番になんてなりたくない!

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学園生活

父からの指示

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「本当に無事でよかった。」
「父上?」
「リリィは体調はもう良いのかい?流行病を抑える際に、君も熱を出したんだろう?」

父に心配そうに見つめられるリリィ。

「大丈夫。あの時は、治療が落ち着いて、ウィルが戻ってきてくれたから、安心して熱出しただけ。シロさんも、疲労のせいだろうって言ってくれてたし。ねぇ、シロさん。」

背後にいるシロさんに振り向きながらそう答えていた。
シロさんも、肯定を示すようにうなずいた。

「ウィルの方は?大丈夫なの?」

父上が私の方を見る。

「大丈夫です。無理しすぎる場合は、クロさんが止めてくれるから。ね、クロさん。」

そう言って、クロさんを見上げる。

「勿論です。」

うん、僕たちの側近は優秀だから。ついつい自慢したくなる。

「そうか………わかった。今回は、危険な事もあったようだけど、よく頑張ってくれた。ありがとう。後は、兄達に任せなさい。」
「えっ………」
「何か問題でも?」
「まだ、ハウス栽培が軌道に乗ってないし、用水路も完成してない。もう少し……」
「その、ハウス栽培の件は、父が指示しよう。農作物を作る研究とかしていたからね。ジュドーも手伝ってくれるよね。」
「御意に」

父は、背後に立つジュドーにそう声かけていた。

「でも、用水路の件は……」
「南の地域にある用水路を参考に作るのだろう?ウィルとリリィの従者が動いているなら、兄に任せれば良い。結果は教えてあげるから。君達は学園に入り、学びなさい。」

まだ入学は先だと思っていた。
優秀な子供が早くから入学し、飛び級で進級したりしているのは知っていた。
でも、自分達がこの歳で入学するとは思っていなかった。
まだ、時間がある……そう思っていたんだ。

「入学の手続きは済んでいる。学園では、寮生活になるが、兄達も通っていたところだから、大丈夫。従者は寮での世話としてついていく事ができる。学びが必要な者は、学園で学ぶ事も許されている。まぁ、君達の2人は必要無いとは思うが……年齢的に同学年クラスは無理だけどね。」

ゲームでの従者は別の者。その時も、歳が離れていた。従者は17歳で,成人していたから、寮でお世話してくれていたんだ。

この国の成人は16歳。平均寿命が65歳だから、こんなものだろう。
もっと長生きする者も勿論いるが、自然災害や、疫病、農作物の影響などで、そんなに長くはないんだ。
日本のように、食糧がほぼ安定し、医療水準が高ければ話は別だったのだろうが……

学園に入学するのは、基本7歳から。それまでは家庭で勉強しているのが一般的だった。
まだ1年あると思っていたのに……
それまでに、もう少し、したい事があったんだ……

「大丈夫ですよ。犬もいますから。」

私の考えていることを察してか、クロさんがそっと呟いてくれた。
そうだね、学園で学びながら、クロさんが付いてきてくれるなら、彼らと連絡し合い、私の欲しい情報や、したい事をしてくれるだろう。

何が起こるかわからない。
ゲームでの出来事が微妙にズレたり、無くなったりしているのだから…
でも、これから起こるかもしれない出来事が、全て無くなるとは限らない。
まだまだフラグの分岐点とかあるんだ。

私は、死にたくないし、閉じ込められたり、陵辱されたりしたくない。
普通が良いんだ。
そして、この国、国民、家族が幸せになる道を探したい。
学園に行くことは、決定事項だし、そうなると、リリィとずっと一緒というわけにはいかない。
離される。
当たり前の事なんだけど……

リリィが心配そうに見つめてくる。
大丈夫と言い切りたいが、自信がない。
なら、笑顔で応えよう。
少し顔が引きつるかもしれないけど、応えないよりはマシだ。

ニッコリと微笑んで、頷いてみた。
リリィも何かを決意したみたいに、頷き返してくれた。

「学園入学は2週間後。準備しておくように。」

そう言われて、部屋を出た。
出来るだけの準備をしておこう。
やるしかない。そう決意して。
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