番になんてなりたくない！

これって………

騒がしいです

外がガヤガヤと騒がしい………と思ったら、1人の男性がアリシア姉様の元にふらつきながら歩いている。
何か変だ………
懐から、キラッと光るものが見えた……

私達が食べてるのを良いことに、兄達は、公爵、侯爵、子爵の人に囲まれて話している。
リリィはおかわりをもらいに行っていた。
どうしよう………そう思ったら、駆け出した。姉様……
人々の間を抜けてかけて行く。
「姉様！」
「ウィル？」
思わず姉様に抱きつき、勢いで身体を回転させる。
「えっ？何？」
ぐっ…………く……
姉にしがみつきながらも、身体が床に落ちて行く……

「「「ウィル！」」」

兄達が異常に気がついたのか、走ってきた。
リリィが私を抱きとめる。
今、犯人を蹴り倒してきたね。後で怒られるよ………

兄が騎士に指示してそっと犯人を捕らえる。
何か喚いているが、声の自由を奪い、喋れないようにしている。

「少し飲みすぎたみたいですね」

そう言って連れて行かれた。

アリシア姉様は、母の側に連れて行かれ、父様が壇上から降りてきた。
ものすごく不安そうにしながら、リリィから私の身体を受け止めると、抱き上げた。

「皆のもの、祝いの席で騒がせた。息子は眠くなったようだ。下がらせるので、そのまま楽しんでもらいたい。」
そう言うと、少し席を外すと告げて、会場を出た。

出てしばらくはゆっくりと歩いていると思ったら、途中から走り、私の部屋に連れて行ってくれた。
部屋には侍医が待機しており、服を脱がされ、手当てされた。

「あまり長時間席をはずすと、不安が拡がります。父様、兄様、宴に戻って……ぐっ」
「父様、兄様。ウィルには私がついてます。何かあれば筆頭に伝えるから……」

「わかった。何かあれば直ぐに伝えるんだよ。」
「はい」

そう言うと、父様は兄達を伴って会場に戻った。

「ウィル？」
「大丈夫。リリィが小皿をくれてたから、助かった………でも、衝撃はあったから、痛い……」

ゲーム上、今日のイベントは知っていた。
姉の友人である侯爵令嬢がトラブルに巻き込まれ、姉が解決を手伝ったんだ。
それに対しての言いがかり及び妬み恨みで、姉が暴漢に襲われる所を、私が庇って死ぬと言うもの……姉はその後、後悔に苛まれ、神殿にこもることになる……
姉には好きな男性がいて、近々婚約するはずだった………こんな感じ。

でも、知っていたから、バイキング方式の食事を2人で取りに行った時、食事を取るフリをして、懐に小皿を数枚入れておいた。
どのタイミングかは、わからなかったんだけどね……

結果、刺されたけど、小皿が受け止めてくれた。但し、勢いが良かったから(大人と子供の違いかなぁ……)小皿が肌に少し食い込み、あざが出来た。

「皇子。無理しないでくださいよ。この程度ですんで良かったですね」

そう言いながら、湿布と包帯で処置してくれた。