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この世界に馴染みます。
視察の途中で……
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シオンが私の側に現れてから、初めての視察。
城から馬をかけて7日程の距離があるこの場所。
過去に我がシュナイゼル皇国を犯そうと進軍してきたアルテカ帝国を撃退した場所。
確か300年前だっただろうか……
英雄であり、王弟でもあるナディル・シュナイゼル が戦った場所。
そう、あの『アルテカとの戦い』
当時、荒れ狂う荒野。乾いた風に血と焼けただれた臭いが混ざり漂う場所だったらしい。
屍の山があちこちと見受けられ、戦場のすさましさが有り有りと見受けられたらしい。
そんな見るも無残な光景に見舞われていた…………と聞いている。
現在は復興され、緑豊かな土地と国境沿いの塀と砦が建設されている。
随時騎士が駐屯し、国を守っている。
また、国境沿いならではの物資の流通が盛んな街でもある。
今回の目的は、駐屯している騎士の激励と、現状把握。
あと、300年前に現れたとされる異世界からの女性が現れた場所を見たかった。
私たちの番に関しては、極秘とされている事が多い。
皇族に対しての弱点にもなり得るからだ………
まぁ、番を得た者は魔力安定しているから、よっぽどでないかぎり大丈夫なのだが……
やはり、用心に越したことはない。
それらの確認も踏まえての視察だ。
日程通り視察も終わりかけ、騎士達への激励を込めて参加した宴。
騎士達といろんな事を語らった。
騎士達への激励であるため、あえて女性陣は不参加とした。
メイドは別だが……
「どうした?」
側に控えるライトに声かける
「いえ、このようにこの国境沿いの砦で、騎士達が活気ある姿を見て、少し昔を思い出しまして……」
考え深そうにして騎士達の会話を聞き入っているようだ。
専属侍従であるライトリークことライト。
精霊王に繋がるもの。
精霊は長生きだという。
ある程度の年齢がいくと、見た目の成長も止まるらしい。
ライトが現在何歳かは知らない。
ライトは私が幼い頃に出会い、契約し今に至っている。
しかし、ライトと契約しているが、彼の過去の事はあまり知らない。
興味が無かったから。
ライトの力と知恵は存分に使わせてもらっているが……
「過去にこの場所に来たことがあるのですか?」
「あ~~言っていませんでしたか??」
少し思案するような素振りをするライト。
「私、『アルテカの戦い』に参加してたんですよ~ナディル殿下と~~言ってませんでしたか??」
しれ~っと話すライト。
「ほら、精霊って長生きだから………ね??殿下??」
ライトのセリフに少し苛立ちを感じ始めた…………一面に冷気を漂わせて………
ライトが固まる………
が………………………冷気は一瞬で消え去った。
急に悲しそうに怯えているシオンの気配を感じて……慌てる。
ライトに一言言いたかったが、それどころでは無い。
シオン……シオン………どうしたのですか??
何を怯えているのですか??
何を泣いているのですか??
不安と焦りが湧き上がる。
シオンの元に行かなくては……
「ライト、今の話は後でシッカリと聴かせていただきます。」
急な緊張感を感じ取ったのか、ライトも少し焦り出す。
「殿下??」
「シオンの身に何か起こったみたいです。私はシオンの元に飛びますので、後は上手くやってくださいね。後で報告よろしくお願いしますね。」
「えーーーーーっ!!!」
ライトの返事を待たずに、シオンの元に飛ぶ。
「鬼だ鬼!!」
アルバートの姿が消えた場所に愚痴を言いながら
「仕方ないですね。頑張らせていたいただきますよ。」
ブツブツ文句を言いながら………
*******************
『異世界からの来た華と守護する者』
300年前の英雄であり、王弟でもあるナディル・シュナイゼル
彼のストーリーを並行して投稿中です。
良かったら読んでいただけると幸いです。
城から馬をかけて7日程の距離があるこの場所。
過去に我がシュナイゼル皇国を犯そうと進軍してきたアルテカ帝国を撃退した場所。
確か300年前だっただろうか……
英雄であり、王弟でもあるナディル・シュナイゼル が戦った場所。
そう、あの『アルテカとの戦い』
当時、荒れ狂う荒野。乾いた風に血と焼けただれた臭いが混ざり漂う場所だったらしい。
屍の山があちこちと見受けられ、戦場のすさましさが有り有りと見受けられたらしい。
そんな見るも無残な光景に見舞われていた…………と聞いている。
現在は復興され、緑豊かな土地と国境沿いの塀と砦が建設されている。
随時騎士が駐屯し、国を守っている。
また、国境沿いならではの物資の流通が盛んな街でもある。
今回の目的は、駐屯している騎士の激励と、現状把握。
あと、300年前に現れたとされる異世界からの女性が現れた場所を見たかった。
私たちの番に関しては、極秘とされている事が多い。
皇族に対しての弱点にもなり得るからだ………
まぁ、番を得た者は魔力安定しているから、よっぽどでないかぎり大丈夫なのだが……
やはり、用心に越したことはない。
それらの確認も踏まえての視察だ。
日程通り視察も終わりかけ、騎士達への激励を込めて参加した宴。
騎士達といろんな事を語らった。
騎士達への激励であるため、あえて女性陣は不参加とした。
メイドは別だが……
「どうした?」
側に控えるライトに声かける
「いえ、このようにこの国境沿いの砦で、騎士達が活気ある姿を見て、少し昔を思い出しまして……」
考え深そうにして騎士達の会話を聞き入っているようだ。
専属侍従であるライトリークことライト。
精霊王に繋がるもの。
精霊は長生きだという。
ある程度の年齢がいくと、見た目の成長も止まるらしい。
ライトが現在何歳かは知らない。
ライトは私が幼い頃に出会い、契約し今に至っている。
しかし、ライトと契約しているが、彼の過去の事はあまり知らない。
興味が無かったから。
ライトの力と知恵は存分に使わせてもらっているが……
「過去にこの場所に来たことがあるのですか?」
「あ~~言っていませんでしたか??」
少し思案するような素振りをするライト。
「私、『アルテカの戦い』に参加してたんですよ~ナディル殿下と~~言ってませんでしたか??」
しれ~っと話すライト。
「ほら、精霊って長生きだから………ね??殿下??」
ライトのセリフに少し苛立ちを感じ始めた…………一面に冷気を漂わせて………
ライトが固まる………
が………………………冷気は一瞬で消え去った。
急に悲しそうに怯えているシオンの気配を感じて……慌てる。
ライトに一言言いたかったが、それどころでは無い。
シオン……シオン………どうしたのですか??
何を怯えているのですか??
何を泣いているのですか??
不安と焦りが湧き上がる。
シオンの元に行かなくては……
「ライト、今の話は後でシッカリと聴かせていただきます。」
急な緊張感を感じ取ったのか、ライトも少し焦り出す。
「殿下??」
「シオンの身に何か起こったみたいです。私はシオンの元に飛びますので、後は上手くやってくださいね。後で報告よろしくお願いしますね。」
「えーーーーーっ!!!」
ライトの返事を待たずに、シオンの元に飛ぶ。
「鬼だ鬼!!」
アルバートの姿が消えた場所に愚痴を言いながら
「仕方ないですね。頑張らせていたいただきますよ。」
ブツブツ文句を言いながら………
*******************
『異世界からの来た華と守護する者』
300年前の英雄であり、王弟でもあるナディル・シュナイゼル
彼のストーリーを並行して投稿中です。
良かったら読んでいただけると幸いです。
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