番になんてなりたくない!

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怪しい気配

使える者は使おう!

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借りている自室で、悩み込んでいた時、エンダと呼ばれた男性が主人からの伝言だと、家督の印を押された手紙を渡してきた。

「先程は失礼致しました。主人からの手紙です。あと、私も協力するよう命じらておりますので、なんなりと……」

そう言って、胸に手を当て礼をとる。
一見優男のようだが、細身に見える身体は実際はかなり鍛えられているだろう事が伺えた。

「そうですね、それでは、エンダはこのメモにある物を至急準備して、隔離されているあの村に届けていただけませんか?」

そう言って、メモを手渡した。
記載しているのはこの地域に採れる薬草と、食料。
必要物資は物によるが基本現地調達必然だ。
ある程度のものはリリィのとっておき収納の中に入れてあるから大丈夫だが、それでも足らずの物や、あった方がいい物もある。

「あと、1人、信用できる者をお貸し願えませんか?」
「私以外ですか?」
「はい。私の者達がある程度調査やその他で動きますが、どうしても人手が必要時の連絡要員がいれば助かるのですが……」
「わかりました。では、少しお待ちいただきますが、よろしいですか?」

そう言って、エンダは部屋を出て行った。
1時間後、エンダは自身にそっくりの男性を2人連れてきた。
エンダよりも若干若く見える2人だ。

「これは、私の双子の弟で、カムイとサライです。」
「初めまして、エンダの弟のカムイです。」
「サライです」

「この2人に先ほどの物を調達しつつ現地に運び込ませます。後は、必要人員などの調整や、必要な調査は私がさせていただきたい。主人からも許可は頂いておりますので、よろしくお願いします」

そっと後ろに控えるクロさんを見る。調査やなどはクロさんのお手のものだけど……

「我が君。せっかくですので、協力していただきましょう」
「そうだね、じゃ、詳しい事はクロ……いや、ノアールに聞いてもらえる?」
「「「かしこまりました」」」

そう言うと、クロさんは3人を連れて、別室に向かった。

さてと、クロさんの調査書を収納から取り出して確認する。
そして、羽ペンを取り、自分なりにまとめると共に、計画を書き出す。

大規模な木材伐採の原因のひとつとして、大型船の造船や建物建築の急増があったようだ。
受注先は………なるほどね…
そして、例の宗教団体の活動が急速に増えてもいるようだ。
かなりの勧誘や金銭面、その他でもトラブルが起こっている事はクロさんの調べでわかった。

取り敢えずは、病気をどうにか封じ込めて、伐採計画に植林計画もねじ込んで……
宗教関係は……あのイベントはまだ先のはずだから……回避するには…

書き記した物を眺めながら、考える。
父上や、兄上達にも報告書を送る必要性があるな……

急いで書き留め、自分の印で封書し、窓辺に向かう。
多分、父の隠密が……いるのは知ってるんだよね。
実は…今まで知らないフリしてたけど……
勿論、クロさんもシロさんも、リリィも知っている。

「カラス、いるんだろう。出てきて渡してもらいたいんだけど?」
「………」
「カラス?」

すっと窓から黒ずくめの男性が入ってきた。
「カラス。こんにちは」
「………」
「カラス、これを父上に渡してくれますよね」

そう言ってニッコリ渡す

「いつから、気がついていたのですか?」
「ん?初めっからだよ。気配消すの上手だよね」
「はぁ~~~、了解いたしました」

それだけ告げて、消えた。

振り向くと、クロさんが立っていた。

「話はついたぞ。手紙、渡したのか?」
「今回のは、少し大掛かりだから、報告しておいた方がいいと思ってね」

そう言って、クロさんのいれてくれるお茶を美味しく頂いた。

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