番になんてなりたくない!

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波乱の影

談笑

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体調が戻り、少しの仕事はさせてもらえるようになった。
クロさんや他のもの達のおかげで、今はいわゆる半日勤務だ。

「ウィル。大丈夫か?そろそろ終わりだな。」

最後の書類にサインをし、クロさんに渡す。
今までの激務と違うからか、あまり肩が凝らないな。
でも、つい癖で肩をコキコキ動かしてしまった。

「昼食の準備は出来てる。直ぐに食べるか?」

そう言われて、今日は外で食べたい気分んいなり、東屋び運んでもらった。

庭の花々や噴水が見え、穏やかな気分になる。

そんな時、向こうから歩いてくる者がいた。
あれは………

「やぁ、ウィル。体調はどうだ。ここにいると聞いて会いに来たんだ。顔色は良いようだな。」

そう言って、いきなり隣の椅子に腰掛けて来た。
いくら賓客であり、求婚者であっても、私的には……
でも、嫌な顔はできない。

「わざわざありがとうございます。ですが…」
「あぁ、これは美味そうだな。一つもらっても?」

クロさんが嫌な顔をせず、彼にお茶を提供している。
あっ、青筋たってる。怒ってるな……


『ルイス・カイエン・ロドスタ』私に求婚し、勝手に指輪をはめた男。指輪を抜こうとしても抜けず、何か仕掛けがあるようで、クロさんとの番の紋様も消えてしまった。
何度か会話し、夢やゲーム上の男と違い嫌いでは無いが……好きにもなれない。
友人ぐらいならなれるだろうが、彼の求める『妻』にはなりたくなかった。

ルイスの目の前にクロさんが別のサンドイッチを準備して置いていた。
一緒の昼食は拒否できないようだ。

ルイスから、『ルイス』呼びを強く強要してきたから、この呼び方になっている。
友人ならと言う気持ちもあり、呼び方はそれでも良いかと思う自分がいて、クロさんに叱られそうだが、それに関しては何も言ってこないしなぁ…

「ルイスはいつまでこの国に?」
「ん?ウィルが一緒についてきてくれるまで…と言いたいが、まぁ、時期がきたらだな」

何だそれ?行かないから!!

「行く気ははいよ。求婚に答える気もない。いい加減、これ外してもらえないかなぁ…」
「ふふっ、外す気はないなぁ。諦める気もない。」

ひとしきり、昼食を食べ、お茶を飲む。
好戦的な男だが、さすが帝国皇帝か、所作は綺麗だ。
まぁ、姿も美丈夫ではあるが……

「ウィル、少し2人きりで話さないか?すまないが席を外してくれ、給仕もいらない。」

ルイスからそう言われ、仕方なく指示する。
どうしたものか……
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