番になんてなりたくない!

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儀式

乗っ取られて

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ローレンスは、それを大切そうに祭壇の方へ持っていき、祭壇中央にある溝に注ぎ込む。
トロリとした白い液体がゆっくりと流れていくと、生贄の台を中心に描かれている魔法陣が光り輝きだし……

「ぐっ………うっ……はぁはぁ…」

ローレンスの身体が一瞬揺らいだと思うと、祭壇に倒れ込みそうになった。
そして、黒いモヤがローレンスの身体を包み込んだかの様に見えたと思うと、それは霧散した。

「な……に……」

はぁはぁと息を吐きながら、見てしまう。
ローレンスであるが、なぜか違う……
何???

近づいてくると、私の頬を愛おしそうに撫で、そっと口づけてきた。

「やっと会えた。どれだけ待ち望んだか…」

チュチュと顔中にバードキスをされたかと思うと、いきなり貪る様なキスをされた。

「や……め……」

「かの世界でお前を見つけ、この世界に……少し邪魔が入ったが、まぁ良い。」
「離せ!」
「その顔も愛おしい。」

ギュッと抱きしめられる。
何とか手で突っぱねてみるも、力が入らず、さらに抱きこまれた。

「この場で愛でても良いが、他の者にお前の可愛らしい顔を見せるのもどうか……」

ローレンスの姿の別の者が考え込む素振りをする。

「ローレンスは…その体の持ち主は?」
「あぁ、この程度で私を制御出来るとは、自惚れも良いところだ…しかし…」

ローレンスの身体が少し崩れた。

「ふむ。やはり保たぬか…ならば…」

ローレンンスが抱きしめ、口付けてきたと思うと、口から何かが入り込んできた。

そして、私の意識は暗い檻のようなもののなかに閉じ込められる。
どういう事??

檻の外側にスクリーンのようなものが見え……
ローレンスがチリのように崩れ落ちたのが映し出された。

「この身体は良いな。だが、他の者にこの愛おしい素肌を見せるわけにはいけないな」

そう言ったかと思うと、あたり一面炎とかした。
逃げ惑う人達。
そして、私の身体には、黒い衣装が……

「ウィル!!!」

リリィの声が聞こえる。
リリィ………

スクリーンにリリィの姿が映る。
これは、私の身体が見ている映像か?
身体を乗っ取られた??
そんな……

ガタガタと檻を揺らす。
どうしたら……

「やつに身体を取られたようだな。」
「お前は?」

背後から声がして、振り向く。

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