番になんてなりたくない!

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新たな影

まさか…(犬達)

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殿下達が、城下を見回って数日が経った。
俺達の主人であるウィルバーン殿下は今日も執務に追われながらも、現在移動中だ。

ノアール様と他の仲間達は、殿下の指示を受けて調査その他で、席を外している。

殿下はどれだけご存知かは知らないが、ノアール様が不在時は、護衛メンバーが増やされている。
しかし、本当は全ての危機を回避させてあげたいが、殿下の強い要望で、余程の命の危機がない限り、手出し無用と指示されていた。
殿下いわく、『常に護られていたら、捕らえたい大元を捕らえられないから』との事だ。
確かに、雑魚ばかり捕らえても意味はないんだけどね…
しかしだ…ご自身を餌にされなくても良いのにと常に思う。
もう少しご自身を大切にしていただきたいのに…

まぁ、殿下のおかげで、今まで国に蔓延る者達をだいぶと掃除出来たのも事実なんだが…
殿下の御心や、身体などが心配だ。
ノアール様なら止められるのだろうけど…
あの方は、殿下の意向に沿いながらも、殿下を傷つけるものに対して容赦がない。
殿下の知らないところでだが…

殿下の後方に見えるのは?何やら不穏な動きが見える。
気配を消したまま、いざと言うときのために…

「これはこれは、ウィルバーン殿下ではございませんか。このようなところでお会いできるとは…」
「ん?」

声をかけられた殿下は、そちらに振り向く。
誰もが見惚れる微笑みを浮かべて…
この国の皇族は美女や美丈夫のが多い。
その中で、殿下は誰しもが守ってあげたいと思わせる。
本人は、そんな事ないと言われるが…

「久しぶりですね。エレンシュタイン殿。父上の所からの帰りですか?」

皇帝陛下の予定を頭の中で確認する。
確か、レガリア教のエレンシュタインの謁見申込みがあったか…

「えぇ、皇帝陛下にもお願いにあがったいたのですが、殿下の事で。是非ともお時間をいただけませんかな?」

少し威圧的な態度だな。殿下に対して何と言う態度だ。
しかも、下品な目で殿下を見られる…
今すぐ排除したくなるが、それでは……
苛立ちをグッと堪えて、気配を消したまま見守る。
ん?あれは…

「そうですね。ですが、この後予定が…」

殿下がそう伝えようとしたところで、首元に注射針を刺しやがった。
あの針の変色は…毒ではないな、毒ならもっと変色するはずが、それが無い。
なら、睡眠薬か何かか…

「申し訳ありません殿下。貴方の都合をお聞きする時間は無いのですよ……」

意識が薄れていかれる殿下。
倒れ込みそうになるのを、黒装束の者に支えられて…
その後、茂みに隠していた絨毯に巻き込む様にして、連れて行かれた。

まさか、あいつらが、この場所で、白昼堂々とだなんてな…
顔色は悪くなかったから、大丈夫だと思うが…

すぐさま数人に報告に行くよう指示し、追跡する事にした。
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