三日月と果実。

也菜いくみ

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 直腸をほぐすかたわら余った指で会陰を愛撫してやると、宝が気持ちよさそうに目を細める。彼はマットレスについていたイアンのもう片方の腕に指を絡めると、肉の感触を確かめるよにして撫でさすりはじめた。
 鎮まっていた彼のペニスもまた立ちあがってきている。ふるっと揺れるそれが愛しくて思えて、イアンはなんの戸惑いもなく、それに顔を寄せると先端にチュッとキスをした。

「やっ――ああっ」
 とたんにぐんと反り返った素直な宝のペニスにくすっと笑う。
「あんっ、やぁっ、あぁ、ああぁっ」
 口に含んで舐めしゃぶると、鈴口からとろりととろりと排出された体液で、あっというまに口内がぬるついた。

「ああぁ……、イ、イアン、そんなことしなくていいよっ。口が汚れるからっ」
 気持ちよさそうに声を出しておきながら遠慮してくる宝に、やりたくてやっているんだと教えるようにして、わざと大きな水音を立ててやる。おいしそうにしゃぶっているように聴こえるのならば、宝もさぞ淫猥な気持ちなれるだろう。

「やっ、出るっ出るっ、もう出るから離してっ、汚いよっ」
 宝が口戯に夢中になっているあいだに、すでに彼の体内には指が三本も入るようになっていた。それでももうすこしアンアン云いながら腰を振る彼の姿を見ていたくて、イアンはマッサージしていた会陰をぐいとさえた。これで彼はすぐには射精ができない。

「ふっ、ふっ、あっ、ふ、あんっ、あっ、あっあっ」
 宝が小刻みに腰を振る。こいつもオトコなんだと改めて思い、イアンはそんな彼が従順に自分に委ね、この腕のなかに収まってくれていることに胸を震わせた。

「なんでっ、なんでっ、あああん」
 射精感があっても、一向に吐きだすことができない宝が「漏れるっ」と泣きじゃくりはじめたところで、そこから指を離す。同時に口からペニスを出して数回扱いてやる。
「ふあぁっ!」
 すぐに白濁が、当てがっておいた左の手の平に勢いよく飛びだしてきた。

「あぁっ、ああぁっ!」
 長い時間堰き止められていたあとの射精だ。その激しい快感たるや、おなじ男として想像はたやすい。宝の射精はビクンビクンと腰を痙攣させながら暫く続いた。ビュクビュクと二、三にさん回に分けて放出されたあとも、残りがないように丁寧に扱きだしてやる。

「や。やっ、イアンッもう終わりっ!擽ったいっ」
 しつこくペニスを握っていると、身を捩って笑いはじめた宝に、ペチっと手の甲を:叩(はた)かれた。
「気持ちよかったか?」
「…………うん。ありがとう」

 目を伏せがちにしてお礼を云う宝がかわいくて、イアンは彼の顔のあちこちにキスをした。それからそのまままた唇を貪りはじめる。
 性器を咥えたあとのキスなど嫌がるのではないかと思ったが、そんなこともなく、宝は口腔を舐めまわすしつこいキスにしっかりとついてくる。
(宝、好きだ)

 心の声が聞こえてのかというタイミングで、彼が背中に腕を回してぎゅっとしがみついてきた。
(あぁ、もう、かわいい。なんだ、こいつは? 本当にかわいい、あぁ、かわいい)
 食べてしまいたいと彼の舌を強く吸いながら、そのまま宝の片脚を抱えると、尻のあわいにいきりたつ陰茎を挿入した。口づけが止められず、挿れることをさきに云ってやれなかったことが悔やまれる。

「んっ⁉ んんんっ……」
 案の定、びっくりした宝が腕のなかでびくんと大きく跳ねた。
 いちどめの挿入も潤滑剤のお陰で入りやすくはあったが、それでも宝の内部はやや固かった。しかししっかりほぐしたいまは、よりすんなりと、まるで飲み込まれて行くようにして、自分のモノが彼の奥へ奥へと進んだ。

「はぁ……」
 すべてが収まると、あまりの心地よさに甘い吐息がイアンの口を突いてでてくる。

 対して涙をにじませた宝は、繰り返す浅い呼吸のあいまにしゃくりあげていた。視線があうと、彼はもの欲しげな顔をして、唇をちろっと舐める。

「宝、キス」
 顔を近づけると、宝は小さく口を開いた。赤みがかったその下唇を、唇でんだり歯で噛んだりして自分の気のすむまで愉しんだあと、奥に舌を滑らせて彼のものと絡め合わせる。

「ふぅあんっ……んっ…………んっ……」
 徐々に分泌されてきた唾液で、くちゅくちゅと音が立ちはじめるころ、イアンのペニスを取り巻く宝の内壁が収縮しはじめた。不随意に締めつけられて、とても気持ちいい。

 ペニスはしっかり奥まで挿れてある。こうしておけば、やがて宝はじぶんで気持ちよくなれる方法を見つけるだろう。自分は彼の熱が冷めないように、彼の身体のあちこちに種火を起こし、それを扇いでやればいいだけだ。

 くちゅ、くちゅ…と、キスが鳴る。
「あん……あん……ふっぅく」
 上顎や歯のつけ根に舌で圧をかけながら撫でさすり、脇腹から胸にかけて手のひらを使って揉みこんでやる。宝は腰から脇のあたりまでを、手のひらをぴったりとつけて掴むようにして撫でさすられるのが好きだ。そうしてやるとじきに気持ちよさそうに目を細めて、小さく口を開けたり閉じたりしだす。



 
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