竜の国のご都合主義?

文字の大きさ
上 下
230 / 266

驚きの真実

しおりを挟む
移された場所は青い空に白い雲が風に吹かれて流れて行き、地面は草原と、あのリリアンの花が咲き乱れていた。

そしてあの時の石碑…僕の屋敷の近くにあったものと同じ。
僕がこの世界で記憶を取り戻した時と同じ…

思わず周りの風景に見入っていた。
僕の両親も何か考え込んでいる様子だ。

「まぁ、少し話がややこしく感じるかもしれないから、とりあえず座ろうか?」

そう言ってスレインが僕達にテーブルにつくように促した。
と言うか、いつの間にテーブル?しかもテーブルの上には、お茶が配られ、しかもお菓子も置かれていた。

僕の横にはディが。背後にはディアブロ。
ディアブロは立っているんだ。

「私はあなた様の従者。執事兼護衛ですから。」
「いゃいゃ、神だろう?」
「はい。ですが、我が君の執事兼護衛ですから。」

ニコリとして姿勢を崩さない。
うん、もう良いよ…

僕の横には両親と叔母夫婦が座り、母の背後にはシルバーが立っていた。
これは護衛と言い切るんだろうなぁ…

向かいの席にはスレインが席につき、その横にはなぜか愛が座らされていた。
戸惑う愛に対して、スレインがお茶を進めて甲斐甲斐しく世話を焼き、その背後にはいるんだ…マリエット•グランドル。この二人の関係性は良くわからないけど、見た感じは主従関係?
でも、スレインは前世神で僕の友人。マリエット•グランドルは今代の巡礼メンバーという関係性だったと思うのだけれども…
まぁ、後で教えてくれると信じよう。

席と席の間を少し空けて、光と闇の二神であるリーミエとカーミエが席につき、その反対側にアルメルアとシルメール、バルマスールが席についた。

何とも言えない。うん、会議のようだ。
シルバーの方をチラッと見ると、僕の考えと同じように思う。
何とも言えない表情だ。

「さて、良いかな?まず何処から話そうか?さっきまで奴の監視があったからね。」
「あやつは相変わらずなのか?」
「まぁ、仕事と言えば仕事だし、趣味と言えば趣味じゃないかな。」

アルメルアがスレインにそう問うと、スレインはそう答えた。
よく分からない。『奴』って誰??
想像するに、神の一人のようにも思うけれど…


「神の諸事情だよ。世界の住民には傍迷惑に感じるし、創造神にしてみたら嫌な感じだけどね。」

そう言うと、スレインの姿が急に僕の側に来て耳元でそう話しかけた。
思わずビクッとしてしまう。
僕の考えがわかった?それよりさっきテーブル挟んで反対側にいたはずなのに。瞬間移動??

「ふふふっカルロスは相変わらず可愛い。」
「離れていただこうか」

スレインがそう呟くとすぐさま僕の隣が反応する。
ディが僕を椅子から抱き上げて膝の上に座らせてしまったんだ。
横抱きの状態なのは恥ずかしいのだけれども…

「相変わらずだね。ジャディール先生は。ふふふっ…」

そう言ったかと思えば目の前の席に腰掛けていた。
えっと…

「神々よ。我らにもわかるように教えていただきたい。」
「そうです。これはいったいどう言うことでしょうか?」


いつの間にか僕の英霊達が少し離れてた場所に立っていた。
これって??

あまりの展開についていけず、魂が抜けて行きそうだ。
ヒュルルルル~~。

「うん、元々はこの世界は私達。そう、私とラミアが創造した世界だった。」

スレインが表情を固くして脚を組み直して話しだす。
そこから延々と説明が続くが、神の都合で説明できないこともあると一部というか、多いに誤魔化されたように思う。
だが、そこにはとんでもない内容も含まれていた。

「で、僕はこの世界を一旦去って傍観していたんだ。神の領域からね。で、奴がラミアを手に入れようとして拒否されてこんな状態になった。ラミアは僕達二人で作った世界を愛していたからね。自分の力を色々と分けたんだ。そうだろう?」

そう言って優しく神玉を撫でるスレイン。そして何故か愛を抱きしめている。
えっと??

「奴はラミアを諦めきれない様子でね。この子達を通して何とか彼女を向こうの世界に私が隠したんだ。それが愛だ。これには奴もうまく騙されてくれたのに、味方からもバレないようにってね。後少しってところで何故かシルメールが入り込んでしまってね。焦ったよ。まぁ、神玉はこちらにあったから結果的にはね…」

そう言うと、スレインは神玉を愛に渡し、慌てて受け取ろうとした愛の体に神玉がスーッと入っていった。
愛の身体が急に光に包まれて…

「えっと…」

一気に膨大な情報が彼女の体に駆け巡ったのか?彼女はかなり動揺していた。
僕達はそれをただ見守った。

だってどうしたらいいのか分からないんだ。どうしようもないとも言える。

「ラミア…様…」

シルバーが何とも言えない表情になった。
それもそうだろう。ただの我儘で、傍迷惑極まりなかった(シルメールのせいでもあるけれど)今代の聖女が、自分が仕えていた神であったのだから。
姿は違うかもしれないけれど、何か感じることがあるとか…

シルバー自身、今は母と契約しているとは言え、どうするのだろうか?
元仕えていた神の元に帰るのか?

「大丈夫?ラミア…いゃ、今はアイだね。」

そう言うと、スレインは優しく愛の方に微笑んだ。

「えっと…そうね。今は愛だもの。そう愛よ。スレインで良いのよね?」
「そうだね。スレインだ。スレイン•オリハルト。妖精国のオリクサ王国から竜人の国、アステードのアカデミーの学生でエルフ族。羽は隠しているから見えないけどね。まぁ見せるつもりもないけど、君が見たいと言うなら見せても良いよ。そこにいるカル、カルロス・セイクリオンとはアカデミーでの友人であり親友。カルの番いであるジャディール先生の教え子であり、今回の巡礼メンバーの一人。」

「そうね…そうなのよね…と言うか…迷惑をかけたわ~」

大きなため息を吐いて愛がテーブルに突っ伏した。

「まぁ、元々は奴の所為でもあるけれど、君も結構拒否してたしね。」
「そんなの…でも、奴と言っても…」
「まぁそうなんだけどね。とりあえず戻ろうか。そして僕達は行かないとね。」

また訳のわからない会話が始まった。
いったいどう言うことなんだ?
親友のスレインがこの世界の創造神の一人で、『奴』という別の神に敗れたんだろう?で、その『奴』と言われている神が神ラミアを破壊した形になった。その『奴』と言われる神が何処からかこの世界に干渉しつつ、神ラミアを諦めきれていない?アルメルアの双子神である神シルメールは勝手に嫉妬してこの世界の破壊に乗り出して『奴』に踊らされた形になった?おかげでこの世界は異世界からの扉の恐怖に怯えて…


はっきり言おう。神の傍迷惑に付き合わされただけだ。
神は自分勝手だと言うけれど…何と言うか…
それに過去の聖女達も振り回されてこの世界に連れて来られた。
いくら神ラミアのカケラ云々いってもだ。

こんなややこしい設定してなかったと思うんだけれども…

じゃあ、僕はいったい?
ディアブロは僕に執着してこの世界に連れてきたみたいに言っていた。
でも、神々のいざこざなんて…

神々の都合だ。もう考えても無駄だろう。
両親も叔母達も呆れ返った感じだ。
ディは…うん、少し怒っている感じだけれども、『はぁ…………』と深いため息を吐いて考えるのをやめたようだ。
うん、そうなるよなぁ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家のいらない息子は、黒竜様の花嫁になる

ハルアキ
BL
伯爵家で虐げられていた青年と、洞窟で暮らす守護竜の異類婚姻譚。

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

双子は不吉と消された僕が、真の血統魔法の使い手でした‼

HIROTOYUKI
BL
 辺境の地で自然に囲まれて母と二人、裕福ではないが幸せに暮らしていたルフェル。森の中で倒れていた冒険者を助けたことで、魔法を使えることが判明して、王都にある魔法学園に無理矢理入学させられることに!貴族ばかりの生徒の中、平民ながら高い魔力を持つルフェルはいじめを受けながらも、卒業できれば母に楽をさせてあげられると信じて、辛い環境に耐え自分を磨いていた。そのような中、あまりにも理不尽な行いに魔力を暴走させたルフェルは、上級貴族の当主のみが使うことのできると言われる血統魔法を発現させ……。  カテゴリをBLに戻しました。まだ、その気配もありませんが……これから少しづつ匂わすべく頑張ります!

気づいて欲しいんだけど、バレたくはない!

甘蜜 蜜華
BL
僕は、平凡で、平穏な学園生活を送って........................居たかった、でも無理だよね。だって昔の仲間が目の前にいるんだよ?そりゃぁ喋りたくて、気づいてほしくてメール送りますよね??突然失踪した族の総長として!! ※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...