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出逢い
とある屋敷に連れられて
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雨の降る中、両親と姉の葬儀が終わり、遺骨となった3人をお寺に預け、とある屋敷に連れてこられた。
何も考えられず、呆然としていた私に、病院まで迎えにきてくれた人達がいた。
先生や警察の方々、病院関係者のに対しても全て対応してくれたようだった。
私はただ、されるがままに連れて行かれていたが、1人の男性がずっと私を抱きしめ、そばに付き、数人の者に指示し両親の葬儀などの手配もしてくれたようだ。
勿論、先生方や学校関係もだ。
そして、その中にいた2人が、この屋敷に私を連れてきてくれた。
ただ、私のそばにいてくれた人はいない。
あの時、抱きしめてくれた香りと温もりは覚えているが、顔や声は覚えていなかった。
それだけ動揺していたのだろう。
今度あったら、教えてもらったらお礼を言わなくては……
「綾乃さん。今日からここが君の家です。どうぞ」
そう言って、玄関を開けられた。
昔ながらの和風邸宅。引き戸を開けて入る玄関は広く、少し躊躇した。
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様。」
そう出迎えてくれたのは、執事のような格好の男性と、和服姿の女性だった。
「和真、和代さん、ただいま。綾乃さん。彼が我が家の執事の和真だ。そして、その妻であり、我が家の家事一般をしてくれている和代さん。和真、和代さん。この子が綾乃さんだ。よろしく頼むよ。」
「はい、お部屋等準備できております。お疲れでございましょう。綾乃様」
「奥様も、お風呂の準備などできておりますよ。いかがいたしますか?」
「そうね、私は先に入らせてもらうわ。あなたは?」
「僕は先にする事があるからね」
「あの………」
「ん?どうした?」
「木下 綾乃です。ふつつかものですが。よろしくお願いします」
そう言って、頭を下げる。
挨拶は大事だと常々両親や姉にも言われていたが、タイミングがうまく掴めなかったから、このタイミングでごめんなさい。
「綾乃様、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。さぁさぁ、お入りください。」
そう言って、和代さんに手荷物を取られ、部屋へと案内された。
階段を上がり、2階の南側に面した角部屋。
ドアを開けると、可愛らしい内装にと広い部屋に驚いた。
ドアの前で突っ立っていると、和代さんに背中を押され、中に入る。
「こちらが綾乃様専用の洗面所とお風呂場です。こちらがトイレ。このお部屋がクローゼット。洋服など準備できておりますが、制服はまだ届いておりませんので、少しお待ちくださいね。こちらが寝室。書斎。本棚はこちらにございます。あと……」
沢山の部屋に驚く。まるでマンションの一室みたいだ。無いのはキッチンぐらい?
姉の部屋探しでみていたマンションの間取りを思い出す。
それよりも広いんだけど……
思わず、姉のことを思い出し、涙が出た。
「綾乃様?大丈ですか?」
「ごめんなさい、少し姉の事を思い出して……」
「急な事でしたものね。でも、いつまでも悲しんでいたら。故人は浮かばれませんよ。綾乃様が幸せに過ごされる事を願ってるはずです」
「そうですね……すみません……」
「大丈夫ですよ。私達がついておられますから。とくに……」
「??」
「そうそう、今はくつろいでくださいね。仕事を思い出しましたから、少し席を外しますね。」
そう言って、和代さんは出て行った。
しばらく部屋を見回して、荷物を片付け、寝室に向かう。
広いベットには驚いたけど、緊張の糸が切れたのか、そのまま眠りについてしまった。
何も考えられず、呆然としていた私に、病院まで迎えにきてくれた人達がいた。
先生や警察の方々、病院関係者のに対しても全て対応してくれたようだった。
私はただ、されるがままに連れて行かれていたが、1人の男性がずっと私を抱きしめ、そばに付き、数人の者に指示し両親の葬儀などの手配もしてくれたようだ。
勿論、先生方や学校関係もだ。
そして、その中にいた2人が、この屋敷に私を連れてきてくれた。
ただ、私のそばにいてくれた人はいない。
あの時、抱きしめてくれた香りと温もりは覚えているが、顔や声は覚えていなかった。
それだけ動揺していたのだろう。
今度あったら、教えてもらったらお礼を言わなくては……
「綾乃さん。今日からここが君の家です。どうぞ」
そう言って、玄関を開けられた。
昔ながらの和風邸宅。引き戸を開けて入る玄関は広く、少し躊躇した。
「お帰りなさいませ。旦那様。奥様。」
そう出迎えてくれたのは、執事のような格好の男性と、和服姿の女性だった。
「和真、和代さん、ただいま。綾乃さん。彼が我が家の執事の和真だ。そして、その妻であり、我が家の家事一般をしてくれている和代さん。和真、和代さん。この子が綾乃さんだ。よろしく頼むよ。」
「はい、お部屋等準備できております。お疲れでございましょう。綾乃様」
「奥様も、お風呂の準備などできておりますよ。いかがいたしますか?」
「そうね、私は先に入らせてもらうわ。あなたは?」
「僕は先にする事があるからね」
「あの………」
「ん?どうした?」
「木下 綾乃です。ふつつかものですが。よろしくお願いします」
そう言って、頭を下げる。
挨拶は大事だと常々両親や姉にも言われていたが、タイミングがうまく掴めなかったから、このタイミングでごめんなさい。
「綾乃様、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。さぁさぁ、お入りください。」
そう言って、和代さんに手荷物を取られ、部屋へと案内された。
階段を上がり、2階の南側に面した角部屋。
ドアを開けると、可愛らしい内装にと広い部屋に驚いた。
ドアの前で突っ立っていると、和代さんに背中を押され、中に入る。
「こちらが綾乃様専用の洗面所とお風呂場です。こちらがトイレ。このお部屋がクローゼット。洋服など準備できておりますが、制服はまだ届いておりませんので、少しお待ちくださいね。こちらが寝室。書斎。本棚はこちらにございます。あと……」
沢山の部屋に驚く。まるでマンションの一室みたいだ。無いのはキッチンぐらい?
姉の部屋探しでみていたマンションの間取りを思い出す。
それよりも広いんだけど……
思わず、姉のことを思い出し、涙が出た。
「綾乃様?大丈ですか?」
「ごめんなさい、少し姉の事を思い出して……」
「急な事でしたものね。でも、いつまでも悲しんでいたら。故人は浮かばれませんよ。綾乃様が幸せに過ごされる事を願ってるはずです」
「そうですね……すみません……」
「大丈夫ですよ。私達がついておられますから。とくに……」
「??」
「そうそう、今はくつろいでくださいね。仕事を思い出しましたから、少し席を外しますね。」
そう言って、和代さんは出て行った。
しばらく部屋を見回して、荷物を片付け、寝室に向かう。
広いベットには驚いたけど、緊張の糸が切れたのか、そのまま眠りについてしまった。
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