竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
264 / 266
未来に向けて

エピローグ

しおりを挟む
そんなこんなで、最初はトラブルだらけの旅行だったが、その後はスムーズに日々を過ごせた。
みんなで釣りに行ったり、ボートで遊んだり、馬で遠乗りっていうのもあった。
楽しい時間はあっという間に終わるわけで、今は自分の寮内の部屋に戻ってきていた。
実家に帰った時には、お土産をしっかり渡してかなり喜んでいた。
いつの間にか王太子も我が家にちゃっかり馴染んでいて、逃げ惑う兄を捕獲してたなぁ…
さすが竜人族の男性だよ。
ディは仕事で来れないと嘆きの伝言が送られてきた。
そりゃ、王弟だし、領地経営もある。後、僕がアカデミーを卒業したら講師も辞めるらしく、引き継ぎとかも忙しいらしい。少し寂しい気もするが…でも、僕には呼び出さなくても勝手に出てくるようになった英霊達がいる訳で…
まぁ、空気を読んで出てこない時もあるけどね。
ディアブロが出てきそうになった時は、皆んなが全力で止めてくれていた。
ディアブロの方が実力は上なのだろうが、そこは皆んなに対しては手加減しているのだろう。

「明日で卒業か…長かったような短かったような…」

クローゼットから明日着る予定の服が取り出されて吊るされている。
卒業式用の制服と、卒業パーティー用の服だ。
それが終われば順次この寮を皆んな退去していく。
いっぺんに皆んなが退去したら、周りが混乱するからと、三日ぐらいの猶予があるんだ。
ちなみに僕は翌日退去。ディがどうしてもと言って手配してくれていた。
まぁ、荷物はあらかたまとめてはあるんだけれどもね、ディアブロが。

大切にしまっていた僕の覚書ノートをパタンと閉じる。
うん、色々あった。
しっかりと頑張って回避をしたつもりだし…みんなの手助けもあったなぁ…

窓から外に見える月を眺める。何だかぼやけてしまう。

「カル」
いきなり背後からあたたかな温もりと、安心できる香りがした。
「ディ…」
そっと抱き上げられて、ベットまで運ばれる。
膝の上に横抱きにされて、瞼のそばを唇で…
どうも僕は泣いていたようだ。
涙を唇で拭われて、抱きしめられる。

そっとベットに倒されて、お互いベットに潜り込む形で横になった。
僕はディの腕の中に包まれて…

「今日は抱きしめて寝るだけだ。明日は…」

それだけ言われて、安心感のせいなのか、それとも何かされたのか、僕はそのまま夢の中に旅立った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

伯爵家のいらない息子は、黒竜様の花嫁になる

ハルアキ
BL
伯爵家で虐げられていた青年と、洞窟で暮らす守護竜の異類婚姻譚。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

双子は不吉と消された僕が、真の血統魔法の使い手でした‼

HIROTOYUKI
BL
 辺境の地で自然に囲まれて母と二人、裕福ではないが幸せに暮らしていたルフェル。森の中で倒れていた冒険者を助けたことで、魔法を使えることが判明して、王都にある魔法学園に無理矢理入学させられることに!貴族ばかりの生徒の中、平民ながら高い魔力を持つルフェルはいじめを受けながらも、卒業できれば母に楽をさせてあげられると信じて、辛い環境に耐え自分を磨いていた。そのような中、あまりにも理不尽な行いに魔力を暴走させたルフェルは、上級貴族の当主のみが使うことのできると言われる血統魔法を発現させ……。  カテゴリをBLに戻しました。まだ、その気配もありませんが……これから少しづつ匂わすべく頑張ります!

気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!

甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!! ※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

処理中です...