番になんてなりたくない!

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新たな影

囚われて

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目が覚めたら、白い一色に囲まれた部屋の天蓋付きベットに寝かされていた。
白いリネンの服に身を包まれて、ここはまるでギリシャ神話か何かのように一瞬思えた。

「お目覚めですか。」

そう言って近づいてきた女性達。
神殿の者達か……

「ウィルバーン殿下。お体の調子はいかがですか?気分悪いところなどございませんか?」

そう言って、コップに水を注ぎ渡してくれた。
彼女達は心配そうにこちらを見つめてくる。
無理やり連れてこられたのに、この対応ではどうしたら良いのか…

「ここは何処ですか?私は城に戻らなくては…」

そう言ってベットから降りようとしたら、足元に違和感が…
これは一体…

右足首にに付けられた拘束具。
不思議と重くはないが、なぜ??

「申し訳ありません。教皇様のご指示で…ですが、私達がしっかりとお世話をさせていただきますし、入浴やその他の事もこの部屋で出来ますから…鎖は外せませんが、この部屋での生活には支障があまりないかと…」

鎖はベットに付けられているが…この部屋での生活には十分な長さがあるようだ…
この寝室の隣に浴室とトイレも完備されているようだし…

だが、あの宗教関係が私を求めていた事は、以前のことでわかるが、なぜレダリア教の教皇と、聖騎士の者達が私を拉致し、このような場所に捕らえるのか…

そうこうすると、ドアをノックして入ってくる者がいた。
私を捕らえた張本人。レダリア教の教皇であるグレイス・フィールドと、聖騎士の者達だ。

「ウィルバーン殿下。お目覚めですか。このような形でこちらに来ていただき、申し訳ありません」
「教皇である貴方が私をこのような形で拉致するとは、どう言う事でしょうか?教団はいつから誘拐団体になられた?」

少し睨みをきかしてみるが、素知らぬ顔だ…
皇族拉致・監禁は重罪だ。わかっているのか?

「殿下には、我らの願いを叶えていただきたい。本当はお二方を我らが教団にお迎えしたかったのですが、お一方は国外に嫁がれましたので。」
「それは、我が妹、リリアーナの事か?」
「はい。殿下には教皇として、リリアーナ様には聖女としてこれからのこの教団を強いてはこの国の、世界の民を導いていただきたかったのですが…彼の国で王妃となられるため嫁がれますので、もう、貴方様しかおられないのです。」

そう言って、うやうやしく私の足を両手で取り、口づけしてきた。
教皇ともあろう者が…

「ウィルバーン様。我らが主人。神に愛され、求められた貴方様が、我らには必要なのです。」
「離せ!!」

取られた足を抜こうとして、教皇を蹴り飛ばしそうになると、聖騎士の一人に押さえ込まれた。
教皇は後ろに転びそうになるも、他の騎士に支えられている。

「離せ!私は城に…」
「戻れませんよ。貴方様はここで神の子を身篭られるのです。神に求められた貴方様ならば、きっとその子は神に愛された…そう、神の子と言っても過言ではないでしょう」
「なっ…何を言っている…」

レダリア教の教皇であるグレイス・フィールドは、すくっと立ち上がり

「クックッ…ウィルバーン様。我らは知っているのですよ。あの教団に求められ、神が降臨された事を。神が強く貴方を求めた事を」

そう言って、楽しそうに笑い出した。

「何を言っているんだ?あれは…レダリア教の神ではない…あれは、暗黒神だ!!」

聖騎士に抑え込まれながらも、訴えてみる。
間違っている……

「何をおっしゃっておられる。例え暗黒神でも神は神。元々神は表裏一体の者。光あらば闇がある。ならば、闇の神に愛されし光の神として、我らを導いて頂ければ良いだけ。貴方様には不思議な力があらせられる。その力がきっと我らの求める神を産みしものとなるでしょう。」

「な……」
「貴方様には、これより神の子を産んでいただくために、頑張っていただきましょう。今夜は満月。儀式のための良い日でありますから。さぁ、殿下の準備を!!」

それだけ言うと、私を取り押さえている騎士を残し、他の聖騎士達を連れて部屋を出て行った。
取り押さえていた騎士は、私を離し、ドアの入り口に立った。

見張りか……

「さぁ、殿下。ご準備を」
「離せ…」

一瞬、伸びてきた手を振り払おうとしたが、相手は女性だ……
そう思い、出来なかった……

私は一体どうなるのか……
なぜ………私が……



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