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遠征という名のお楽しみ

うふふっ

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エド兄様も到着し、父達と訓練内容を確認しているようだ。
訓練場所や、騎士の位置、陣形などだ。
でもな…………

「ラフィ、頼まれたもの」

カイトがそっとやってきて、メモを渡してきた。
内容を確認する。

「あと、これも」

そういって、懐中時計を懐から出してきた。
エル特性のだ……

「エルが作った懐中時計だが、こんな機能もあって……」

懐中時計をかざすと、壁に映像が出てきた。
まるで映画のワンシーンみたいだ。もしくはビデオ撮影画像?

「ちょっと気になる動きだよな……俺ならもっと上手く動く」

明かに……
これ、父様か、エド兄様に見せた方が良いよね………

メモ紙はエル特性バックにしまう。
ここが1番安全だ。

「カイト、父様とエド兄様は、今どこにいるかわかる?」
「南棟だな。行くなら、エルも一緒が良いだろう。防音、遮蔽結界を張ってからの方が良いだろうから」

ちなみに、この私の部屋はエルが結界を張ってるらしい。
密偵とか、暗部とかが入り込んで情報漏れとかしたら、困るものね。
内緒話もしてるしね。

「エル、ちょっと散歩行こう。」
「父君の所へですか?エドリック様の所?」
「父様の所。それから、エド兄様とこも………かな?」

カイトとエルを連れて廊下を進む………
こう言うと、かなりかっこいいんだけど、所詮子供。散歩にしか見えないね。
これは得なのか損なのか………

「これはラフレシア様。お散歩ですか?」
「そうなの。父様の所まで行こうと思って」
「南棟の会議室ですよ。もう少ししたら会議が終わると思います。」
「ふぅ~ん。着いたら、終わるぐらいかもね………」

そう言って、騎士にお礼を言って別れる。

私の足だと、着く頃には会議が終わってるんじゃないかな……
「これは、ラフレシア様。どちらへ?」
「父様の所よ。」
「そうだ、良いものがありますよ」

メイド長に会った。
若いのに凄くキビキビ動いて、周りもよく見ている人だ。
テキパキした指示出しもできて、カッコいい美人さんです。
笑顔もとても素敵なんだ。

ニコニコしながら、お菓子の包みをくれた。
この前は大変お世話になりましたと、料理長からです。
包みを覗くと、クッキーが入っている。
エルが覗き込む。
『食べて、大丈夫』
こそっと教えてくれながら、メイド長には「可愛い形ですね。食べるのがもったいないかも」
何て笑顔で声かけていた。
そっと魔力で毒物混入などがないか確認してくれたんだ。
どんだけチート?

1つ摘んで口に入れる。
ホロホロとした食感と、程よい甘味。
しかも、鳥の形みたいな感じだった。

「美味しい。ありがとうございます。」
ペコリと挨拶して、再度歩き出す。

「ラフィじゃないか。」

エド兄様が私を見つけてそばに来る。
抱き上げられる。

「エド兄様。お元気そうですね。もう会議終わったんですか?」
「あぁ、確認作業だけだったからね。それよりどこ行くの?」
「お父様の所に………そうだ、とっても美味しいお菓子をもらったの。一緒にお茶しませんか?」
「……………」
「エルが大丈夫って言ってますから、大丈夫ですよ。」
エド兄様がエルをチラッとみる。コクコクト頷くエル。
「エルが大丈夫だといい、ラフィがお勧めするなら、ご相伴にならないとね。」

そう言って、一緒に父の元に行く。
勿論、エド兄様は皇太子だから、護衛も執事もついてくるんだけどね……

「父様~、皆んなで来ました。お茶しましょ。」

父の執務室代わりの部屋をノックして皆んなで入って行った。
ふふっ…


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