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扉
反撃?
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思考回路がおかしくなって、とにかくぽやぽやしていた。
ディアが悲しそうな、哀しそうな顔をしたから、手を伸ばして抱きしめてあげたかった。
時々してあげるように、髪の毛を両手でくしゃくしゃにも…
「では、我が君、少しの間側を離れることをお許しください。では。」
「お許しください。行ってきます。また…戻ってきます。」
「ディア?」
そう声をかけると、二人とさっきの男の気配が消えた。そう、感じ取れないから、転移した?
二人はあの男を連れてこの場から消えたんだ。
「カル、少し歩くぞ。」
そう言って抱き込み直してからゆっくりと歩き出した。
優しく抱き起こされて、横抱きで運ばれそうになるのをしがみついた結果、子供が大人にあやされながら運ばれる感じの縦抱きとなったんだ。それでも安定の歩行で、ディの体幹がしっかりとし、かなり鍛えられている事がよく理解できた。できたんだけれども、魔物や魔獣との討伐戦の疲労とあの植物系の魔物や媚薬の影響。及びあの男に強制的に昂らされ多性もあって…
いゃ、それ以上に、僕にとっての『運命の番』であるディの全てが僕を昂らせていくんだ。
ディの体温も香りも、そう全てが僕を昂らせていく…
そんな僕に気を遣いながらも、カツンカツンと靴音が洞窟内に反響させながら先を急いだ。
どのくらいその音を聞いていたのだろうか。
長い気もするし、短い??
身体はどんどん熱をもつ。
「カル…カルロス。もう少しだけ我慢して。」
そう言って歩みを止める事なく僕を優しく抱きしめながら、時に背中を摩ってくれるが…それだけでもゾクゾクが止まらない…
やがて、ジメジメした感じでは無く、洞窟内であるにもかかわらず、良い花の香りと水の音が聴こえてきた。
聴こえた音は…湧水の音。
そっと彼の顔を見上げてから、彼の進む方を見ると、エメラルドグリーンのような色をたたえた泉が見えた。
洞窟内の湧き水を湛えた泉。その周辺を小さな花が咲き乱れ、岩壁には神の像が彫刻されていた。
そう、小さな泉の奥に岩壁には神の像が刻まれて浮き彫りされていた。
「ついたよ。少し冷たいかもしれないが…」
そう言って僕の服をスルスルと抱き上げたまま器用に脱がして行く。
彼の胸元の服の生地も感じられなくなったから脱いだんだろう。
ディはその泉に躊躇なく入って行く。
冷たくないのだろうか?
いきなり冷たい水に浸かったら身体に悪いよ。
そんなバカなことを考えていた。
「カル、カルロス。もう少しだけ我慢して。行こうか…」
「ここが…」
体が火照って仕方ないが、それ以上に、独特な雰囲気に一瞬飲まれそうになる。
ディは何かに導かれるように泉の中へ僕を抱きしめたまま入っていった。
ディアが悲しそうな、哀しそうな顔をしたから、手を伸ばして抱きしめてあげたかった。
時々してあげるように、髪の毛を両手でくしゃくしゃにも…
「では、我が君、少しの間側を離れることをお許しください。では。」
「お許しください。行ってきます。また…戻ってきます。」
「ディア?」
そう声をかけると、二人とさっきの男の気配が消えた。そう、感じ取れないから、転移した?
二人はあの男を連れてこの場から消えたんだ。
「カル、少し歩くぞ。」
そう言って抱き込み直してからゆっくりと歩き出した。
優しく抱き起こされて、横抱きで運ばれそうになるのをしがみついた結果、子供が大人にあやされながら運ばれる感じの縦抱きとなったんだ。それでも安定の歩行で、ディの体幹がしっかりとし、かなり鍛えられている事がよく理解できた。できたんだけれども、魔物や魔獣との討伐戦の疲労とあの植物系の魔物や媚薬の影響。及びあの男に強制的に昂らされ多性もあって…
いゃ、それ以上に、僕にとっての『運命の番』であるディの全てが僕を昂らせていくんだ。
ディの体温も香りも、そう全てが僕を昂らせていく…
そんな僕に気を遣いながらも、カツンカツンと靴音が洞窟内に反響させながら先を急いだ。
どのくらいその音を聞いていたのだろうか。
長い気もするし、短い??
身体はどんどん熱をもつ。
「カル…カルロス。もう少しだけ我慢して。」
そう言って歩みを止める事なく僕を優しく抱きしめながら、時に背中を摩ってくれるが…それだけでもゾクゾクが止まらない…
やがて、ジメジメした感じでは無く、洞窟内であるにもかかわらず、良い花の香りと水の音が聴こえてきた。
聴こえた音は…湧水の音。
そっと彼の顔を見上げてから、彼の進む方を見ると、エメラルドグリーンのような色をたたえた泉が見えた。
洞窟内の湧き水を湛えた泉。その周辺を小さな花が咲き乱れ、岩壁には神の像が彫刻されていた。
そう、小さな泉の奥に岩壁には神の像が刻まれて浮き彫りされていた。
「ついたよ。少し冷たいかもしれないが…」
そう言って僕の服をスルスルと抱き上げたまま器用に脱がして行く。
彼の胸元の服の生地も感じられなくなったから脱いだんだろう。
ディはその泉に躊躇なく入って行く。
冷たくないのだろうか?
いきなり冷たい水に浸かったら身体に悪いよ。
そんなバカなことを考えていた。
「カル、カルロス。もう少しだけ我慢して。行こうか…」
「ここが…」
体が火照って仕方ないが、それ以上に、独特な雰囲気に一瞬飲まれそうになる。
ディは何かに導かれるように泉の中へ僕を抱きしめたまま入っていった。
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