番になんてなりたくない!

文字の大きさ
上 下
82 / 220
冒険者

パートナーと同居

しおりを挟む
翌日、ギルドに訪れると、奥の部屋に呼ばれた。
何か手違いでもあったのか?
不安になりながら、案内された部屋に行く。

「ウィルというのは、君かい?」

部屋に入室すると、執務机で作業していた男性が、筆を止めてこちらを見た。
椅子から立ち上がり、ソファーに座るよう勧められる。

「驚かせてすまないね。大したことでは無いんだよ。まぁ、座りなさい。」

そう言われて、素直に腰掛ける。

「ここに呼んだのは、君の世話係と言うか、パートナーを紹介しようと思ってね。このギルドは初心者はパートナーと組んで仕事をしてもらってるんだ。仕事を覚えてもらうのと、仲間への紹介も兼ねてね。自立したら、チームを組んで仕事をしたり、今回君のパートナーのように、新人が来たら指導も兼ねてのパートナーになってもらったりするんだ。」

そんな決まりあったっけ?
よく覚えてないけど、それがこのギルドの決まりなら、従うしか無い。

「本当は、昨日のうちに紹介するべきだったんだけどね、私が不在していたから……すまないね。で、君のパートナーなんだけど…」

コンコンとドアがノックされ、1人の男性が入ってきた。

「マスター、呼びましたか?」
「あぁ、来たか、ナヴィル。」

銀髪、アイスブルーの瞳の男性が入ってきた。

「ウィル、彼が君のパートナーのナヴィルだ。ナヴィル、昨日ギルドに入ったウィルだ。よろしく頼むよ。そうそう、今はここの紹介した宿に居てもらってるけど、住居が必要だから、君の所で頼むよ。」
「マスター?」
「こんなに可愛らしいんだ。いくら男の子でも危険だろ?このギルド内で犯罪は起こしたく無いよ。」
「しかし」

ナヴィルと呼ばれた男性が、マスターと呼ばれる男性に言いつのっている……

「君なら、彼を守りながら、指導もできるだろう?それに、君の屋敷は広いしね。」
「あぁ~~~、わかった。やればいいんだろ。」
「よろしく。そうそう、ウィル。私の名前言ってなかったね。私はガルバン。ガルと呼んでくれ。」
「そこは、マスターだろ!」
「え~~、こんな可愛い子にガルと呼ばれたら、仕事もっと頑張れそうだろ?」

えっと……大丈夫かなぁ………

「はぁ…………、ウィルが戸惑ってるだろ!私はナヴィル。マスターとは、兄弟なんだ。あれでもかなりの実力者なんだけどね……まぁ、それは置いといて、荷物を私の屋敷に運ぼう。それから、今後の活動について相談しよう。」

そう言われて、ナヴィルと共に宿泊先に戻り、荷物を持って、ナヴィルの屋敷に行った。

「ここのギルドは公爵家が後押ししているんだ。マスターになるのは、勿論実力なんだが。ガルバンは公爵家跡継ぎなんだけどね……」

何か諸事情があるんだね、聞かないでおこう……

「この部屋を使ってくれ。私の部屋は反対側。東側の部屋だから。何かあったら来るといい。」

そう言って案内された部屋は、さすが公爵家という感じで、間借りするにはもったいなかった。

「こんないい部屋、もったいない。」
「この部屋なら、安全だからね。悪いけど使って欲しい。そうそう、明日は早速仕事依頼を受けよう。初心者向けで、今後の仕事にも役に立つ必要なものだから。」
「そうなんですね。」
「朝が少し早いけど、大丈夫か?」
「はい!」

どんな仕事だろう。少しワクワクする。
でも、『この部屋なら安全』ってどういう意味だろうか??

ナヴィルは見た目クールで、カッコイイ系の美丈夫だ。
身体も結構鍛えている感じで、クロさんを思い出す。
歳も、クロさんとよく似ている気がする。
クロさんより少し下か上かって感じだ。

クロさん……元気かなぁ……
黙って出てきたから、怒っているかも……

落ち着いたら、連絡しよう。
今はそっとして欲しいから……
そんな事を考えていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

処理中です...