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「ごめんね~。お姉ちゃんの婚約者寝取っちゃった。
でも、私の方がいいって言ったのはルルーシュ様だから、私にいちゃもんつけないでよね」
「えっ……? 婚約者? それ、どういうこと?」
「しらばっくれても無~駄。あんなにいい男、お姉ちゃんにはもったいないから!
体の相性も抜群だったし~、もう赤ちゃんできちゃったりして」
「赤ちゃん? ってことは、彼の体に触れちゃったの?」
「あ~、お姉ちゃん。ルルーシュ様のこと独り占めしようとか思ってたんでしょ。
でも、残念でした~! 彼はもう私のもので~す!」
「いや、そうじゃなくて……!」
「は~い、もうお姉ちゃんの負け惜しみは結構で~す!
じゃっ、これからまたルルーシュ様に会いに行ってきま~す!
お母さんたちには、今日戻らないからって伝えておいてね。負け犬のお姉ちゃんっ?」
「ちょ、ちょっと……!」
行ってしまった……。
そんなことより、ど、どうしよう。
私とルルーシュ様が婚約していると勘違いしていることも問題ですが、よりにもよってあの方と……。
彼は聖女である私でないと、体に触れてはいけない方。
このことは、彼自身わかっているのに、どうして……。
「何度も言ったのに。私以外の人に触れたら、あなたにかけられた呪いが広がってしまうって……」
……まったく、あの人にも困りました。
たしかに義妹であるアンナは、私と違って女の子らしくて可愛いですけど……。
「はぁ……。こうなっては仕方ありません。
多少、私の力で呪いを抑えてはいますが、アンナは確実に呪われました。
なので、ここは痛い目に遭ってもらいましょう。
このままでは、まともな人間に育たないでしょうし。
人の婚約者を寝取って、それをわざわざ報告しにくるような妹は……ね」
あれから数日が経過して。
アンナは自力で動くことすらできなくなっていた。
なにより、全身が死人のように真っ青で、ところどころが青黒く変色してしまっている。
これは、まさしく呪いの症状だ。
後、数日もすれば、衰弱死してしまうだろう。
私としては別に死んでほしくはないから、今すぐにでも助けてあげてもいい。
だけど、助けるよりも前に。
「アンナ。私になにか言うことない?」
ベッドで寝かされている妹に、問いかけた。
この返答によって、私は助けるか助けないか決める。
もし、反省していなければ、死のギリギリまで苦しんでもらうつもりだ。
「早く、助けて。お姉ちゃん……」
「え? 助けを求める前に、なにか言うことは?」
「お姉ちゃんの婚約者を、寝取ってごめんなさい……」
「そうだよね。悪いことをしたら、ごめんなさいだよね。
まぁ、ルルーシュ様は別に私の婚約者でもなんでもないから、怒ってないんだけど」
「……えっ? それ、どういうこと?」
「そのままの意味よ」
「じゃ、じゃあ私はなんのために……。
私はお姉ちゃんに嫌がらせしたかっただけなのに……」
「アンナ。今回は助けてあげるけど、もし、私に婚約者ができて、その人を寝取ったりしたら、許さないからね」
「……はい。もうしません」
……どうやら、反省しているみたい。
そりゃ、今も全身に激痛が走っているだろうから、反省せざるを得ないのかもしれないけど。
それにしても、妙に大人しいというか……。
「ねぇ、アンナ。もしかしてだけど、男の人怖くなった?」
「……うん、怖い。
お姉ちゃんに嫌がらせしたくて強がったけど、もう男の人とあんなことしたくない。
私、ずっとイキっぱなしでツラくて、もうやめてってお願いしてるのに、やめてくれなくて。
それで、私頭がおかしくなって、イクのが怖くて……」
「……もういいわ。今後、男の人と付き合うときは、ちゃんと相手を見極めなさい。
アンナは可愛いんだから、今回のことをちゃんと反省したら、誰とでも付き合えるんだから」
「ううん、もう男の人は嫌……。付き合うなら、女の子がいい……」
「そう、女の子が……って、えぇ!? 女の子……!?
アンナ、まさか女の子と……!?」
「なに驚いてるの、お姉ちゃん?
女の子同士で体を触り合うのは普通でしょ?」
「普通じゃないわよ!」
え、もしかして私がおかしいの?
女の子同士でそういうことをしてもいいとは思うけど。
「……よし、これで呪いを祓えたかな」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「それじゃあ、私は行くわね」
「どこに?」
「どこって、そりゃルルーシュ様のところよ。
私との約束を破ったんだから、怒りにいかないと」
それに、今回の一件でわかったことがある。
男の人は、性欲が高まるとヤバい。
だから、性欲を抑える魔法をかけておかないと、アンナみたいな子が出てくるかもしれない。
……って、待って。
もしかして、私がアンナみたいにされてた可能性もあったってこと……?
もし、そうなっていたら、私は……
……どうなっていたのだろうか?
~完~
でも、私の方がいいって言ったのはルルーシュ様だから、私にいちゃもんつけないでよね」
「えっ……? 婚約者? それ、どういうこと?」
「しらばっくれても無~駄。あんなにいい男、お姉ちゃんにはもったいないから!
体の相性も抜群だったし~、もう赤ちゃんできちゃったりして」
「赤ちゃん? ってことは、彼の体に触れちゃったの?」
「あ~、お姉ちゃん。ルルーシュ様のこと独り占めしようとか思ってたんでしょ。
でも、残念でした~! 彼はもう私のもので~す!」
「いや、そうじゃなくて……!」
「は~い、もうお姉ちゃんの負け惜しみは結構で~す!
じゃっ、これからまたルルーシュ様に会いに行ってきま~す!
お母さんたちには、今日戻らないからって伝えておいてね。負け犬のお姉ちゃんっ?」
「ちょ、ちょっと……!」
行ってしまった……。
そんなことより、ど、どうしよう。
私とルルーシュ様が婚約していると勘違いしていることも問題ですが、よりにもよってあの方と……。
彼は聖女である私でないと、体に触れてはいけない方。
このことは、彼自身わかっているのに、どうして……。
「何度も言ったのに。私以外の人に触れたら、あなたにかけられた呪いが広がってしまうって……」
……まったく、あの人にも困りました。
たしかに義妹であるアンナは、私と違って女の子らしくて可愛いですけど……。
「はぁ……。こうなっては仕方ありません。
多少、私の力で呪いを抑えてはいますが、アンナは確実に呪われました。
なので、ここは痛い目に遭ってもらいましょう。
このままでは、まともな人間に育たないでしょうし。
人の婚約者を寝取って、それをわざわざ報告しにくるような妹は……ね」
あれから数日が経過して。
アンナは自力で動くことすらできなくなっていた。
なにより、全身が死人のように真っ青で、ところどころが青黒く変色してしまっている。
これは、まさしく呪いの症状だ。
後、数日もすれば、衰弱死してしまうだろう。
私としては別に死んでほしくはないから、今すぐにでも助けてあげてもいい。
だけど、助けるよりも前に。
「アンナ。私になにか言うことない?」
ベッドで寝かされている妹に、問いかけた。
この返答によって、私は助けるか助けないか決める。
もし、反省していなければ、死のギリギリまで苦しんでもらうつもりだ。
「早く、助けて。お姉ちゃん……」
「え? 助けを求める前に、なにか言うことは?」
「お姉ちゃんの婚約者を、寝取ってごめんなさい……」
「そうだよね。悪いことをしたら、ごめんなさいだよね。
まぁ、ルルーシュ様は別に私の婚約者でもなんでもないから、怒ってないんだけど」
「……えっ? それ、どういうこと?」
「そのままの意味よ」
「じゃ、じゃあ私はなんのために……。
私はお姉ちゃんに嫌がらせしたかっただけなのに……」
「アンナ。今回は助けてあげるけど、もし、私に婚約者ができて、その人を寝取ったりしたら、許さないからね」
「……はい。もうしません」
……どうやら、反省しているみたい。
そりゃ、今も全身に激痛が走っているだろうから、反省せざるを得ないのかもしれないけど。
それにしても、妙に大人しいというか……。
「ねぇ、アンナ。もしかしてだけど、男の人怖くなった?」
「……うん、怖い。
お姉ちゃんに嫌がらせしたくて強がったけど、もう男の人とあんなことしたくない。
私、ずっとイキっぱなしでツラくて、もうやめてってお願いしてるのに、やめてくれなくて。
それで、私頭がおかしくなって、イクのが怖くて……」
「……もういいわ。今後、男の人と付き合うときは、ちゃんと相手を見極めなさい。
アンナは可愛いんだから、今回のことをちゃんと反省したら、誰とでも付き合えるんだから」
「ううん、もう男の人は嫌……。付き合うなら、女の子がいい……」
「そう、女の子が……って、えぇ!? 女の子……!?
アンナ、まさか女の子と……!?」
「なに驚いてるの、お姉ちゃん?
女の子同士で体を触り合うのは普通でしょ?」
「普通じゃないわよ!」
え、もしかして私がおかしいの?
女の子同士でそういうことをしてもいいとは思うけど。
「……よし、これで呪いを祓えたかな」
「ありがとう、お姉ちゃん」
「それじゃあ、私は行くわね」
「どこに?」
「どこって、そりゃルルーシュ様のところよ。
私との約束を破ったんだから、怒りにいかないと」
それに、今回の一件でわかったことがある。
男の人は、性欲が高まるとヤバい。
だから、性欲を抑える魔法をかけておかないと、アンナみたいな子が出てくるかもしれない。
……って、待って。
もしかして、私がアンナみたいにされてた可能性もあったってこと……?
もし、そうなっていたら、私は……
……どうなっていたのだろうか?
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