番になんてなりたくない！

そして…

ちょっとそこまで…

この所、クロが何やら忙しそうだ。
私に隠し事をしている様にも思えるが、何だろうか？

国事や与えられた領地経営に関して頑張ってくれているのも理解しているが…

安定期に入り、身近な者達のみを集めて婚儀を行なった。
父上達は、大きなイベントとして行いたかったみたいだが、身重という事もあり、ホームパーティーみたいな感じにしてもらった。

クロさんは、軍服みたいなのを着るのかと思ったけど、執事服を少し豪華にした感じだった。
本人は、完璧に執事服にしたかった様だけど、それは周りに止められたとか…

私は、男なのに、フリルのレースいっぱいにされて、恥ずかしいとしか言えない格好だった。
女性なら喜ぶんだろうけど、男だし…

でも、クロさんが綺麗だと言ってくれたから、嬉しかった。
勿論、内緒だけどね。

帝国に嫁いだ兄も来てくれて嬉しかった。
例のあの皇帝は、しっかり兄の尻に惹かれてた。
戦争だ何だと、結果的に起こらず良かったと思う。
兄のおかげかもしれないが…
夢では………だったものなぁ…

ゲーム上もそんなルートがあったし…

そんな幸せいっぱいでいたのにさ…
妊婦はやっぱりほっとかれるのか？
妊娠したら、相手の男は浮気するって言うしな…

もしそうなら…我慢できるだろうか…
かなり甘やかされてきた様に思うから、自信は…無い…


テーブルで書類のサインをしながら、ふと窓の外を見る。
天気もいいし………
クロも…いないし…

「よし行くか！」

いそいそと着替えて、城下に出る。
久しぶりの城下だ。

妊娠中だからと、引っ越しはまだしてないない。
慣れた道を歩いて、活気に満ちた店舗を覗いて行った。