竜の国のご都合主義?

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驚きは急にやってくる

誤魔化しきれなかった…

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震える唇から空気が漏れる。

一呼吸して、ぽつりぽつりと前世の記憶が戻るまでの事を説明した。
転生の事は理解できないだろうから、それは説明しなかった。
それ以外を包み隠さず…

途中、涙がこぼれ、嗚咽になりそうなのを、どうにか堪える。
家族みんな、何も言わずに、頷きながら聞いてくれた。
双子の兄はそんな僕をさらに労るように両側から抱きしめた。

全ての話を終え、俯いてしまう。
すると、母の嗚咽が聞こえてきた。

「アル……私のせいで…カルが辛い目に…」
「えっ??」

母の小さな呟きを自分の耳はしっかり拾った。
そして、驚いた。

なぜ、母のせいで、僕が辛い目に遭ったと思ったのだろう?
僕の姿を気にしてだと、後で気がついたが、その時は『なぜ?』と思ってしまったんだ。

「そうじゃないよ…」

そう呟きながら、母を膝の上に乗せて抱き込む父。
竜人は『番』に対してかなり甘い。
父も例外ではなく、日頃から甘々だが…

もしかして、母を泣かせた僕は怒られる??

僕の涙は引っ込んでしまった。
兄達はそんな両親と僕を見て苦笑いをしていた。

「コホン」とわざとらしく咳払いをした長男に、父はハッとしたようだ。
そして、僕が知らなかった事。母の家族と一部の人のみ知っている秘密を教えてくれた。


母は前回の『瘴気』問題で大陸中が混沌仕掛けた時に呼ばれた『聖女召喚』に関係していた。
僕が知っていたのは、『ヒト族の国』に住んでいた母と父が出会い、『番』となって父と共に生きる事にした。
この『竜の国』にやって来た。それだけだった。
まぁ、少し特殊な魔力で、『ポーション』を作るのが得意だった。
そう、回復薬の一つで、薬草と魔力で作られる物だ。

当時、上質なポーション製作者であった母がこの国にやって来るのに、少し揉めたぐらいの認識だったんだ。
だけど…今日話してくれた内容は、当時の出来事や、沢山の問題があった事などだった。
かいつまんだ内容でも、かなりの衝撃的な情報内容だった。

母は、『聖女召喚』の犠牲者の一人と言っても良かった。
双子の姉がいるとは聞いていたが、他国の王族に嫁いだとは聞いていなかった。
基本、『聖女』は『ヒト族の国』の貴族以上の人と婚姻して来た記録があったから、それ以外の国?そうなの??
記録上は『ヒト族の国』ロザリアン神聖国の皇族と婚姻した事になっているらしい。
何やら色々な問題があっての事らしいが…
で、子孫を残さず亡くなったとされている。
実際は、それ以外の国で、婚姻して子供を授かり…

その『聖女』が姉。
つまり、母は『異世界からの転移』『召喚者』となる。
でも、『聖女様』は黒髪の黒い瞳とされているはずだ…
母はそれとは違い、金色の髪•蒼瞳だったから…
でも、それに関しても説明してくれた。

当時、母の双子の姉である『秋本 沙也加(サヤカ)』は聖魔力保持者と認定され、『聖女』となった。
『聖女』は常に一人。
同時に召喚された母は、魔力が『聖女』と違ったとして認定されなかった。
『聖女』でないのであれば、人々の混乱を防ぐためと、髪と瞳の色を変えるしか無かったのだと話してくれた。

だから、『黒髪の黒い瞳』の子供が生まれても、別に問題は無いと言っていた。
兄達と髪色や瞳の色が違うが、父の家系の色だから、たまたまだとも…

母がどんな苦労をしたのか知らず、悲しませたのは…やっぱり僕のせいだろう…

最後、両親達と、どんな会話をしたのか覚えていない。
ふらふらと自室の戻ったのだろう。
気がつけば、自分の部屋で翌朝を迎えていた。


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