60 / 60
時は過ぎ
幸せに
しおりを挟む
それからは怒涛の毎日だった。
カイル、グレイス家族の協力のもと、亜希子の婚儀に向けて着々と準備を進める。
亜希子は戦場下で逃げ惑い、この世界に飛ばされて来たと言っていた。
ナディル殿下に助けられ、護られて、愛された。
番として求められたのもあるだろうが……
そして、神の配慮か悪戯か、私との再会。
本来の年齢差とかなりかけ離れ、兄と呼ばれるのはどうか……という状況下になったが、妹をを守るために色々としてやりたい。
自分が使える全てを使って……
今、亜希子は私ととカイルが準備したベールを被り、グレイス達が準備した真白なドレスを着て彼のもとへ歩いている。
綺麗だ。父や母、もう1人の妹にも見せてやりたかった……
見せれない分、自分の目に焼き付けよう……
皇族の挙式に使われる教会の様な建物。
紅い絨毯が敷かれ、外には近衛騎士達が整列し、会場内の祭壇には司祭長が待っている。
会場内は皇帝陛下や皇族方。そして、私とカイル。グレイスの家族が座って見守っている。
勿論、アルフォンスの家族、イザベラの家族も同席だ。身内だからね。
亜希子のいく先には式典用の軍服に身を包んだナディル殿下がいる。
彼の元に向かって歩いていく。
色んな事を思い出し涙が出てくる。亜希子もそんなふうに見える。
彼の手を取り、壇場へ。
祝福の言葉をききながら、誓約を結ぶ。
絶えず愛おしそうに見つめるナディル殿下にベールを持ち上げられ、誓いの口づけ。
鐘の音が響き渡り、キラキラと輝くものが降り注がれた。
神の祝福か………
亜希子、幸せに……心から祝うよ。
色んな事を思い出す。
この世界にやってきて、カイルに翻弄され、愛された。
家族を失ったと思っていたら、亜希子と再会した。
思わず涙がこぼれた……
カイルにそっと抱きしめられ、涙を唇で拭われた。
「アキ……愛している。これからもずっと……一緒に幸せになろう。家族と共に幸せになろう。亜希子達も応援しながら……愛しているよ。」
「カイル…私を見つけてくれて、助けてくれて………ありがとうございます。これからも、よろしくお願いし……」
最後まで言えなかった。
カイルに抱きしめられ、口づけられた。
青空が広がり、鳥が舞う。
亜希子とナディル殿下の婚儀が無事終わり、喝采の中、馬車に乗り込み民衆の前を行く2人。
道端に多くの方々が見守り、手を振り喜んでくれている。
私も、この国の為に何かしよう。カイルを助ける努力をしよう。
亜希子達の幸せを応援しよう。
家族の幸せを護ろう。
そして、カイルと共に幸せになろう………
幸せな日が続き、やがて亜希子に子供ができ、家族が増えた。
庭先に亜希子の子供達が走り回っている。
まだ、小さいが……亜希子に似た子とナディル殿下にに似た子。
可愛い
「アキ?」
「カイル。今までありがとうございます。」
「どうした?」
「いえ、幸せだったなぁ……と思いまして……」
「疲れたのですか?ベットに戻りますか?」
この所、少しのことで直ぐに体調を崩すことが増えた。
年齢的なものもあるのだろう……
ソファーにもたれるように座り、外を眺める。
「亜紀様?」
「亜希子、子供達が呼んでますよ」
庭で遊んでいた亜希子の子供達が亜希子を呼んでいる。花をつんだようだ……
亜希子が子供達のもとにかけていく。
幸せそうでよかった。
幸せだった。 ありがとう………
瞼が重い。身体の力が抜けていく。
…………………
父上、母上。サチ………
3人のもとにかけて行く。
幸せでした。亜希子も幸せそうですよ………
亜希子が子供達から花を受け取り、私の元に持ってきた…………
パタンと胸元に置いていた右手が落ちる……
「兄様………………」
「ア………キ…………」
家族が見守る中、私はこの世を去った。
家族の幸せを、国の幸せを……また現れるだろう異世界からの渡り他人を心配して……
******Fine*******
このお話を読んでくださり、ありがとうございました。
この出会いに感謝いたします。
カイル、グレイス家族の協力のもと、亜希子の婚儀に向けて着々と準備を進める。
亜希子は戦場下で逃げ惑い、この世界に飛ばされて来たと言っていた。
ナディル殿下に助けられ、護られて、愛された。
番として求められたのもあるだろうが……
そして、神の配慮か悪戯か、私との再会。
本来の年齢差とかなりかけ離れ、兄と呼ばれるのはどうか……という状況下になったが、妹をを守るために色々としてやりたい。
自分が使える全てを使って……
今、亜希子は私ととカイルが準備したベールを被り、グレイス達が準備した真白なドレスを着て彼のもとへ歩いている。
綺麗だ。父や母、もう1人の妹にも見せてやりたかった……
見せれない分、自分の目に焼き付けよう……
皇族の挙式に使われる教会の様な建物。
紅い絨毯が敷かれ、外には近衛騎士達が整列し、会場内の祭壇には司祭長が待っている。
会場内は皇帝陛下や皇族方。そして、私とカイル。グレイスの家族が座って見守っている。
勿論、アルフォンスの家族、イザベラの家族も同席だ。身内だからね。
亜希子のいく先には式典用の軍服に身を包んだナディル殿下がいる。
彼の元に向かって歩いていく。
色んな事を思い出し涙が出てくる。亜希子もそんなふうに見える。
彼の手を取り、壇場へ。
祝福の言葉をききながら、誓約を結ぶ。
絶えず愛おしそうに見つめるナディル殿下にベールを持ち上げられ、誓いの口づけ。
鐘の音が響き渡り、キラキラと輝くものが降り注がれた。
神の祝福か………
亜希子、幸せに……心から祝うよ。
色んな事を思い出す。
この世界にやってきて、カイルに翻弄され、愛された。
家族を失ったと思っていたら、亜希子と再会した。
思わず涙がこぼれた……
カイルにそっと抱きしめられ、涙を唇で拭われた。
「アキ……愛している。これからもずっと……一緒に幸せになろう。家族と共に幸せになろう。亜希子達も応援しながら……愛しているよ。」
「カイル…私を見つけてくれて、助けてくれて………ありがとうございます。これからも、よろしくお願いし……」
最後まで言えなかった。
カイルに抱きしめられ、口づけられた。
青空が広がり、鳥が舞う。
亜希子とナディル殿下の婚儀が無事終わり、喝采の中、馬車に乗り込み民衆の前を行く2人。
道端に多くの方々が見守り、手を振り喜んでくれている。
私も、この国の為に何かしよう。カイルを助ける努力をしよう。
亜希子達の幸せを応援しよう。
家族の幸せを護ろう。
そして、カイルと共に幸せになろう………
幸せな日が続き、やがて亜希子に子供ができ、家族が増えた。
庭先に亜希子の子供達が走り回っている。
まだ、小さいが……亜希子に似た子とナディル殿下にに似た子。
可愛い
「アキ?」
「カイル。今までありがとうございます。」
「どうした?」
「いえ、幸せだったなぁ……と思いまして……」
「疲れたのですか?ベットに戻りますか?」
この所、少しのことで直ぐに体調を崩すことが増えた。
年齢的なものもあるのだろう……
ソファーにもたれるように座り、外を眺める。
「亜紀様?」
「亜希子、子供達が呼んでますよ」
庭で遊んでいた亜希子の子供達が亜希子を呼んでいる。花をつんだようだ……
亜希子が子供達のもとにかけていく。
幸せそうでよかった。
幸せだった。 ありがとう………
瞼が重い。身体の力が抜けていく。
…………………
父上、母上。サチ………
3人のもとにかけて行く。
幸せでした。亜希子も幸せそうですよ………
亜希子が子供達から花を受け取り、私の元に持ってきた…………
パタンと胸元に置いていた右手が落ちる……
「兄様………………」
「ア………キ…………」
家族が見守る中、私はこの世を去った。
家族の幸せを、国の幸せを……また現れるだろう異世界からの渡り他人を心配して……
******Fine*******
このお話を読んでくださり、ありがとうございました。
この出会いに感謝いたします。
2
お気に入りに追加
1,598
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(13件)
あなたにおすすめの小説

王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで
深凪雪花
BL
候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。
即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。
しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……?
※★は性描写ありです。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。
cyan
BL
留学中に実家が潰れて家族を失くし、婚約者にも捨てられ、どこにも行く宛てがなく彷徨っていた僕を助けてくれたのは隣国の宰相だった。
家が潰れた僕は平民。彼は宰相様、それなのに僕は恐れ多くも彼に恋をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
モブレ要素があることを記入しておいてほしかったです。
アキは、とても前向きでいいと思いますが、カイルが自己中のダメ男な雰囲気が………_(┐「ε:)_
ちょっとがっかり。
アキ頑張れ!
ご意見ご感想ありがとうございます。
更新ありがとうございます。
ダメダメ執着男wwカイルに対して、アキがこの世界を知ろうと、カイルを知ろうと、健気にも前向きに考え始めましたね〜。
相互理解は大事です!
相手を思い遣りながら、すれ違いをなくす、歩み寄る。
ここから面白くなりますね。
楽しみにしてま〜す♪(๑>◡<๑)
ご意見ご感想ありがとうございます。