室へ行きたい僕はガスマスクをした看護師の後ろをついて歩いている。
彼女は無口でただ足を進めており、気まずさを感じた僕は口を開いた。
「あの、看護師さん」
彼女はゆっくりと振り返る。返事をする事はなかったが、聞く姿勢は持ってくれているようだ。ただ歩みを進める足を止める事はない事から、あまり僕と長話をするつもりはないのだろう。
「一つ気になる事があるんですけど、いいですか?」
「なんですか」
彼女は、ため息混じりの声で返事をした。正直、無視されてしまうと思っていたため少し意外だ。それでも好意的な反応ではない。
やはり聞がない方がいいかと思ったが好奇心には抗えない。僕は聞く。
「看護師さんは、生きていますか」
随分と前に、自称悪魔の薬剤師から聞いた話だ。この病院の患者は、既に亡くなった人間が多く入院している。その話を初めて聞いた時、彼女の妄言だと感じた。しかし、ユウヤ先生も似たような事を言っていた。
未だに信じる事が出来ないが、2人が嘘をついているとも思えなくなっていた。
そのため、聞きたかったのだ。彼女"ガスマスクをした看護師"が生きているのか、既に亡くなっているのか。
そして、僕がそう尋ねたとき、かつかつと足を進めていた看護師の足が止まった。
数秒の静寂。
その時、すぐに僕は自分の発言に後悔した。これは聞くべきではなかった。
「あ、いや、答えなくても大丈夫です。すいません、変なことを聞いて」
そう言って誤魔化そうとしたが、彼女の足は止まったまま。ガスマスクで表情はわからないが、彼女から読み取れる感情は怒りそのものだった。
マスクの内側からくぐもった声が聞こえる。
「そんなの、どちらでも良いじゃないですか」
その声はいつも感じる冷たさと共に、悲壮感を帯びていた。「あ…」と僕が音を発するのと同時に、彼女は前を向いてゆっくりと歩み始める。
僕と彼女は診察室まで、それ以上会話を交わす事はなかった。
ある扉の前で彼女は足を止める。扉の上には第一診察室と書かれている。そして、扉をコンコンと叩いた。
「先生、香睡千夜様がいらっしゃいました」
ゆっくりと開く扉の先にはうすら笑みを浮かべた医者が立っていた。
「やぁ、待っていたよ」
そう言って、ユウヤ先生はカルテを片手に席につく。僕も続いて、彼の斜め前にある椅子に座る。
「それで、何かあったかな」
彼は僕に向かって声をかける。そうだ、ここに来たのは精神世界での出来事を話すためだ。僕は口を開く。
「シュウ君の世界に行ってきました」
僕は事細かに精神世界で起きたことを話す。精神世界で出会った少女のこと、シュウ君の記憶のこと、少女を殺したセキチクのこと。
先生はうんうんと頷き、僕の話を聞いてくれた。
正直、全てを話したくはなかった。僕の落ち度で人が死んでしまったのだ。それを彼に懺悔して救われようとしているみたいで気分が悪い。
でも、話さなければならない。もしかしたら、先生は僕が今どうすべきかの答えを知っているのではないか、そう考えてしまったから。
僕が話し終えると、先生は「なるほど」と言って考えるそぶりを見せる。
「チヨ君、まずはこのような役目を追わせてしまっていることを本当に申し訳ないと思う」
彼はそう口にした。慈愛に満ちた眼に吸い込まれそうになる。僕は一言「大丈夫です」と返した。
「そうか、ありがとう。では、今回、シュウ君の精神世界に入って分かったことを話そうか」
先生は話の内容を本題へと移す。僕は頷き、彼の言葉に耳を傾ける。僕のすべきことを知るために。
「まず、君があった"ウツツ"という少女についてだけれど。たしかに私も名前は気になるが、君が考えていることと同じく、私も彼女は君と同じ異能を使っているという見解だ」
「僕と同じ異能…眠ると誰かの精神世界に入る能力ですか」
「そう、その通り。そして、君は死ぬと病院に戻ってくる。だから、彼女は精神世界で死んでも元の世界に戻ってきているかもしれない」
先生の発言を聞いて、僕は歓喜する。彼女は死んでいないかもしれないのだ。
「じゃあ…!」と口を開いた僕を先生は止めた。
「ただ、君の能力は稀なもので、前例も少ない。だから、情報がないんだ。死んで元に戻るのは君だけかもしれないし、そもそも、同じ異能と確定したわけじゃないしね」
それを聞き、僕は俯く。
彼の意見は最もだった。彼女の生死は現在不明のままだ。それを生きていると錯覚してしまった。それに精神世界で彼女が死んでしまったのは事実だ。
僕は罪から逃れるように彼女の生を望んでいた。そして、自分のために彼女が死んでいないと願っていたことに気づき、怒りを覚えた。僕のせいで明らかにあのとき彼女は死んだ。死ぬ痛みを僕はよく知っている。生きていようと死んでいようと、彼女はあの痛みを経験していたはずだ。
僕が自責の念にかられているなか、先生は「ただ」と続ける。
「可能性は0じゃないよ。彼女が生きているのか死んでいるのか、私達にはわからない。まるでシュレディンガーの猫のようだけれど、どちらか分からないのなら自分の望む方を願うべきだと私は思うよ」
その言葉に救われた気になった。僕は一言「ありがとうございます」と頭を下げた。
この、彼女に生きていてほしいという気持ちは嘘偽りなく本心だった。それは罪から逃れるための思考だけではない。
先生の言葉を聞いて、少なからずあるかもしれない偽善を自覚した上で、僕は彼女の生を願うことにした。
「じゃあ、次の話だ」
「はい」と言って僕は頷く。
ここから先は僕のメンタルケアのためにする話ではない。シュウ君についての話だ。そう考えて気を引き締める。
「君の見た、シュウ君の記憶について。それは、まだ彼が私には話していない、もしくは覚えていない内容なんだ」
先生の話を聞いて、あの一面が赤く染まった世界のことを思い出す。花畑で頭の中に流れ込んできたシュウ君の記憶。
目の前で、誰かが死んだ記憶だ。それをシュウ君が覚えていないのならどんなに良いだろうか。
それでも、彼が思い出さなければいけない、もしくは向き合うべき記憶なのだと思う。それを覗き見てしまったことを申し訳なく感じるが、知ることができて良かった。
「そうだね。一応、シュウ君にはチヨ君がシュウ君の病気を治すためにそのきっかけとなることをシュウ君の中から探していること、それを伝えているんだ。だから、君が彼の過去を知ることは了承してくれている。だからそこは安心してほしい」
僕の思考を読んだかのように、先生はそんなことを話した。そして、先生は話を続ける。
「そして、その記憶は彼にとって重要なものであることは確かだ。まだ本人が口にしていないことを考えると、直接伝えるのは避けたいけれどね。忘れてしまっているという可能性もある。それでも、まぁ、シュウ君の過去を知ることは人格の統合のきっかけになると思うんだ」
先生の意見に僕も賛同した。
シュウ君の記憶を知ることが出来れば死んだ今でも、シュウ君がなぜもう1人の人格に蝕まれているのかがわかるだろう。
それを知るためにも僕のやらなければいけないことはよく分かっていた。
「僕は、また精神世界に行ってシュウ君の過去を知らなきゃいけない」
その一言を聞いた先生は頷く。そして、ゆっくりと口を開いた。
「チヨ君、無理だけはしないでね。人のためを思って自分がダメになってしまっては本末転倒だ。何かあったらすぐに伝えてほしい」
「わかりました」と言う僕を見て、先生は優しい笑みを浮かべた。
「じゃあ、最後に」
先生は話題を変える。今回、シュウ君の世界で得た最後の情報についてだ。
「セキチクがシュウ君の世界にいることは分かっていたことだ。そして、彼は君を殺そうとしていた。だから、彼には気をつけてほしい。ただ、最後の一言が気になってね」
セキチクが僕の意識が途絶える間際に呟いた言葉。二度と来るな。それは、もちろんシュウ君の世界に来るな、ということだろう。
「何かおかしいですかね。だって、僕がシュウ君を探っていけば最終的に、セキチクは消えることになる。彼はそれを望んでいないでしょう。だからこそ、そう呟いたんじゃないですか」
僕は先生に率直な意見を述べた。先生は「そうだね」と僕の発言に納得しているような様子だ。
その後、少し考えるそぶりを見せて先生は口を開く。
「セキチクは哀惜の表情を浮かべていたんだろう?私達の認識の彼はそんな表情を浮かべるだろうか。なにか、彼について認識の違いがあるのかもしれない」
先生の考えすぎのように思えたが、確かにセキチクのあの顔は、シュウ君の浮かべていた怒りや悲しみの表情によく似ていた。彼を助けたいと思ったあの顔に。
だが、セキチクはシュウ君を苦しめる敵だ。僕の中でその思考が消えてなくなることはないだろう。
先生の言ったことは一応、心に留めておくが、どうあれ僕の目標は彼を消してしまうことだ。
そのように考えていると、先生が僕の顔を覗き込む。
「チヨ君、なにかあったかい?」
先生の表情から、感情を読み取ることはできないが、心配してくれているのだと思う。
僕が「大丈夫です」と返すと、「そうか」と一言返ってきた。
それから、先生はカルテに何か書き込んで「よし」と呟くと僕の方へと向き直る。
「シュウ君について、情報共有ありがとう。私はこれから別のクライアントと話をしなくてはいけない。何か気になることはあるかい?」
「いえ、今のところは大丈夫です」
「分かったよ。じゃあ、ガスマスクの看護師が外にいると思うから、病室まで送ってもらって」
僕は先生に一礼して、診察室から出て行く。ウツツのこと、シュウ君のこと、そしてセキチクのこと。思考が巡り頭がパンクしそうになる。
僕は一度深呼吸をして、ガスマスクをした看護師について歩き、病室へと戻っていく。
◇
僕は自室の硬いベッドに寝転がり物思いに耽る。そのまま目を瞑って3秒ほど数えれば、悩みの種を取り除くための行動を起こせる。
しかし、それがどうしてもできなかった。眠りにつけばあの地に辿り着く。それは、ウツツの生死の答え合わせが行われるということだ。
僕はあと一歩を踏み出せず、気づけば病室の外に出ていた。
何か目的があった訳ではない。病棟から出ればここに戻って来れないかもしれない、そんなことは知っていたが足は止まらない。
階段を降り、迷宮へと足を踏み込む。右へ左へ彷徨う僕は、ある部屋の前に辿り着く。扉は金庫のようで厳重に閉じられているという雰囲気だ。
扉に近づき、隣にある装置が付随していることに気づく。それはパスワードを入力する機械のようで、扉を開けるには何かを入力しなければならないようだ。
病院内にこのような場所があることに疑問を覚えたが、ここはよくわからないことだらけだ。
「んー…」
魔が刺した僕は適当に単語を入力する。当然、扉は開かない。大きな警告音に驚きあたりを見渡す。よかった、誰も来ないと安心した直後、背後から声がかかった。
「何かお探しですか?香睡様」
その声に「うわっ」と盛大に驚き、僕は尻餅をついた。そこに立っていたのは僕を見下すガスマスクの看護師さん。
僕はゆっくりと立ち上がり、何か悪いことをしていたような気まずさで彼女から目を逸らした。沈黙する僕を彼女はマスク越しから見つめている。
「あまり勝手に病棟の外に出られては困ります。何かあればナースコールをしてください。戻りますよ」
そう言って彼女は生を感じられない冷たい手で僕の手を強く引いた。逆らう理由はない。僕は彼女に連れられて病室へと引き戻される。
聞いてはいけないとは思った。そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる。しかし僕は問う。
「あの金庫みたいな場所、中には何があるんですか?」
彼女は足を止め、ゆっくりと振り返った。見えない表情で感情のない無機質な声でこう言った。
「まだ、知る必要のないことです」
さぁ、行きましょう。と彼女は続けて、また僕の手を引き歩き出す。僕は、彼女に従って歩く。
先生のところへ向かっていたときのこともあり、気まずさがあった。
「あの、さっきはすいませんでした」
「さっきというのは?」
「あの、死んでるか生きてるかとか、聞いちゃって…」
僕は居心地の悪さから頬を掻きながらそう謝罪した。それに対する彼女の反応はあっさりとしたものだった。
「あぁ。気にしないでください」
普段と変わらない淡白な声でこう言う。僕のことを気遣っているといった様子は一切うかがえない。しかし、それが僕にとっては救いだった。
それから、病室へ戻る道中、僕は彼女とこんな話をした。
「ガスマスクの看護師さん」
「なんですか?」
「もしも、確認しなくちゃいけないけれど、目をそらしてしまいたいことがあったら、どうしますか」
僕は今やらなくてはならないことを知っていながら、彼女にそんなことを聞いた。鼓舞されることを望んでいたのかもしれない。
しかし、望んだ言葉が返ってくることはない。
「そうですね、私なら逃げます」
彼女は即答した。
「目をそらします。なかったことにします。知らなかったことにします」
そう、つらつらと口にする。彼女の言葉は僕を勇気づけるものではなかった。僕が眠りにつかないという、逃げ道を提示されてしまった。
「えっと…後悔とか、しちゃうんじゃないでしょうか?」
「後悔したくないのであれば、目を逸らさなければいいのではないですか」
やけに刺々しい返しに口を紡ぐ。
僕は彼女の腕の方へと視線を逸らす。そこには、傷があった。褐色のシミのように見えるそれは、痛々しく白い肌を侵食していた。
「あの、その傷…」
僕が彼女のそれについて触れようとした時、彼女は「つきましたよ」と割り込んだ。前を見ると、そこには病室の扉があった。
あの謎の場所へ歩いた時間よりもあまりにも早く辿り着いた。そこに少し疑問はあった。それに、また、不快な思いをさせてしまっても、彼女の傷のことも僕は知りたかった。しかし、「では」と言って歩き出したガスマスクの看護師さんを僕は止めることができなかった。
◇
情けのない顔で自分の病室203号室へと戻る。いつでも眠れる気はするのだが、どうしても目を瞑ってじっとしていられない。
先生は言っていた。無理をしてはいけない、人のためを思って自分がダメになってしまっては本末転倒だ、と。確かにそうだ。
ガスマスクの看護師さんは言っていた。目をそらしてしまいたいことがあったら逃げてしまえばいい、と。その判断は間違いじゃない。
「でも、後悔はしたくないな」
シュレディンガーの猫という話がある。あまり詳しくは覚えていないが、猫の入った箱があり、その中身を覗かなければ猫が生きているか死んでいるかわからない。それは生と死が同時に存在しているみたいな話だった気がする。しかし、僕はそうとは思えない。生きている猫か死んでいる猫のどちらかが、必ず箱の中に存在しているはずだ。
それを確認しないでどちらの可能性もあると、諦めて目を逸らしても、僕は楽にはなれないだろう。
僕は、逃げてはいけない。彼女、ウツツが生きているのか死んでいるのか、それを確認しなければ。
意を決して目を瞑る。心の中で3、2、1と数えれば、気づけばそこは夢の世界。
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