番になんてなりたくない!

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怪しい気配

とりあえず、許可取得

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「兄上、ずるいです。」
「その言い方、ずるい!!」
「ふふっ、じゃ、諦めて帰るかい?」

ううっ………

リリィと2人で目を合わす。
こう言い出したら、諦めて話すしかないか……

「実は、北の地に行こうと思って……」
「北?北のどこに?」
「ミシュル領です。」
「ミシュル領?あの北の大地で何かあったかなぁ?確か、天候が悪くて収穫量が減ってると言っていたか……あの領の北側にそびえ立つ山々のおかげで隣国からの干渉はなかったはず……」

ミシュル領の北側には山脈や山地が広がり、その北側にあるロドスタ帝国からの干渉を防いでいる。
でも、いつどのようにあの国が進行してくるかわからないし、この異常気象で作物が取れてないのも事実。
今後の事も考えて、現地調査及び指導や、何かいい特産品になるような物を探したかった。
今後の領民の生活に必要だから……

この国の一人一人が、命の温もりを感じて、安心して暮らせる国。
輝く未来のために、今、自分達が出来ることをする。

そして、自分自身も、あらゆる不幸フラグから逃れたかった。

兄にはそんな事は言えない。他の者にもだ。
分かり合えるのは、リリィとだけ……

「兄上、ミシュル領の北側には山脈や山地が広がり、その北側にあるロドスタ帝国からの干渉を防いでいます。
でも、いつ、どのように、あの国が進行してくるかわからないし、この異常気象で作物が取れてないのも事実。進行しなくても、暴動は起きるかもしれない。ですから、今後の事も考えて、現地調査及び指導や、何かいい特産品になるような物を探したいのです。」

「う~ん、でも、それはお前達でなくてもいいんじゃないの?まだ幼いのに。他の者に任せては?」
「確かに、私達は幼いです、でも、この国の皇族と生まれたからには、そのような事を言ってはおれません。それに……」
「それに?」
「…………」

フラグの事は言えない。
自分で回避したいだなんて……なら、どう言う?

「兄上、幼いと言いますが、私とウィルはいろんな下準備をしてきました。過去の帳簿や記録その他の調査。勿論、クロさんやシロさんにも手伝ってもらって……出来ていないのは現地調査。ですから、私達が行った方が早いです。今回のように問題が発生したら、報告して助けをこいますから、行かせてください!!」

リリィが兄上に詰め寄って許可を求めてくれる。

「「兄上、お願いします。許可を!!」」

はぁ~~~~

兄上の大きなため息。

「わかったよ。父上や兄上にも報告しておく。但し、無茶はしない事。それから、その件が片付いたら、しばらくは城に戻って勉学に励む事。」
「無茶はしませんが……」
「何か問題でも?お前達もそろそろ学院に行く準備をしないといけないよ。わかるだろう?」

忘れてた………この国は、例え皇族でも、学院などの学校に行かないといけない。
貴族間の交流や、今後のために……

「とにかく、そう言う事。わかった?」
「はい、兄上。」
「わかりました。」

兄との交渉はできた。
学院か……憂鬱だ。

「ウィル、大丈夫?」
「うん、とりあえず、北に行けて良かったよ。」
「そうだけど……」
「学院……だよね。ゲームみたいにならない事祈ってて……」
「私が守るから……」
「リリィ自身にも、イベントあっただろう?」
「でも、ウィルの方が色々と……」 
「そうだね……何とか回避できるように、頑張ろう」

2人でそう話しながら、廊下を進む……
ため息いっぱいだ……


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