番になんてなりたくない!

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国に

皆んなにバレた…

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「ウィル~~~~~~」

いつも勝気なリリィが、涙目で飛びついてきた。
女の子歴長くなってきたもんね………うん、可愛い。
そんな事を一瞬考え、受け止めて……

グヘッ…

勢い良すぎて、変な声が出た。
かっこ悪い……

「ウィル、もう死んだかと思ったんだよ!もう逢えないって……人に心配させて!!うわ~~~~ん」
「ごめん。リリィは怪我とかしてない?大丈夫?」

そっと涙を拭ってあげる。
こんなに悲しませたんだ……

お互いに身体を確認して、再度抱き合った。

「ウィル。もうあんな事しないで!約束だよ!」
「わかったよ。ごめんね。」

絶対しないとは……言い切れないけど、こんなに悲しませるなら、しないように、そうならないように全力で回避しよう……

「リリィ様。大丈夫ですよ。私がその時は全力で止めますから。今度こそ。ね、ウィル。」
「う……うん、そうだね。」

クロさんの黒い笑みが怖い……もしかして、心の声を読んだ??

一瞬顔を痙攣らせたが、笑顔に戻す。

「あれ?ウィル…これ…」

リリィが左手首にある紋様に気がついたようだ。
噛み跡はクロさんが癒し魔法で消してくれている。が、番い契約の紋様は左手首についてある。
勿論、クロさんの左手首にも、同じ紋様があるが、服で隠れてて見えない。

よくある小説や漫画のようにくっきり噛み跡が残るのはどうか……と考えていたが、どうも違うようだ。
契約時に噛む行為は同じなんだけどね…噛んだ相手と同じ模様がお互いの手首に出るようだ。
少し愛おしそうに、己のその場所を撫でてみる。

「ふ~ん、そう言う事。なるほどね……ふふっ、良いんじゃない。クロさん、ウィルの事これからもよろしくねっと。父上、母上、兄上達も、そう言う事みたいですよ。」

リリィがドアの入り口の方を振り向いて、声かけた。
ギギィ~とドアが開き、両親と兄達が入ってきた。
父は少し困った顔。母は満面の笑み。兄達は……怖っ……
黒いよ、黒い笑みだ……

「直ぐに入りたかったんだけどね、入りにくそうだったから少し待ってたのよ。」

いつもいる警護の者達は、父達の側から離れていてよかった。
恥ずかしすぎる……

父達が近づいて来て、抱きしめられた。

「訃報を聞いて、どんな思いをしたのかわかっているね。」
「そうよ、もう、あんな事はやめてね。」

満面の笑みの母だが、眼は真っ赤だ。泣いていたんだ……

「ウィル。少しは僕達を信用して、無理はしないように。昔からよくできた子だったけど、今回はやり過ぎだ。必要に迫られたのかも知れないけど、違う打開策があったかも知れないしね。」

「すみません。」

何も言えない。
あの時は、あれが最前だと思ったんだ。
今もそう思っているけど……これは秘密だ…
後が怖い……

「葬儀中止の手配、全て行いましたが…どうしましょうか?」
「ふむ。契約したのなら、離すわけにもいかないしな。父上、彼にそれなりの爵位を授与しないと。」
「そうだな。」
「婚儀の準備もしないとね。ふふっ」

兄上達と父上が何か相談し始め、母上は嬉しそうだ。

「父上、母上達も…。ウィル。体調大丈夫?その……」

あぁ……なんとも言えない…
穴があったら入りたいぐらいに恥ずかしい……

「皆さま、ウィル様がお疲れのようなので」
「そうね。ウィル!また後で来るわね!」

そう言って、リリィが皆んなを部屋の外に出してくれた。

「クロさん、ウィルをよろしく。夕方また来るわね。」

そう言って、ドアは閉じられた。
嵐は去ったけど……

「ウィル。大丈夫か?」
「あ……あぁ。」

みんなにバレた。
いつかはバレると言うか、自分から伝えようと思ってたけど…

「これで、皆んなに周知できたな。」
「もしかして、狙った?」

少し上目遣い気味で睨んでみる。
クロさんには、効果無いのは知ってるけど…

「さぁ、どうかな。」

そう言って、抱き上げられ、ベットに戻される。
そっと寝かされ、唇が触れるだけの優しいくちづけ…

「もう少し休んでいた方が良いだろう。」
「えっと…」
「寝ろ。でないと…」

クロさんが舌舐めずりして見つめてくる。
ヤバイ……

慌ててシーツを引きずりあげて、顔を隠す。

クックッと笑いながら、頭を撫でられ、出ていった。
また……と思ったが、とりあえず今は逃げれた……

少し安堵したら、眠気が襲い、そのまま夢の世界に旅立った。



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