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異世界から来た華
出会い。
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****2****
何処に行けば良いのだろう………
空襲警報が鳴り響く。
周りの建物は火に包まれつつある。
この戦争で多くの人が亡くなったと言っていた。
多くの物も無くなった。
父は戦死。5歳上の兄は特攻隊で飛び立ったらしい。
母と妹は爆撃機から落とされた物に巻き込まれた。
私は一人。
私と同じように家族と死に別れてしまった人は多い。
それでも生きている。
母は妹を庇って死んだ。
妹は微かな意識の中で私を呼び、生きることを願った。
「亜希子姉様……逃げて…お願い…私の分まで生きて……」
口角から血が流れ出ている。頭から……脚からも……
嫌だ嫌だ嫌………
1人にしないで……
そう泣きながら願うも、妹は拒否した。
生きることを託された……
だから…死ねない………でも……何処へ………
逃げまどいながらお地蔵様の立つ桜の木の側を通る。
兄と妹と手を繋ぎかつて通ったことのあるこの道。
ボロボロだけど……生きてる。兄様……サチ……
兄と妹を呟きながら呼ぶ……
憔悴しきった状態で……
助けて……
桜の木が揺れる。木の葉が舞い散る。
爆風???巻き込まれる………私も行くの…………
突然足元が光り、光に吸い込まれた………
吸い込まれて意識が途絶えそうになる。
気がつけば土煙りが立ち込む荒野と瓦礫。屍の山……
まるで昔の戦国の戦さ場のよう……
女学校で通った図書室にある歴史の本ににかかれていたような、そんな光景。
腰が抜けて動けない………
ペタリと座り込んでしまった。
怖い………
恐怖でガタガタ震える。
怖い怖い怖い…………恐怖心が立ち上がる。
涙が頬を伝う。
恐怖のあまり声が出ない………
背後から人の気配を感じる。
下卑たる笑いで血のついた剣を構える男がいた。
お尻でずり上がるように後退する。
殺される………
剣が振りかぶる。
もう……ダメだ………
そう思い、両腕で顔を覆う………
しかし、その剣が私に振り下ろされる事は無かった。
顔を両腕で隠して縮こまる私を抱きしめる温もり………
「もう、大丈夫だよ」
穏やかな優しい声がかけられる。
『あぁ、もう大丈夫だ。』
何故だか安堵できる。そして、その人の腕の中で意識が消える………
「気を失ったか……その方が良い……直ぐに片付けるよ。少しだけ待っててね。」
フッと笑みを浮かべ、その人は何か温かい、柔らかいもの……真綿に包みこむように私を何かに包み込んだ。
気持ちいい…安心できる……
「ライト、一気に片付けるよ!!」
「理解しました。魔力が安定していますね。」
「あぁ、もう大丈夫だ。」
何が??そう思ったが、安心感で、意識が沈んでいく私にはその後の事は分からなかった。
次に目覚めた時には、西洋風のベットの上だった。
何処に行けば良いのだろう………
空襲警報が鳴り響く。
周りの建物は火に包まれつつある。
この戦争で多くの人が亡くなったと言っていた。
多くの物も無くなった。
父は戦死。5歳上の兄は特攻隊で飛び立ったらしい。
母と妹は爆撃機から落とされた物に巻き込まれた。
私は一人。
私と同じように家族と死に別れてしまった人は多い。
それでも生きている。
母は妹を庇って死んだ。
妹は微かな意識の中で私を呼び、生きることを願った。
「亜希子姉様……逃げて…お願い…私の分まで生きて……」
口角から血が流れ出ている。頭から……脚からも……
嫌だ嫌だ嫌………
1人にしないで……
そう泣きながら願うも、妹は拒否した。
生きることを託された……
だから…死ねない………でも……何処へ………
逃げまどいながらお地蔵様の立つ桜の木の側を通る。
兄と妹と手を繋ぎかつて通ったことのあるこの道。
ボロボロだけど……生きてる。兄様……サチ……
兄と妹を呟きながら呼ぶ……
憔悴しきった状態で……
助けて……
桜の木が揺れる。木の葉が舞い散る。
爆風???巻き込まれる………私も行くの…………
突然足元が光り、光に吸い込まれた………
吸い込まれて意識が途絶えそうになる。
気がつけば土煙りが立ち込む荒野と瓦礫。屍の山……
まるで昔の戦国の戦さ場のよう……
女学校で通った図書室にある歴史の本ににかかれていたような、そんな光景。
腰が抜けて動けない………
ペタリと座り込んでしまった。
怖い………
恐怖でガタガタ震える。
怖い怖い怖い…………恐怖心が立ち上がる。
涙が頬を伝う。
恐怖のあまり声が出ない………
背後から人の気配を感じる。
下卑たる笑いで血のついた剣を構える男がいた。
お尻でずり上がるように後退する。
殺される………
剣が振りかぶる。
もう……ダメだ………
そう思い、両腕で顔を覆う………
しかし、その剣が私に振り下ろされる事は無かった。
顔を両腕で隠して縮こまる私を抱きしめる温もり………
「もう、大丈夫だよ」
穏やかな優しい声がかけられる。
『あぁ、もう大丈夫だ。』
何故だか安堵できる。そして、その人の腕の中で意識が消える………
「気を失ったか……その方が良い……直ぐに片付けるよ。少しだけ待っててね。」
フッと笑みを浮かべ、その人は何か温かい、柔らかいもの……真綿に包みこむように私を何かに包み込んだ。
気持ちいい…安心できる……
「ライト、一気に片付けるよ!!」
「理解しました。魔力が安定していますね。」
「あぁ、もう大丈夫だ。」
何が??そう思ったが、安心感で、意識が沈んでいく私にはその後の事は分からなかった。
次に目覚めた時には、西洋風のベットの上だった。
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