番になんてなりたくない！

波乱の影

ウィルの事が…(クロ)

ウィルの事が心配で、そっと寝室を覗く。

あの教団がまた暗躍しているとの情報が入り、密かに片付けて行くのだが、宗教関係はなかなか消えてくれない…
ウィルがその事を今日知らされ、かなり動揺していた。
求婚の件もあるが、それ以上の衝撃だったのだろう。
また、私の前から消えてしまったら……

そんな事まで考えてしまった。
やっと手に入れた愛しい者。
それを横から奪おうとする者達。

国同士の争いはウィルが嫌うから、慎重に行動しなければと、情報をかき集めた……
結果的には、そちらはどうにかなりそうだ……
そう思った矢先にこの厄介なものが浮かび上がり、ウィルを苦しめる…

シロさんがいれば……とも思うが、いない者は仕方がない。

私が……

そう思いながら、主人の寝室に来た……

はぁはぁと息が荒い……
もしやまた……

ウィルの夢を覗き見る
怒りが噴騰しそうだ。

両手両足を鎖で繋がれ、多くの者達に蹂躙されるウィル…
そして、それを行われている建物は……

ざっと周りを確認し、繋いだ夢を断ち切る。



「クロ……助けて……」

悲鳴にも似た懇願。そして、助けを求めるように右手が伸ばされる。

急いで抱き込み、伸ばされた右手を掴む。


「起きろ！ウィル！！」

揺さぶり、口付けし、流された涙を唇で拭いとる。


「あ………」

ウィルの瞳がうっすらと開き、潤んだ瞳に自分が映し出されている事を確認する。

「ウィル……また悪夢をみたのか？」

そう言って、さらにぎゅーと抱きしめた。