1 / 42
異世界から来た華
魔力の暴走寸前に……
しおりを挟む
荒れ狂う荒野。
乾いた風に血と焼けただれた臭いが混ざり漂う。
屍の山……
かつて美しい草木でおおわれていたこの場所は今は見るも無残な光景に見舞われていた。
以前より好戦的であった隣国からの襲撃。
彼の国は次々と近隣の小国を飲み込み、帝国へとのし上がろうとしていた。
「我が君!!!ナディル様!!」
「大丈夫だ!!まだいける!!」
「しかし!!!」
「黙れライト!!私はまだ壊れていない!この暴走寸前の魔力をもってしてこの地を守らなくてどうする。他の者達は近ずけるな。巻き込まれるからな……ライト、お前も離れていて良いんだぞ!!」
乱れた軍服。輝きを強める聖剣を持ち、ニヤリと笑う。
止める兄、シリウス現皇帝陛下に上申し、この地に来た。
我がシュナイゼル皇国を犯そうと進軍するアルテカ帝国を撃退すべく
膨大な魔力が暴走寸前の我が身を押して………
どうせ暴走して被害が出るのであれば、今この時に力を使うべきだろう。
この力を持って撃退する。
側を離れようとしないライトを伴い敵陣に突っ込み 、力を使う。
多くの敵を吹き飛ばす……
我が国の皇族男子は時に力の強い魔力持ちが生まれる。
この世界は神も精霊も、魔物もいる。
滅多に姿を現わす訳ではないが、その中でも好戦的な神の末裔が私達シュナイゼル皇国の皇族族だ。
神は巫女に好意を持った。
乱れた戦乱の世を嘆いて…神殿の泉の側で祈りを捧げていた彼女に …
神は巫女の願いを叶え妻とした。
好戦的であった神は妻の願いを叶え荒れ狂う世界を鎮静化させ我が国を建国したとされている。
神の子孫である皇族男子にその力は大なり小なり受け継がれている。
強い力をもつ男子は年齢に応じて力が増す。
子孫と言っても、所詮は人の子。
強すぎる魔力を持つ者はその力に耐えきれず暴走する。
そんな我が子に神は異世界から番を引寄せた。
この世界とは別の世界。全く似た魂を持つ者…
『番』を……
異世界との神との交渉でこちらの世界にやって来るらしいが、詳しくは神のみぞ知る事……
番には魔力が無い。
膨大なな魔力を受け止めるためとも言われるが……
現れる時期はわからない。
現れる場所も……
暴走寸前の自分の前にはまだ現れていない。
過去にも暴走寸前に現れた例はあるようだ……
現れなかった例は無かったと記憶するが、私の場合は例外かも知れない……
ふとそんな事を考えた……
私も皇族。第2皇子としてこの世に生を受けた。
もしかしたら、この時の為にこの力を授かり、番にも会えないのかも知れないな……
フッと笑みを浮かべる。
魔力が乱れる。
少しでも制御出来るように、兄から渡された聖剣に魔力をのせる。
「さぁ、行こうか!!」
「どこまでも、お伴します!!」
勢いつけて駆け出そうとした時、それはいきなり感じられた…
衝撃が全身を掛けめくる。
「何??この焦燥感は??何処だ……泣いている??…何処にいる?」
急に心臓が凍りそうに締め付けられる。
「我が君??」
姿を探す。向こうに気配を感じる。
「危ない!!」
私は気配の感じる場所へ走り出した。
敵に背を向けた訳では無い。
何故か敵陣の中。荒れた荒野、屍の山……瓦礫の側……そこから感じる。
敵陣を蹴散らし、気配を手繰り寄せ、その者を守るように魔力を行使しながら……
使える全てを使った。
今までの乱れが嘘のようにスムーズに使える。
「今行く……」そう呟きながら………
乾いた風に血と焼けただれた臭いが混ざり漂う。
屍の山……
かつて美しい草木でおおわれていたこの場所は今は見るも無残な光景に見舞われていた。
以前より好戦的であった隣国からの襲撃。
彼の国は次々と近隣の小国を飲み込み、帝国へとのし上がろうとしていた。
「我が君!!!ナディル様!!」
「大丈夫だ!!まだいける!!」
「しかし!!!」
「黙れライト!!私はまだ壊れていない!この暴走寸前の魔力をもってしてこの地を守らなくてどうする。他の者達は近ずけるな。巻き込まれるからな……ライト、お前も離れていて良いんだぞ!!」
乱れた軍服。輝きを強める聖剣を持ち、ニヤリと笑う。
止める兄、シリウス現皇帝陛下に上申し、この地に来た。
我がシュナイゼル皇国を犯そうと進軍するアルテカ帝国を撃退すべく
膨大な魔力が暴走寸前の我が身を押して………
どうせ暴走して被害が出るのであれば、今この時に力を使うべきだろう。
この力を持って撃退する。
側を離れようとしないライトを伴い敵陣に突っ込み 、力を使う。
多くの敵を吹き飛ばす……
我が国の皇族男子は時に力の強い魔力持ちが生まれる。
この世界は神も精霊も、魔物もいる。
滅多に姿を現わす訳ではないが、その中でも好戦的な神の末裔が私達シュナイゼル皇国の皇族族だ。
神は巫女に好意を持った。
乱れた戦乱の世を嘆いて…神殿の泉の側で祈りを捧げていた彼女に …
神は巫女の願いを叶え妻とした。
好戦的であった神は妻の願いを叶え荒れ狂う世界を鎮静化させ我が国を建国したとされている。
神の子孫である皇族男子にその力は大なり小なり受け継がれている。
強い力をもつ男子は年齢に応じて力が増す。
子孫と言っても、所詮は人の子。
強すぎる魔力を持つ者はその力に耐えきれず暴走する。
そんな我が子に神は異世界から番を引寄せた。
この世界とは別の世界。全く似た魂を持つ者…
『番』を……
異世界との神との交渉でこちらの世界にやって来るらしいが、詳しくは神のみぞ知る事……
番には魔力が無い。
膨大なな魔力を受け止めるためとも言われるが……
現れる時期はわからない。
現れる場所も……
暴走寸前の自分の前にはまだ現れていない。
過去にも暴走寸前に現れた例はあるようだ……
現れなかった例は無かったと記憶するが、私の場合は例外かも知れない……
ふとそんな事を考えた……
私も皇族。第2皇子としてこの世に生を受けた。
もしかしたら、この時の為にこの力を授かり、番にも会えないのかも知れないな……
フッと笑みを浮かべる。
魔力が乱れる。
少しでも制御出来るように、兄から渡された聖剣に魔力をのせる。
「さぁ、行こうか!!」
「どこまでも、お伴します!!」
勢いつけて駆け出そうとした時、それはいきなり感じられた…
衝撃が全身を掛けめくる。
「何??この焦燥感は??何処だ……泣いている??…何処にいる?」
急に心臓が凍りそうに締め付けられる。
「我が君??」
姿を探す。向こうに気配を感じる。
「危ない!!」
私は気配の感じる場所へ走り出した。
敵に背を向けた訳では無い。
何故か敵陣の中。荒れた荒野、屍の山……瓦礫の側……そこから感じる。
敵陣を蹴散らし、気配を手繰り寄せ、その者を守るように魔力を行使しながら……
使える全てを使った。
今までの乱れが嘘のようにスムーズに使える。
「今行く……」そう呟きながら………
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる