番になんてなりたくない！

怪しい気配

ルンバード伯爵邸について

ルンバード領に到着し、ルンバード伯爵邸で世話になる。

ここに来るまでに、彼が頑張っていることが見てわかった。
領民が笑顔である事と、以前よりも活気に満ちていた。
道路も全てではないが、整備されている。

「殿下方、よくお越しくださいました。お疲れでしょう。どうぞどうぞ」

そう言われ、執事や召使い達の案内で部屋に入る。
あんなによく肥えていたルンバード伯爵は、今では人が変わったようにスリムになり、知的に見えた。
こんなに変わるものか？なんて思ってしまったぐらいだ。

「リリィの部屋は隣だね」
「そうね。着替えたら、ウィルの部屋に行くね」

そう言って別れ、メイドが浴室の準備をしてくれていたので、ありがたく使用する。
お風呂は良いね。疲れが取れる。
ここで少し情報を取って、2日後には出発する予定だ。
強行軍で行ったらついて来る者も疲れるしね。休憩は大事だ。

お風呂から出て、ホカホカしながら着替えて、クロさんが入れてくれたお茶を飲む。
その間にクロさんが髪を乾かしてくれた。

「我が君、髪はきちんと拭かないと風邪をひきますよ」

いつものお小言が、よその場所だから、物凄く丁寧でなんだか変な気分だ。
いつもなら、『ウィル！髪きちんと拭いて出て来いって言ってるだろ！風邪引くだろうが！』まぁ、こんな感じか。

専属執事兼護衛だからなぁ……でも、まっるで『オカン』だ。
それも楽しいから、良いんだけどね……

コンコンとノックして、リリィが入ってきた。

「ウィル、入るよ。クロさんありがとう」

シロさんと共に入ってきたリリィに椅子を勧め、お茶を出していた。
うん、さすが。

「2時間後に食事だと言ってたから、明日の予定を相談しよう」
「そうだね。私とシロさんはとりあえず、食料の調達兼情報収集して、病気関係を重点にしとくね」
「そうですね。場合によっては薬の調合変更も考慮する必要性があるかもしれませんしね」

シロさんと2人でうなずいている。

「僕たちは、伐採状況とその被害及び今後の懸念を考慮しての情報収集だね。あと、不穏な動きはない？クロさん」
「流行病の件でどうも発症地域が隔離されてるようだ。食糧とか、薬なんかが上手く支給されてたら良いが、どうもそういう訳には行かないようだ。場合によっては暴動が起きるかもしれない」

「急ぐ必要性はあるけど、急ぎすぎて準備が整っていない場合は不味いことになるね。急ぎながら、出来るだけの準備をしておこう」
「そうだね。不足より、余るぐらいが良いものね……出来るだけ不足しないように考慮しとくよ」

そう言いながら、必要なものなどを書き出して、収納ボックスにしまっておこうとしたら、クロさんとシロさんが預かっておくと言って懐に入れていた。

2人とも優秀だから、任せよう。
あれこれしてたら、あっという間に2時間が過ぎ、執事が迎えにきた。連れられて食事を取りに行く。
ルンバード伯爵からの話も聞けることを期待して……