もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

手放せない

幸せ

彼らに閉じ込められるように囲われて、愛され続け、体調の変化に気づいた。
と言うか、彼らの方が先に気づいたようだ。

元々大切にしてもらっていたが、更に真綿で包むように愛された。
いつしか屋敷の中の段差が無くなり、危険になるからと色んなものが模様替えされていった。

「でも、どうしてわかったの？」
「ん？ほら、獣人だから、鼻が良いからね」
「野生の感もかなぁ…」

そう言って、嬉しそうにお腹を撫でられ、耳を傾けたりされる。

「アイリに似た女の子が良いな。嫁にはやらないけどね！」
「アイリに似た男の子でも良いよ。後継は必要だしね！」
「私に似てるより、2人に似た方が良いと思うんだけど？」
「アイリと僕たちの子供だから、どっちでも良い。だけど、女の子欲しい。跡継ぎの男の子も、もちろん欲しいけどね」
「元気に生まれてきたら良いよ。どっちでも愛するから」
「アイリの家族を沢山つくってあげるからね。」
「アイリを手離す事は絶対に出来ないけど、家族は作れるからな」

もう、どれだけ大切にされるのだろうか。幸せすぎて、こわい……
でも……

「あともう少しであえるね」

そう言って、2人から抱きしめられた。

「ん………」
「アイリ？」
「どうした？」
「何か、お腹が……いたたたっ」

お腹と腰を2人がさすってくれる。

「もしかして…」
「呼んでくる！！」

そう言うと、クロードは獣の姿になり、かけて行った。

「大丈夫だ。直ぐに医者を呼ぶから！！」

そう言って、ガナードは、そっと壊物を扱うように優しく抱き上げながらも、屋敷の中に連れて行ってくれた。

天気が良いからと、庭でピクニック気分を味わっていたのに……
黒豹と白豹の姿の2人にもたれてモフモフ感を愛でたり、人型の姿の2人にかまわれたり…
でも、もうすぐこの子達にあえる……頑張らないと…

波のような痛みに耐えながら、ベットに横になる。
屋敷の中は、てんやわんやの大騒ぎだ。

人である私が獣人の子を産むからと、女性医師と産婆の両方呼ばれ、お産の準備に取りかかっているようだ。
室内は女性陣のみ。
男性陣は外に追い出されている。

「もう少しですよ。頑張って。」
「う～～～ひぃ～～ん～～」
「赤ちゃんも頑張ってますからね！」
「ん～～～あぁ～～」
「頭が見えてきましたよ！はい、息吸って！いきんで！！」
「ん～～～～～、！！」

「ふぅ～ふぇ～ふぎゃ～！！」

う…産まれた…

「はい、元気な男の子だよ！もうひと頑張り！！」
「ん～～～！！」

再度息を頑張って整えて、いきみなおす。

「ん～～～～～～！！」
「「オギャー」」
「はははっ、お兄ちゃんと産声が重なってるよ。元気な女の子だ！おめでとう！」

産まれたばかりの我が子を、お腹の上に乗せて見せてくれる。

「よかった…」

そっと2人を撫でる。愛しすぎる。

「今から綺麗にしてあげないとね。」

そう言って、2人を産湯に入れるために、他の者に渡された。
私は後の処置があるからと、産婆と医師に託された。

産まれる前に避けたらいけないと、少し切られた所を縫われ、後産の処置だ。
産むのに必死でその時はもうぐったりしていた。

全てが終わり、夫である2人が駆け込んできて抱きしめられた。
綺麗な顔が物凄いことになっている。
そんなに心配してくれたんだ。

「アイリ。大丈夫か？苦しく無いか？」
「アイリ、何処も痛みとか無いですか？」

2人の子を産んだのだから、それなりのものはあるが、今はただ幸せなだけだ。
少し微笑んで見せる。
お産で多分、声、掠れてる気がするんだ…

「「ありがとう！！」」

2人からの熱い抱擁。
うん。私頑張ったよ。幸せだ～～

「旦那様。お子様を抱いて差し上げてください。可愛らしい坊っちゃまとお嬢様ですよ」

そう言って、おぼつかない2人に綺麗に産着を着せられ、おくるみに包まれた我が子を抱かさしていた。
壊物を扱うが如く、ビクビクしながらも、我が子を抱きしめる2人。

「可愛い。この髪は僕たちか？瞳は…」

閉じられていた瞼が開き、2人を見つめている。
て、普通う産まれたばかりって目を閉じたままじゃなかったの？
そう思ってたんだけど…獣人の子供は違うのか？

「「アイリの瞳だ。綺麗だ。」」

2人が我が子の頬にキスをする。

「産まれてきてくれてありがとう。アレクシス」
「これからは、家族だフレイヤ。一緒に幸せになろうな」

黒髪の男の子と白銀の女の子。
アレクシスとフレイヤか。ふふふっ…