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後日談
普通ではいられない ☆
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狭い部屋に水音が響く。
「ニ、ナ……」
苦しげに名前を呼ぶオスカーに誘われて、這わせていた舌を引っ込めると、根本まで一気に咥え込んだ。
硬く大きいオスカーの物に吸い付きながら頭を動かすと、口の中で更に大きくなるのが分かった。
気持ちよくなってくれていると思うと、私のあそこからは勝手に蜜が溢れた。
「ニナのも、見たい……」
オスカーの言葉に、音をたてて口からオスカーの物を外す。
硬く脈打つそれを手で撫でながら、後ろ向きに跨ると、ゆっくりと身体を沈めた。
顔を後ろに向けると、グチャグチャになったあそこがオスカーの顔のすぐそばにあって、恥ずかしさとこれからもたらされるであろう快感への期待で、切ないほどにひくついてしまう。
「オスカー……」
自分でも驚くぐらい甘えた声でオスカーを呼ぶ。
早く、気持ちよくなりたい。
「ニナ、欲しいんだろ?自分で、慰めるんだ」
「いじ、わる……」
物欲し気にオスカーを見ても、太腿やお尻を撫で擦るだけで、肝心な所は触ってくれない。
どうしようか考えながら、オスカーの物を指先でぐりぐりと弄る。
「くっ……ニ、ナ……口で……」
余裕の無いオスカーの声に、思わずしゃぶりついてしまう。
オスカーにもっと気持ち良くなって欲しい。
私も、気持ち良くなりたい。
躊躇いながらも、私の手は足の付け根に向かい、濡れる割れ目をなぞる。
「んっ……んっ……」
鼻から声が漏れ、腰が勝手に揺れる。
「んんっ、んっ……」
オスカーの指がクリトリスを掠める様に撫でると、もっと大きな刺激が欲しくて堪らなくなった。
必死にオスカーの肉棒にしゃぶりつきながら、私は自身の指を中に埋めていく。
早くオスカーが欲しくて、私は見せつけるように指と腰を激しく動かした。
「ああっ……オス、カー……」
オスカーの物を舐め上げながら、ねだるように名前を呼ぶ。
「ニナ……」
オスカーは私の手を退かすと、クリトリスを強く押しながら、舌を割れ目に這わせた。
「ああっ……あっ……んっ、ふっ……オスカーっ……」
他者から、オスカーからもたらされる刺激に脳が痺れそうだ。
オスカーの指がグチュグチュと中をかき回すと、堪らなくオスカーが欲しくなって、私は目の前にある脈打つそれを夢中でしゃぶった。
「でね、カイルったら、口でしてくれなんて言うのよ?娼婦じゃあるまいし、蹴り上げてやったわ」
ロティさんは持っていたパンをバシッと叩いて潰すと口に放り込んだ。
「ゴフッ」
スープを飲んでいた私は、ロティさんの衝撃的な発言にむせ返ってしまった。
「もー、大丈夫?年を取ると嚥下機能は低下するのよ?今からそんなんでどうするの」
ロティさんは呆れた顔で水を差し出してくれた。
「ゴホッ、ゴホッ、すみま、せん……」
ロティさんとはすっかり仲良くなり、時間を合わせて食堂で一緒に食事をとる仲になっていた。
いつもは日当たりのいい席で食べるけど、今日はカイルさんと喧嘩をしたから相談に乗ってと言われ、人気のない壁際の席を選んでいた。
「そうしたら、カイルが今時みんなしゃぶって貰ってるって言うから、あれ?そうなのかなって話を聞いたら、相手はみんな娼婦で、ふざけんなってグーで殴ってやったの」
「ソ、ソウデスカ……」
私はロティさんの顔が見られず、ウロウロと視線を彷徨わせる。
「でも、最近はカリスマ娼婦が教える口淫講座も密かな人気だとか食い下がるから、ちょっと他の人の話も聞いて考えてみようかなって」
何だかんだ言ってロティさんはカイルさんに甘い。
「で、ニナはどうなの?その、口でした事、ある?」
「う……私は……」
口でする以上の事をしてしまっている。
フローラさんからやり方は教えて貰っていたし、良く話に出てきていたから、普通の事だと思っていた。
実は私も変態なんだろうか。
「あるのね?」
興味津々と言った顔で身を乗り出すロティさんに、冷や汗が出る。
「それは……」
「それは?」
「……一度持ち帰って検討致します!」
「何を検討するのよ」
私はロティさんを残して逃走した。
「ニナが相談なんて珍しいわね」
私は副団長室で、副団長と向かい合って座っている。
「あの、今じゃなくてもいいんですが……」
休憩時間が終わる間際に、副団長に相談しに行くと、そのままお茶を出されてしまった。
すぐ隣の部屋ではお姉様方が仕事をしていると思うと、言うのもはばかれる様な相談だ。
「何を言っているの?美少女の悩みを解決する事は、全てにおいて優先されるのよ」
「……」
こうなった副団長は誰も止められない。サッと聞いてサッと仕事に戻ろう。
「副団長は前々代の勇者と、その、ご関係があったんですよね?」
前々代の勇者の研究日誌に出てきたイザベラさんは副団長の事だと思うけど、その関係は分からない。
前々代は団長のお父さんぐらいの年齢のはずで、団長より若そうな副団長とは年が開き過ぎている。
どんな関係だったんだろう。
「ご関係も何も、私は前々代の勇者の妻よ」
親子以上の年の差に、私は驚いて目を見開く。
「……凄い年の差ですね」
「五歳ぐらいなら普通だと思うけど」
「え?副団長って、おいくつ……いえ、なんでもないです」
迫力のあるニッコリとした笑顔に、私は慌てて首を振った。
確実に団長より歳上なんだろうけど、全くそんな風には見えない。
本当かどうかは分からないけど『美のために外法に手を出した魔女』の意味が分かった気がした。
「それで?勇者との『ご関係』を聞いてくると言う事は、セックスについての相談なのかしら?」
「セッ……ええと、まあ、そうなんですけど……」
いきなり核心を突かれて少し怯んでしまったけど、時間もない事だしサッと言ってしまおう。
「副団長は口で、されてましたか?」
研究日誌に書かれていた内容から、多分しているんだろうけど、一応確認しておく。
「オーラルセックスの事?なあに?やり方が知りたいの?」
副団長の返しは切れ味抜群だ。
フローラさんとの会話で、こう言う話は慣れているとはいえ、仕事中なのにと思うともの凄く落ち着かない。
「やり方は大丈夫なんですけど、大丈夫な事が大丈夫じゃないと言いますか……」
私の性的知識は、娼婦のフローラさんから聞いた話と、オスカーとしているそれから得た物しかない。
ロティさんの話で気がついたけど、どちらも普通とは言い難い気がする。
「あの、私は普通のやり方がどんなものか分からなくて、分からないまま色々していると、その、どんどん変態になっていってしまうんじゃないかなと……副団長はそんな風に悩んだ事はないですか?」
「無いわね」
見事にバッサリだ。
「でも、気持ちは分かるわ。勇者は本当に、性欲の塊のど変態ですものね」
「は、はあ……」
やっぱりオスカーもそうなんだろうか。
今の所はそこまででは無いように思うけど、これから悪化していくんだろうか。
「そうね、普通のセックスが知りたいなら、ケニスの所に行って『私にセックスを教えて』って頼んでみたら?」
確かに、ケニスさんは早漏でヘタクソとは言われていたけど、変態では無さそうだ。
普通がどんな風なのか聞くには丁度いいのかもしれない。
「ちょっと、名案かも、みたいな顔は止めて頂戴。冗談よ、冗談。やっちゃ駄目よ」
流石に男の人に聞くのは恥ずかしいから、実際に聞くつもりは無かったけど、副団長は必死に止めてきた。
「そんなの、人に見せる訳でも無いんだから、ニナが嫌じゃなければ何だってやればいいのよ」
副団長は優しく微笑んでいる。
「そして嫌だったら嫌と言えばいいの。私も、裸で目隠しして木に縛り付けたまま後ろから犯したいと言われた時は、流石に断ったわ」
大きな声では言えない様な話のはずなのに、副団長には躊躇いが一切ない。
「だって、変なところを虫に刺されたら嫌じゃない」
そこですか。
「だから、家の柱で我慢してもらったわ」
やったんですか。
「いい、思い出よ」
悠然と笑う副団長を見ていると、何だかそれでいいような気がしてきた。
これが年の功……と思ったけど、口には出さないでおいた。
「ロティさん、私の持てる知識を全てお伝えします」
私はロティさんを誘って、城下町の酒場に来ていた。
内容が内容なので、お城の食堂で話すのははばかれたし、流石にちょっと恥ずかしい。
丁度明日は休日と言うことで、お酒の力を借りる事にした。
「いいですか、いきなり咥えなくてもいいんです。まずは舌先で軽く舐めながら、相手の顔を見上げるんです。そうすれば勝手に興奮してくれるから、大きくする手間が省けます」
やり方が分かれば、ロティさんもやるかやらないかの判断が付きやすいだろう。
決めるのは、ロティさんだ。
「えー、でも汚くない?」
「そこは気にしてはいけません。兎に角、搾り取る事だけ考えるんです」
「搾り取る……」
「牛の搾乳みたいな物です」
フローラさんの教えが正しいかは分からないけど、オスカーは気持ち良さそうにしていたから、間違ってはいないだろう。
「焦らすように舐めたら先っぽを咥えて、尿道口を……」
「え、やだ……」
「そして、ここでちょっときつめに吸い付いて、手で玉を……」
「使うのは口だけじゃないのね……」
「上顎のギザギザした所に擦り付けるように……」
「なるほど……」
「いやー、今日は勉強になったわー。何か、出来そうな気がしてきた!何秒で昇天させられるか、男と女の勝負ね!」
お店を出ると、酔っ払ったロティさんは、歩きながら見えない敵にパンチを繰り出していた。
「パンチはだめですよ、ロティさん」
「うふふー。待ってなさいよカイル!ニナ直伝の凄技テクで、他の子は目に入らないようにしてやるわ!」
今の動きは目潰しなんだろうか。
私はそんな技は教えていない。
「楽しいわねー、ニナ。また一緒に飲みに来ましょうね。戦果報告するわ!」
ニコニコと笑うロティさんに、私も釣られて笑顔になる。
「はい!ロティさん」
ロティさんともっと仲良くなれた気がして、とても嬉しかった。
「ニナ、カイルって近衛兵、知ってるか?」
ロティさんとお酒を飲みに行ってしばらく経った頃、オスカーと私の部屋でゆっくり過ごしていたら、爽やかな笑顔で聞かれた。
「ええと、カイルさんの恋人のロティさんとは、友達?なのかな?」
非常に爽やかな笑顔を向けられているのに、悪寒がするのはなぜだろう。
「この間、カイルに礼を言われた」
オスカーは椅子から立ち上がるとベッドに座り、私も隣に座るよう手で促した。
「オスカーこそ、知り合いだったの?」
なんだか危険な気がして少し離れて座ったら、あっと言う間に距離を詰められ、腰を抱かれた。
「いや、全く」
実際には王宮まで案内してもらっているんだけど、オスカーは覚えていないようだ。
「なんでも、カイルの恋人がニナに口での仕方を教えて貰ったらしくて、最高の夜だったって」
ロティさん、勝ったんですね。
「あんな初心そうな子にあそこまで仕込むなんて、流石魔王だなって言われた」
オスカーが最近魔王と呼ばれている事は知っていた。
私の前では絶対に言おうとしなかったのに、オスカーの口から魔王の名が出て少し驚いた。
「俺が教えたのは自慰だけだって訂正した方が良かったか?」
耳元で囁かれて、カッと熱が上がる。
「だ、だめ。だめだからね」
私が泣きそうになってオスカーの顔を見上げると、オスカーは楽しそうに笑って、私を押し倒した。
「そうだな。ニナがエロいって事を知っているのは、俺だけでいい」
鼻先で止まってそれだけ言うと、オスカーは深い口づけをしてきた。
「んんっ……んっ……」
「大好きだ、ニナ」
「私、も……」
キスだけであっと言う間に蕩けてしまう。
「もっと、俺だけのニナを見せてくれ」
オスカーはそう言うと、スカートの中に手を滑り込ませた。
「あっ、んっ……」
下着の中に入り込んだオスカーの指が割れ目をなぞると、もう何も考えられなくなってしまう。
「んんっ、いっぱい……見て、あああっ……」
「だから、エロ過ぎだろ」
スカートを捲り足を広げると、怒ったような口調のオスカーにクリトリスを捏ねられ、軽くイッてしまった。
「最高だ、ニナ」
「ああっ……んっ、ああっ……」
耳元で囁きながら指を中に入れられ、腰が勝手に動いてしまう。
「あっ、あっ……気持ち、いいっ……」
促されるまま、指で攻め立てられながら自ら服を脱ぐ。
「んっ、ああっ……ああっ……」
晒された胸を舐め上げられると、もう普通とか変態とかどうでもよくて、ただひたすら気持ち良くなりたくて堪らなくなった。
「あんっ……オス、カー……」
「ニナ……」
熱に浮かされた眼差しで見つめ合うと、私はオスカーに抱きついて、耳元で囁いた。
「壊れるぐらい……いっぱい、して……」
「だから、なっ……」
オスカーは怒ったようにそう言うと、乱暴に服を脱いで硬いものを私に押し付けてきた。
「なんでそんなにエロいんだっ……」
奥まで一気に貫かれて、全身を快感が走り抜ける。
「ああっ、あっ……オスカーがっ……ああんっ……」
激しい突き上げに、最後までちゃんと言えない。
オスカーに言われるぐらいだから、私は元々変態だったのかもしれない。
オスカーが魔王で良かった。
私の思いは伝える暇もなく、気を失うまで追い立てられてしまった。
「ニ、ナ……」
苦しげに名前を呼ぶオスカーに誘われて、這わせていた舌を引っ込めると、根本まで一気に咥え込んだ。
硬く大きいオスカーの物に吸い付きながら頭を動かすと、口の中で更に大きくなるのが分かった。
気持ちよくなってくれていると思うと、私のあそこからは勝手に蜜が溢れた。
「ニナのも、見たい……」
オスカーの言葉に、音をたてて口からオスカーの物を外す。
硬く脈打つそれを手で撫でながら、後ろ向きに跨ると、ゆっくりと身体を沈めた。
顔を後ろに向けると、グチャグチャになったあそこがオスカーの顔のすぐそばにあって、恥ずかしさとこれからもたらされるであろう快感への期待で、切ないほどにひくついてしまう。
「オスカー……」
自分でも驚くぐらい甘えた声でオスカーを呼ぶ。
早く、気持ちよくなりたい。
「ニナ、欲しいんだろ?自分で、慰めるんだ」
「いじ、わる……」
物欲し気にオスカーを見ても、太腿やお尻を撫で擦るだけで、肝心な所は触ってくれない。
どうしようか考えながら、オスカーの物を指先でぐりぐりと弄る。
「くっ……ニ、ナ……口で……」
余裕の無いオスカーの声に、思わずしゃぶりついてしまう。
オスカーにもっと気持ち良くなって欲しい。
私も、気持ち良くなりたい。
躊躇いながらも、私の手は足の付け根に向かい、濡れる割れ目をなぞる。
「んっ……んっ……」
鼻から声が漏れ、腰が勝手に揺れる。
「んんっ、んっ……」
オスカーの指がクリトリスを掠める様に撫でると、もっと大きな刺激が欲しくて堪らなくなった。
必死にオスカーの肉棒にしゃぶりつきながら、私は自身の指を中に埋めていく。
早くオスカーが欲しくて、私は見せつけるように指と腰を激しく動かした。
「ああっ……オス、カー……」
オスカーの物を舐め上げながら、ねだるように名前を呼ぶ。
「ニナ……」
オスカーは私の手を退かすと、クリトリスを強く押しながら、舌を割れ目に這わせた。
「ああっ……あっ……んっ、ふっ……オスカーっ……」
他者から、オスカーからもたらされる刺激に脳が痺れそうだ。
オスカーの指がグチュグチュと中をかき回すと、堪らなくオスカーが欲しくなって、私は目の前にある脈打つそれを夢中でしゃぶった。
「でね、カイルったら、口でしてくれなんて言うのよ?娼婦じゃあるまいし、蹴り上げてやったわ」
ロティさんは持っていたパンをバシッと叩いて潰すと口に放り込んだ。
「ゴフッ」
スープを飲んでいた私は、ロティさんの衝撃的な発言にむせ返ってしまった。
「もー、大丈夫?年を取ると嚥下機能は低下するのよ?今からそんなんでどうするの」
ロティさんは呆れた顔で水を差し出してくれた。
「ゴホッ、ゴホッ、すみま、せん……」
ロティさんとはすっかり仲良くなり、時間を合わせて食堂で一緒に食事をとる仲になっていた。
いつもは日当たりのいい席で食べるけど、今日はカイルさんと喧嘩をしたから相談に乗ってと言われ、人気のない壁際の席を選んでいた。
「そうしたら、カイルが今時みんなしゃぶって貰ってるって言うから、あれ?そうなのかなって話を聞いたら、相手はみんな娼婦で、ふざけんなってグーで殴ってやったの」
「ソ、ソウデスカ……」
私はロティさんの顔が見られず、ウロウロと視線を彷徨わせる。
「でも、最近はカリスマ娼婦が教える口淫講座も密かな人気だとか食い下がるから、ちょっと他の人の話も聞いて考えてみようかなって」
何だかんだ言ってロティさんはカイルさんに甘い。
「で、ニナはどうなの?その、口でした事、ある?」
「う……私は……」
口でする以上の事をしてしまっている。
フローラさんからやり方は教えて貰っていたし、良く話に出てきていたから、普通の事だと思っていた。
実は私も変態なんだろうか。
「あるのね?」
興味津々と言った顔で身を乗り出すロティさんに、冷や汗が出る。
「それは……」
「それは?」
「……一度持ち帰って検討致します!」
「何を検討するのよ」
私はロティさんを残して逃走した。
「ニナが相談なんて珍しいわね」
私は副団長室で、副団長と向かい合って座っている。
「あの、今じゃなくてもいいんですが……」
休憩時間が終わる間際に、副団長に相談しに行くと、そのままお茶を出されてしまった。
すぐ隣の部屋ではお姉様方が仕事をしていると思うと、言うのもはばかれる様な相談だ。
「何を言っているの?美少女の悩みを解決する事は、全てにおいて優先されるのよ」
「……」
こうなった副団長は誰も止められない。サッと聞いてサッと仕事に戻ろう。
「副団長は前々代の勇者と、その、ご関係があったんですよね?」
前々代の勇者の研究日誌に出てきたイザベラさんは副団長の事だと思うけど、その関係は分からない。
前々代は団長のお父さんぐらいの年齢のはずで、団長より若そうな副団長とは年が開き過ぎている。
どんな関係だったんだろう。
「ご関係も何も、私は前々代の勇者の妻よ」
親子以上の年の差に、私は驚いて目を見開く。
「……凄い年の差ですね」
「五歳ぐらいなら普通だと思うけど」
「え?副団長って、おいくつ……いえ、なんでもないです」
迫力のあるニッコリとした笑顔に、私は慌てて首を振った。
確実に団長より歳上なんだろうけど、全くそんな風には見えない。
本当かどうかは分からないけど『美のために外法に手を出した魔女』の意味が分かった気がした。
「それで?勇者との『ご関係』を聞いてくると言う事は、セックスについての相談なのかしら?」
「セッ……ええと、まあ、そうなんですけど……」
いきなり核心を突かれて少し怯んでしまったけど、時間もない事だしサッと言ってしまおう。
「副団長は口で、されてましたか?」
研究日誌に書かれていた内容から、多分しているんだろうけど、一応確認しておく。
「オーラルセックスの事?なあに?やり方が知りたいの?」
副団長の返しは切れ味抜群だ。
フローラさんとの会話で、こう言う話は慣れているとはいえ、仕事中なのにと思うともの凄く落ち着かない。
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ロティさんの話で気がついたけど、どちらも普通とは言い難い気がする。
「あの、私は普通のやり方がどんなものか分からなくて、分からないまま色々していると、その、どんどん変態になっていってしまうんじゃないかなと……副団長はそんな風に悩んだ事はないですか?」
「無いわね」
見事にバッサリだ。
「でも、気持ちは分かるわ。勇者は本当に、性欲の塊のど変態ですものね」
「は、はあ……」
やっぱりオスカーもそうなんだろうか。
今の所はそこまででは無いように思うけど、これから悪化していくんだろうか。
「そうね、普通のセックスが知りたいなら、ケニスの所に行って『私にセックスを教えて』って頼んでみたら?」
確かに、ケニスさんは早漏でヘタクソとは言われていたけど、変態では無さそうだ。
普通がどんな風なのか聞くには丁度いいのかもしれない。
「ちょっと、名案かも、みたいな顔は止めて頂戴。冗談よ、冗談。やっちゃ駄目よ」
流石に男の人に聞くのは恥ずかしいから、実際に聞くつもりは無かったけど、副団長は必死に止めてきた。
「そんなの、人に見せる訳でも無いんだから、ニナが嫌じゃなければ何だってやればいいのよ」
副団長は優しく微笑んでいる。
「そして嫌だったら嫌と言えばいいの。私も、裸で目隠しして木に縛り付けたまま後ろから犯したいと言われた時は、流石に断ったわ」
大きな声では言えない様な話のはずなのに、副団長には躊躇いが一切ない。
「だって、変なところを虫に刺されたら嫌じゃない」
そこですか。
「だから、家の柱で我慢してもらったわ」
やったんですか。
「いい、思い出よ」
悠然と笑う副団長を見ていると、何だかそれでいいような気がしてきた。
これが年の功……と思ったけど、口には出さないでおいた。
「ロティさん、私の持てる知識を全てお伝えします」
私はロティさんを誘って、城下町の酒場に来ていた。
内容が内容なので、お城の食堂で話すのははばかれたし、流石にちょっと恥ずかしい。
丁度明日は休日と言うことで、お酒の力を借りる事にした。
「いいですか、いきなり咥えなくてもいいんです。まずは舌先で軽く舐めながら、相手の顔を見上げるんです。そうすれば勝手に興奮してくれるから、大きくする手間が省けます」
やり方が分かれば、ロティさんもやるかやらないかの判断が付きやすいだろう。
決めるのは、ロティさんだ。
「えー、でも汚くない?」
「そこは気にしてはいけません。兎に角、搾り取る事だけ考えるんです」
「搾り取る……」
「牛の搾乳みたいな物です」
フローラさんの教えが正しいかは分からないけど、オスカーは気持ち良さそうにしていたから、間違ってはいないだろう。
「焦らすように舐めたら先っぽを咥えて、尿道口を……」
「え、やだ……」
「そして、ここでちょっときつめに吸い付いて、手で玉を……」
「使うのは口だけじゃないのね……」
「上顎のギザギザした所に擦り付けるように……」
「なるほど……」
「いやー、今日は勉強になったわー。何か、出来そうな気がしてきた!何秒で昇天させられるか、男と女の勝負ね!」
お店を出ると、酔っ払ったロティさんは、歩きながら見えない敵にパンチを繰り出していた。
「パンチはだめですよ、ロティさん」
「うふふー。待ってなさいよカイル!ニナ直伝の凄技テクで、他の子は目に入らないようにしてやるわ!」
今の動きは目潰しなんだろうか。
私はそんな技は教えていない。
「楽しいわねー、ニナ。また一緒に飲みに来ましょうね。戦果報告するわ!」
ニコニコと笑うロティさんに、私も釣られて笑顔になる。
「はい!ロティさん」
ロティさんともっと仲良くなれた気がして、とても嬉しかった。
「ニナ、カイルって近衛兵、知ってるか?」
ロティさんとお酒を飲みに行ってしばらく経った頃、オスカーと私の部屋でゆっくり過ごしていたら、爽やかな笑顔で聞かれた。
「ええと、カイルさんの恋人のロティさんとは、友達?なのかな?」
非常に爽やかな笑顔を向けられているのに、悪寒がするのはなぜだろう。
「この間、カイルに礼を言われた」
オスカーは椅子から立ち上がるとベッドに座り、私も隣に座るよう手で促した。
「オスカーこそ、知り合いだったの?」
なんだか危険な気がして少し離れて座ったら、あっと言う間に距離を詰められ、腰を抱かれた。
「いや、全く」
実際には王宮まで案内してもらっているんだけど、オスカーは覚えていないようだ。
「なんでも、カイルの恋人がニナに口での仕方を教えて貰ったらしくて、最高の夜だったって」
ロティさん、勝ったんですね。
「あんな初心そうな子にあそこまで仕込むなんて、流石魔王だなって言われた」
オスカーが最近魔王と呼ばれている事は知っていた。
私の前では絶対に言おうとしなかったのに、オスカーの口から魔王の名が出て少し驚いた。
「俺が教えたのは自慰だけだって訂正した方が良かったか?」
耳元で囁かれて、カッと熱が上がる。
「だ、だめ。だめだからね」
私が泣きそうになってオスカーの顔を見上げると、オスカーは楽しそうに笑って、私を押し倒した。
「そうだな。ニナがエロいって事を知っているのは、俺だけでいい」
鼻先で止まってそれだけ言うと、オスカーは深い口づけをしてきた。
「んんっ……んっ……」
「大好きだ、ニナ」
「私、も……」
キスだけであっと言う間に蕩けてしまう。
「もっと、俺だけのニナを見せてくれ」
オスカーはそう言うと、スカートの中に手を滑り込ませた。
「あっ、んっ……」
下着の中に入り込んだオスカーの指が割れ目をなぞると、もう何も考えられなくなってしまう。
「んんっ、いっぱい……見て、あああっ……」
「だから、エロ過ぎだろ」
スカートを捲り足を広げると、怒ったような口調のオスカーにクリトリスを捏ねられ、軽くイッてしまった。
「最高だ、ニナ」
「ああっ……んっ、ああっ……」
耳元で囁きながら指を中に入れられ、腰が勝手に動いてしまう。
「あっ、あっ……気持ち、いいっ……」
促されるまま、指で攻め立てられながら自ら服を脱ぐ。
「んっ、ああっ……ああっ……」
晒された胸を舐め上げられると、もう普通とか変態とかどうでもよくて、ただひたすら気持ち良くなりたくて堪らなくなった。
「あんっ……オス、カー……」
「ニナ……」
熱に浮かされた眼差しで見つめ合うと、私はオスカーに抱きついて、耳元で囁いた。
「壊れるぐらい……いっぱい、して……」
「だから、なっ……」
オスカーは怒ったようにそう言うと、乱暴に服を脱いで硬いものを私に押し付けてきた。
「なんでそんなにエロいんだっ……」
奥まで一気に貫かれて、全身を快感が走り抜ける。
「ああっ、あっ……オスカーがっ……ああんっ……」
激しい突き上げに、最後までちゃんと言えない。
オスカーに言われるぐらいだから、私は元々変態だったのかもしれない。
オスカーが魔王で良かった。
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