父は異世界で魔王してます。

文字の大きさ
上 下
38 / 63
父とアルフレッドと私

思い出して…

しおりを挟む
ルカリオンと話し合い、私が美咲に付き添うことになった。
美咲本人が忘れていたとしても、私の伴侶となる者だ。幼い美咲にひかれ、欲した唯一無二の存在だ。だから、私が護る。
 
そろそろ美咲が、起きてきそうだ。
基本、美咲は朝に弱い。 
楽しみにしていることがあれば早起きできるが、基本出来るだけ寝ていたいようだ。
美咲の部屋で、バタバタしている様子がうかがえる。

ふふっ…相変わらずですね。

あわてた様子で、ルカリオンが準備した朝食を食べて、学校に向かおうとする。
飛び出して行きそうな美咲に声かける。
私も一緒に行くと……

へっ?てびっくりした表情の美咲。

「美咲、ほら急がないと、遅れますよ。」

有無を言わさず、美咲の腕を引き、歩き出す
動揺する美咲が、また可愛く感じる。
「あの~どういう事?何で?」
「聞いてませんか?」
「何を?」
「私と美咲の事ですよ。しかも、昔の約束も忘れてるようですし…」

この際、思い出してもらいたいが…、緋の魔王であるルカリオンが自ら我が子である美咲の記憶を封じたのだから、難しい。無理やり記憶をこじあけると、その反動はいかばかりか……

そんな事を考えながら、美咲の片手をしっかり握り、歩きながら会話する。

忘れてるって何?なんかした?
そんな表情の美咲。
昔話から興味を持たせて、記憶を探らせるか……

「昔、私は緋の国に遊びに行ったことがあるのですよ。たしか弟達が病気だとかで、父君の国に来られていて、その時にお会いしました。可愛らしくて今も覚えていますよ。その時、貴方が城内を案内してくれたりしましてね。一緒によく遊んだものです。覚えていますか?」

少し考え込む美咲。
表情がくるくるとかわる……可愛いなぁ…

「思い出しましたか?ちょうどあの時、私の兄が体調を悪くしていて、代わりに私が訪れていたのですよ。その後起こりうるゴタゴタが懸念されて、疲れてたんです。でも、あなたに癒されて、兄が亡くなったとの報せの時はあなたに慰めていただきました。私が国をおさめたら、私の側にいてくれると、私の花嫁になってくれると約束したのですよ。可愛いあなたに頬に口づけされて、心が踊りました。必ずや美咲、貴女を迎えに来ると誓って、ここに仮の契約をしたのですよ。あなたのここにうっすらと花の蕾のような痣があるでしょ?」

美咲の仮契約印である胸の痣がある場所を指差す。
目を見開いて驚いてますね。ふふふふっ……

「ありますよね。たとえ父君がその記憶を消したとしても、仮契約は消えませんから。ふふっ…私は約束通り国を治め、貴女を迎える準備は整ってるのですよ。貴女が学校を卒業したら迎えにこようと思っていたのにね。」

美咲にちょっかいをだす輩がいるから…まぁ、奴は消したが、第二、第三と出てくる可能性があるからなぁ…心配で仕方がない。よし!!

直ぐに穏やかな表情に戻し、ニコニコ笑顔で話しかける。

「私が側にいて護りますし、しっかりとアプローチしますから、覚悟してくださいね。」

少しホットしている美咲。ん???

きになるが、まぁ、いいだろう。
姿は消すが、側についているのだから……

「気にしないでくださいね。」

そう美咲の耳元に呟いてみた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

ブラック企業「勇者パーティ」をクビになったら、魔王四天王が嫁になりました。~転職先はホワイト企業な魔王軍〜

歩く、歩く。
ファンタジー
※第12回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。応援ありがとうございました!  勇者に裏切られ、剣士ディックは魔王軍に捕まった。  勇者パーティで劣悪な環境にて酷使された挙句、勇者の保身のために切り捨てられたのだ。  そんな彼の前に現れたのは、亡き母に瓜二つの魔王四天王、炎を操るサキュバス、シラヌイだった。  ディックは母親から深い愛情を受けて育った男である。彼にとって母親は全てであり、一目見た時からシラヌイに母親の影を重ねていた。  シラヌイは愛情を知らないサキュバスである。落ちこぼれ淫魔だった彼女は、死に物狂いの努力によって四天王になったが、反動で自分を傷つける事でしか存在を示せなくなっていた。  スカウトを受け魔王軍に入ったディックは、シラヌイの副官として働く事に。  魔王軍は人間関係良好、福利厚生の整ったホワイトであり、ディックは暖かく迎えられた。  そんな中で彼に支えられ、少しずつ愛情を知るシラヌイ。やがて2人は種族を超えた恋人同士になる。  ただ、一つ問題があるとすれば……  サキュバスなのに、シラヌイは手を触れただけでも狼狽える、ウブな恋愛初心者である事だった。  連載状況 【第一部】いちゃいちゃラブコメ編 完結 【第二部】結ばれる恋人編 完結 【第三部】二人の休息編 完結 【第四部】愛のエルフと力のドラゴン編 完結 【第五部】魔女の監獄編 完結 【第六部】最終章 完結

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...