番になんてなりたくない!

文字の大きさ
上 下
43 / 220
怪しい気配

兄上が到着した

しおりを挟む
リリィの熱も下がり、食欲も湧いて来たようだ。
良かった。少し安心。それに、ここの住人達も徐々に元気を取り戻したようだ。
油断は禁物だけど……

「みんなと話したんだけど、もうここの者達は、自分達でもどうにか出来そうだ。この病気に効く薬と治療法もわかったしね。」
「そうなんだ」
「まぁ、彼らがもう少し面倒見てくれるって言ってくれたしね」
「そうなんだ」
「でね、兄上が明日、つくらしいよ」
「そうなん………えぇ~~~~~!!」

私がニコニコ笑顔で微笑みながら話すと、リリィが思わず絶叫を上げた。
こらこら、女の子なんだから、それはどうなの?

「カラスがね、兄上が兄上率いる騎士団と共に、コチラに向かってるんだって。だから、治療してくれてる者達の護衛を、兄上にお願いしたら、彼らが無理やりこの地に留まらされることもないし、勿論拘束されることもない。でしょ?」

「確かに……」
「彼らは自由な民だ。自分で主人も決めるらしいよ。それが、兄上だったら言うことないのにね」
「えっと………ウィルっていう選択はないの?」
「私は皇族、皇子だけど、末だから……それに、モブだし……殺されるリスク高いし……」

そりゃ、そうしてくれたら嬉しいけどさ……モブだし……それなら、兄上の方が良いじゃないか!!
思わず落ち込んでいく~~~~

「でもさ、ゲームとは少しずつ展開がズレてるから、大丈夫じゃない?」

ジト~~っとした目でリリィを見つめる。
そりゃ……でもさ……
今後、変な奴に捕まったり、殺されたりの可能性がまだまだ続くんだよ~~

「彼ら、きっとウィルと主従関係結びたがると思うよ。私のカンは当たるんだから!!」

リリィはそう言ってくれる。
嬉しんだけど、喜べはい自分がいる。
まだまだだなぁ………

そうこうしていたら、翌日と思っていた兄上が到着した。
馬から降りた兄上が、私とリリィ抱きしめる……かと思ったら、拳骨が落ちて来た。

「「痛~~~~い!!」」

2人とも頭を抱え込み蹲りそうになる所を、抱きしめられた。

「僕の大切な弟と妹は、少し行動力がありすぎて心配だ。もう、みんなどれだけ心配したか、わかる?」
「「ごめんなさい……」」
「もう良いよ。元気でよかった。お前達のおかげで、国中に広がることもなく、多くの死者が出ることもなかった。よくやった!!」

今度は頭を撫でくりまわされた。

「さてと、リリィ、君のシロさんは?」
「??」
「詳しい現場説明と、今回の症状及びその対処法、薬の調合など聞かないといけないからね。メモとってくれてるよね」
「確か、シロさんが……薬のストックは、皆んなが作っておいてくれてるよ」
「上出来です」

そうして、リリィをさらに撫でくりまわした。

ん?何だか視線を感じる。
視線を探す。
兄が連れてきた騎士達に隠れるように、じ~~~っと見ている者がいる。
いるのはわかるのに、見え隠れして分からない……だれ??
だれがだれを見てるんだろう……それは私たちにとって危険人物?それとも??
そう考え込んでしまった。
視線は感じるのに、姿が見えない………
私を?それともリリィ?
兄上?
怖いんですけど……
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

第十王子は天然侍従には敵わない。

きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」 学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

処理中です...