番になんてなりたくない!

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そして…

ひさしぶりに

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久しぶりの城下だ。
多少の変化はあるけれど、皆んなが楽しそうに生活している様でよかった。

まぁ、全てが全て幸せいっぱいとは言い切れないだろうが…

いくらこの国の者達を幸せに導こうとしても、闇は出てくる。
元々の住民は幸せになって行っても、後からきた者達はどうかはわからない。

この国も、以前はかなりの貧富の差もあり、路頭に迷うものもいた。
今は、自分達や、父上達の頑張りもあり、医療施設や学校。そして、保護施設などもあるし、就労施設もできてきた。
が、他の国から逃れてきた者達が、全てが全て直ぐに受け入れられているかと言えば、そうではない。
紛れて国を脅かす者達が決していないとは言い切れないからだ。

よって、活気が見られてる中にも、少し離れれば……

「この前来た時よりは、落ち着いてる様だ…でも、何というか…」

地べたに倒れ込んでいる者は見受けられなかった。
多少の衣服の差や、小さな子供が働いてるのは見受けられたが、それでも、飢えて亡くなるほどではない様だ。

明らかに我が国の者達とは違う肌色などで、他所から逃れてきたのだろう。
この国が豊かに慣ればなるほど、その様な国々から逃れてくる者がいる。
その者達を保護し、もっと受け入れれる様にしたい。
勿論、元からいる国民を蔑ろにする事なくだ…

まだまだやる事はたくさんある様だ。
そして、この国だけでなく、他の国々とも協力して解決出来ないかと知恵をあわせたい。

兄上や、姉上、そして、リリィがいる国とはどうにかつながる事はできるだろう。
お互いの国民を護りながらの協力は大変だろうけど…


やらないといけない事をさらに頭の中でリストアップしていく。
そうしながら歩いていたのだが、お腹に違和感を感じる。
無理しすぎた?
なんだか……

一瞬クラっともした。
やばい……

グッと身体を支えられ、抱き上げられる。
安心できる匂いがして…

「無理しすぎです。我が君」

はっとして、相手を見る。
心配そうに覗き込み、いつのまにか手配していたのか馬車に乗せられた。

馬車の中はクッションが沢山敷き詰められるようにし、そこに埋もれる様に座らされた。

「冷たいお水です。飲んでください。いくら城下が気になるからと、ふらふら出歩かれるとは…密かに護衛は付いているとはいえ、無謀ですよ。貴方だけの体でもないのですよ、おわかりですか?」

文句を言いながらも手つきは優しい。さすが…

「後でお仕置きですからね」
「………」
「我が君?」
「心配かけてすまない…」

少し気分が落ち着いて、お腹の張った感じも落ち着いた…

私の顔色を見て安心したのか、馬車を動かす様に指示し、動き出す。
ガタガタと揺れるはずの馬車だが、クッションなどのおかげか、何かの仕掛けか揺れが感じられなかった。
妊娠している者に優しい乗り物だ。

窓からそっと外を見る。カーテンで遮られてはいるが、隙間から外が見えた。

「クロさん。この子が生まれた後の世が、今よりもっと住みやすい世にしたいね…」

それだけ呟いて、ウトウトと夢の中に旅立った。
妊婦は疲れやすく、夢の中に旅立ちやすいようだ……


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