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【第31話】朝はいろいろ大変
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翌朝。
漣はイヴたちが起きてくる前に目覚め、朝食の準備を始めるためにベッドを抜け身支度を整える。
メビウス少年に貰った、この世界の時間に合わせた懐中時計を見ると5時55分。
元の生活で染みついた習慣はこの世界に転生しても引き継がれているようで、セットしたアラームよりもいくらか早く目覚めるのは何となく気分がいい。
昨夜から正式に彼女たちと同居することになり割り当てられた1階の部屋は、元々が客間だったらしく雇われの身には贅沢なほどだった。
「ホントにいいの?」
宿をとろうとも考えていた漣はイヴたちの申し出に驚き、念を押すように尋ねた。
「別に、みんな一緒に雑魚寝でも、気にしないけどね~」
男が同じ家で暮らすとなれば、3人にとって何かと不便なことや煩わしいこともあるだろう。
気を遣ったつもりの漣に対して軽い感じで返答したリーナに、イヴもクレムも何を気にしているのか分からない、といった表情で同意したのだった。
「冒険の時の野宿では、皆ある程度かたまって寝ますし、裸にこそなりませんが、下着姿で躰を拭いたり水浴びしたりは、普通ですからねぇ」
「そういうことだから、あまり気にする必要はないわ」
と、漣にとってはなかなか重要な案件だったにもかかわらず、経験豊富な冒険者の彼女たちには、些細な問題にすらならなかったようだ。
「おはよう。早いね~キテレツくん」
小さなガラスの円盤を鉛の枠でつなぎ合わせた窓から、日の光が差し込み始めたころ、教会の鐘と前後して3人は1階に降りてきた。
意外だったのは鐘が鳴る前、一番最初に起きてきたのがリーナだったことと、最後まで朝寝坊をしていたのがクレムだったことだ。
リーナが言うには、クレムは朝がとっても苦手らしい。
それはいいとして、困ったコトが一つ。
彼女たちが例外なく、下着に近い寝間着のままでウロウロしていることだ。
ゆったりとした胸元や短い袖の隙間から、ちらちらと柔らかそうな膨らみの一部が見え隠れしている。
その上、生地自体もかなり薄いようで、躰のラインをくっきりと浮かび上がらせていた。
どうにも目のやり場に困り、漣はなるべく視線を外そうとするのだが、その様子に気付いたイヴは不思議そうに首を傾げる。
「どうしました? 先ほどから落ち着かないようだけれど?」
自分たちが原因だということには、まったく気づいていないようだった。
これは、①彼女たちが冒険者だからなのかそれとも、②この世界の女性が平均的に恥じらいが薄いのか、もしくは③漣が異性として認識されていないのか。
「①と③だろうな、たぶん……」
どちらにしても嬉しくない状況ではないわけで、漣は理性の力を全開で発揮させることに集中することにした。
「私たちは森の巡回に行きます。帰りは日暮れ前になると思うわ。それまで貴方は自由にしていて」
「ふらふらしてたら、変なコトに巻き込まれちゃうかも~」
「もうリーナったら。昼間ですし、普通にしていれば大丈夫ですよぉ」
ジャムを塗ったパンとスクランブルエッグの朝食を済ませ、外出着と防具を身に着けた3人は、それぞれが気遣いの言葉を口にして家を出て行った。
「リーナは……うん、たぶん気遣ってくれたんだろうな、百歩譲って」
帰りが夕方になるということだったので、バターをたっぷり塗ったパンに、燻製肉のスライスと刻みキャベツを挟んだサンドウィッチを弁当として渡したら、3人は目を輝かせて喜んでくれた。
「さてと、みんなが帰って来るまでは暇だし、街に繰り出してみるかな」
道は昨日、クレムとリーナに案内してもらったので迷うこともない。
それに、迷うほど大きな街でもない。
「午前中に市場か店をまわって、ミルクを探してみよう。チーズも欲しいな。調味料は揃ってるから、あとは……そうだな、米が売ってればいいんだけど」
漣は期待に胸を膨らませて、街へと出かけた。
漣はイヴたちが起きてくる前に目覚め、朝食の準備を始めるためにベッドを抜け身支度を整える。
メビウス少年に貰った、この世界の時間に合わせた懐中時計を見ると5時55分。
元の生活で染みついた習慣はこの世界に転生しても引き継がれているようで、セットしたアラームよりもいくらか早く目覚めるのは何となく気分がいい。
昨夜から正式に彼女たちと同居することになり割り当てられた1階の部屋は、元々が客間だったらしく雇われの身には贅沢なほどだった。
「ホントにいいの?」
宿をとろうとも考えていた漣はイヴたちの申し出に驚き、念を押すように尋ねた。
「別に、みんな一緒に雑魚寝でも、気にしないけどね~」
男が同じ家で暮らすとなれば、3人にとって何かと不便なことや煩わしいこともあるだろう。
気を遣ったつもりの漣に対して軽い感じで返答したリーナに、イヴもクレムも何を気にしているのか分からない、といった表情で同意したのだった。
「冒険の時の野宿では、皆ある程度かたまって寝ますし、裸にこそなりませんが、下着姿で躰を拭いたり水浴びしたりは、普通ですからねぇ」
「そういうことだから、あまり気にする必要はないわ」
と、漣にとってはなかなか重要な案件だったにもかかわらず、経験豊富な冒険者の彼女たちには、些細な問題にすらならなかったようだ。
「おはよう。早いね~キテレツくん」
小さなガラスの円盤を鉛の枠でつなぎ合わせた窓から、日の光が差し込み始めたころ、教会の鐘と前後して3人は1階に降りてきた。
意外だったのは鐘が鳴る前、一番最初に起きてきたのがリーナだったことと、最後まで朝寝坊をしていたのがクレムだったことだ。
リーナが言うには、クレムは朝がとっても苦手らしい。
それはいいとして、困ったコトが一つ。
彼女たちが例外なく、下着に近い寝間着のままでウロウロしていることだ。
ゆったりとした胸元や短い袖の隙間から、ちらちらと柔らかそうな膨らみの一部が見え隠れしている。
その上、生地自体もかなり薄いようで、躰のラインをくっきりと浮かび上がらせていた。
どうにも目のやり場に困り、漣はなるべく視線を外そうとするのだが、その様子に気付いたイヴは不思議そうに首を傾げる。
「どうしました? 先ほどから落ち着かないようだけれど?」
自分たちが原因だということには、まったく気づいていないようだった。
これは、①彼女たちが冒険者だからなのかそれとも、②この世界の女性が平均的に恥じらいが薄いのか、もしくは③漣が異性として認識されていないのか。
「①と③だろうな、たぶん……」
どちらにしても嬉しくない状況ではないわけで、漣は理性の力を全開で発揮させることに集中することにした。
「私たちは森の巡回に行きます。帰りは日暮れ前になると思うわ。それまで貴方は自由にしていて」
「ふらふらしてたら、変なコトに巻き込まれちゃうかも~」
「もうリーナったら。昼間ですし、普通にしていれば大丈夫ですよぉ」
ジャムを塗ったパンとスクランブルエッグの朝食を済ませ、外出着と防具を身に着けた3人は、それぞれが気遣いの言葉を口にして家を出て行った。
「リーナは……うん、たぶん気遣ってくれたんだろうな、百歩譲って」
帰りが夕方になるということだったので、バターをたっぷり塗ったパンに、燻製肉のスライスと刻みキャベツを挟んだサンドウィッチを弁当として渡したら、3人は目を輝かせて喜んでくれた。
「さてと、みんなが帰って来るまでは暇だし、街に繰り出してみるかな」
道は昨日、クレムとリーナに案内してもらったので迷うこともない。
それに、迷うほど大きな街でもない。
「午前中に市場か店をまわって、ミルクを探してみよう。チーズも欲しいな。調味料は揃ってるから、あとは……そうだな、米が売ってればいいんだけど」
漣は期待に胸を膨らませて、街へと出かけた。
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