番になんてなりたくない!

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怪しい気配

次に向かって

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ミシュル領に向かって出発した。
あの地は少し寒いからと、クロさんとシロさんが防寒着を準備してくれる。
兄上達も、色々持たせようとするけど……そんなに要らないよ。
基本、現地調達。その方が、その地域のことが理解できるからね。

まぁ、特性収納ボックスに色々詰めてるからっていうのもある。

ガラガラと馬車の車輪の音を聞きながら、現地資料を読み返す。

「ウィル、何か気になるものある?」
「ん?気になると言えば、かなり気になるかなぁ……過去の歴史書とか、地質学とか、色んなものを読んできているんだけどね…」
「それで?」
「うん、この山脈の近く、ここの湖が気になるんだ。」
「あぁ、生き物がいないんだっけ?」
「そうそう、ほら、昔海だった所が何らかの原因で隆起し、山脈や産地になり、その為に不思議な湖が出来る」
「不思議??わかった、塩湖だ!」
「正解。多分ここの湖はそうなんじゃないかなって思うんだ。もしそうなら、貴重な塩が取れる。」
「成る程ね、そうしたら、それで資金を得れる可能性が高くなるね。」
「そう、それを基盤に資金を集めて、農作業用に使おうと思うんだ。」

少し、考えながら、今度は別の資料を見せる。

「あと、悪魔の水とか、霧とか言われてるんだよね、ここ。」
「悪魔の水とか、怖いね。」
「卵が腐ったみたいな匂いがするんだ。で、一部物凄く熱すぎる水が湧き出て、時に高く立ち上り、霧状にあたりがなるとか……」
「そっ……それって……」
「リリィ、わかった?私の予測だと硫黄の温泉だと思う。そして、時折、間欠泉が吹き出してるんだ。」
「となると?」
「うん、温泉施設が作れるんじゃないかなぁ……後、地熱を使ってハウス栽培とか」
「それ良いね。」
「だろ?でも、どちらにしても資金がいるから、まずは塩だね」

「うん、良い考えだと思うよ。だとしたら、温泉施設か。露天風呂、最高だな~~」

心の声が漏れてるよ。

「そうだね、で、この湖の近くのこの辺りに、塩田(エンデン)みたいなのを作ってね。どう?」
「いいと思う。他は?」
「うん、後はね………」

考えている事をリリィに話す。
リリィが楽しそうだ。
どうせやるなら、楽しい方が良いものね……


「ウィル、リリィ、もう少ししたら休憩しますね。寒くないですか?」

シロさんが聞いてきた。
何時もは同席するんだけど、少し退屈だからと、今は馬に乗っている。
そんな彼が、心配そうに聞いてきた。
クロさんも心配そうだ……
クロさんは、せっかくなので、お二人でと馬で並走している。

「大丈夫だよ。次の町まで後どのくらい?」
「本日中には着くと思います。殿下達には野宿させたくないですからね。」

それも楽しそう……そう思ったけど、後で怒られそうだから、我慢しとこう……

そうこうしていたら、遠くで小さく目的地が見えてきた……
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