魔王の宝珠

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祖父の知人、同居人になる。

楽しすぎる

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ユキと近くを散策して回る。
久しぶりに訪れたこの地域は、かなり周辺が変わっていた。

河の土手には、今では整備されてサッカー場ができ、バーベキューが出来そうな場所もあるらしい。

「ここも変わりましたね。昔は河原一面すすきがあったり、彼岸花が咲いてたりしてたんですけどね。」
「向こうの方にはまだあると思うんだけど…ここら辺は長い間来てないからなぁ。」
「そうなんですか?」

ユキとの会話はたのしい。
ちょっとした仕草も愛らしく感じる。
本人に言ったら怒るかもしれないなぁ…嫌われたくないから黙っておこう。

「学生時代に自転車で通ってたのが最後かなぁ」
「友人とですか?」

さらっと聞いてみる。
ユキの交遊関係が気になるから。
独占欲のせいか……ユキに関しては心が狭いかもしれない。

「ん~途中までは友人とかと…」
それはどんな相手だろうか。場合によっては消してしまいたい……

一瞬、表情が険しくなる。
ユキが心配してチラッとこちらを伺う。
その仕草もいいなぁ。

「私も一緒にその時を過ごしたかったですね。」
「そっか?普通だぞ?」

そう話なが照れた様子で早足で歩いていく。

私の知らないユキを知りたくて、ユキがよく行く場所やよく行った場所とかを案内してもらった。

不思議がるユキに出任せで、幸太郎が手紙でよく書書いてよこしたから、気になってと答えた。

なぜか思うところがあるのか、納得してくれたようだ。

あるきながら、ユキの首筋に目をやる。
ユキに内緒で付けたものだ。そっとなぞってみる。

「何だ?」
「紅くなってますから、どうしたのかと…」
うそぶく私。

「あぁ、何か虫に刺されたようなんだ。フリードは大丈夫か?」
ん?私の心配をしてくれるのですか?
どちらかというと、私が『虫』ですが……

ユキにバレないように微笑んでしまう。

「そう…虫ですか。綺麗に付いてますね、跡。」

頬が緩みそうだ。
そして、近づいて……舐めてみる。
どんな反応をするのか楽しみだ。
 
 「な…な……」

かなり同様しているようだ。
押し倒してしまいたいぐらい、可愛すぎる。

「虫刺されは舐めたら早く治ると幸太郎が言っていました。」
「へっ??」
「だからね、幸太郎が教えてくれたんです。ユキの虫刺されが早く治るようにそれを実践しました。」

…………
少しの沈黙。

「あのジジイ…」
思わず暴言を吐きかけている。面白い。

「違ったんですか?でも、傷とかは、舐めたら早く治るとよく言いますよ。」

キョトンとしてみせる。

「それは迷信だから…」

思わず崩れ落ちそうになっている。

クスクス……

「まぁ、それはさておき、次行きましょう。食材も買いたいし。冷蔵庫の中、あまり入ってなかったですよ。」
「仕事で遅くなることが多かったから、よくコンビニ弁当買って食べてたんだ。スーパーとか閉まってたり、疲れて作る気がなかったりしてたからなぁ…」
「私が作りますから、コンビニ弁当は辞めましょうね。あれはあれで美味しかったのですが、毎日だと身体壊しますから。」

美味しいものを作って胃袋を掴んだらいいと、緋のが言ってたのを思い出す。

「もちろん、お弁当も作りますよ。(しっかりと、胃袋も掴ませていただきましょう。私なしではいられないぐらいにね……)」

「ん??最後何か言った?」
「いえいえ、ユキは好き嫌いありますか?」
「別にないよ。あまり辛すぎるのは苦手だけどな」
「了解しました。じゃ、買い物しましょう。」

ちょうどスーパーについた。
店に入りカートにかごをのせて野菜から選びに行く。

「まるで、新婚みたいですね。」

ワクワクします。

「男同士だから、それ変じゃねー」

私はもう、笑いが止まらなかった。
楽しすぎる。
そして、笑いながら、かごの中に食材を入れていった。

「外国人だから、日本語変なのかなぁ……あまり突っ込むと悪いかもしれないからなぁ、間違ってるとこだけ指摘するか。」

あわててユキが私の後を追ってきた。
このまま、私にのめり込んでくれたら……

逃がしませんけどね…
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