番だと言われて囲われました。

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お互いを知ることから……

決めた……

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あの日から、しばらくベットから起き上がれなかった。
カイルとの行為の為もあったかもしれないが、数日熱を出してしまった。

カイルが回復魔法とか言うのをかけてくれたり、魔力を注いでくれていたらしい。

熱は上がり下がりが激しく、本来ならかなり衰弱してもおかしくは無いらしいが……
原因はカイルだろう……だが、結果的に看護・介護してくれていたのだから、そこは……感謝するべきだろう……

熱を出している私を哀しそうに見つめながら世話をしてくれていたのを思い出す。
ボーッとして、感謝の言葉を出すことも、大丈夫だと言うこともできなかった私を世話してくれていた。

自業自得と言うものもいるだろうが……

他者に全て任すわけでもなく、一時側を離れることもあったが、ほぼずっと付いていた。
そこは感謝で評価するべきだろう……

熱が引き、私の側で疲れた表情で眠っているカイル。

君は私の事を愛していると言った。だが、私は男だ。同性だ。
いくらこの世界、異性も同性も関係ないと言われても……まだ受け入れられない。

それに『番』だからとも言っていた。
それはただ単に『番』というだけで、私を見ているわけではないだろう……

わからない……わかりたくもない気持ちが強いのも事実。
だからといって、ここまで疲れながらもそばにいてくれたカイルをただ単に拒否し続けるのも……
私はどうしたらいい……

距離をおきたいと思っても、多分無理だろう。
この前もたいに突然カイルの側に戻される……

男は逃げたものを追いかける習性があると聞く。
私も男だが、今までそこまで思う事は無かったからよくわからないが……

彼の中ではその習性が強いのかもしれない。
なら、逃げる事は私にとっては難しい。
無理に近いだろう。

なら……どうする。
大人しく従っているフリをして隙をついて逃げ出すか!?
お互いの理解を深めて行く……理解できるまではと拒む?
この国の事、この世界の事がわからないからと先に知識を求めさせてもらい、待たす……

これといって良い案は出てこなかった。
「亜希子………幸子……どうしたらいい……」
ふと幼い頃の妹を………別れた時の妹の顔を思い浮かべる。

「兄様……よく相手のことを知らなからって知らない顔をするのは良くないんだよね?」
「兄様、お友達作る時みたいに、よく相手の事をみてお話ししたら良いんでしょ?」
「他の人ともお話して、自分の事も知ってもらうのも大事なんだよね?」
「「逃げないで相手を知って考えて行動したら良いのよね?兄様?」」

昔、妹達が言っていた会話を思い出す。何故そんな話をしたのかは忘れたが、2人の妹はそう聞いてきた。
私は笑って………

「亜希子。幸子。そうだね。私はまだこの世界もカイルの事も良くわかっていない。わからないのに拒否するのは……良くないね。よく見よう。よく聴こう。そして知ろう。その為の時間を貰えるように話ししよう。ただ単に逃げて、拒否するのでなく……逃げて、拒否するからこういう結果になったのかも知れないから……よし決めた。」

眠っているカイルをそのままにし、そっとベットから降りる。
窓辺に近寄り外を見る。カイルが起きたら話をしよう。
流されないように、どう話すか考えておこう。
そう決めた………


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