番だと言われて囲われました。

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いきなり「番い」と言われました

愛おしい

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もう少ししたら目覚めそうだ。
側で世話をしながら、愛しい者の容体を見る。

徐々に瞼を開き目を覚ます。
なにを思ったのか、起き上がろうとしていた。

「ぐっ」

眉間に皺がよっている。
すかさず、身体を支えてやる。

綺麗な瞳だ。まるで黒真珠の様だ。
黒い髪と震える睫毛。
やや黄色みのかかった肌。
男性ではあるが、可愛らしい顔だと思う。

「あぁ、急に起き上がらないほうがいい。君は大怪我をしていたのだから。いくら怪我を治したからといって、多少の痛みはのこる。少し横になって休んだほうがいい。」

そう言ってそっと横たわらさせた。

眼を見張るように見つめられる。
驚愕している様にもみえた。

ここは何処だ
目の前の人は敵か??
私は作戦を失敗して拘束されたのか………だが、この扱いは………

そう、心の声が聞こえる様だ。
なにに怯えているのだろうか。
この国に来た時の情景を思い出す。
何があった!?

かなり心配だったが、まずは気持ちを落ちつかした方が良いだろう。
眠っていたから、喉が渇いているかもしれない。

「君、名前は?目が覚めたなら、水でも飲む?」

ベッドにクッションを敷き詰めて、少しもたれれるように横たわらせた。

身体が強張っているなぁ………

そばの水差しからコップに注ぐ。
魔力で少し冷やすし、声をかけて、コップを渡した。

飲むのを躊躇しているようだ。
握ったコップの水を見つめている。

「ん?どうした?あぁ、毒が入ってると思ったのか?」
一瞬の動揺を見逃さない。
何か勘違いしているのは見て取れるが、面白くない。

少し思案する動作をみせ、コップを取り上げる。
そして、少し飲んで見せた。
安心して欲しいとの気持ちを込めて。

「ね、安全だから飲んで。それとも………」

再度コップを渡そうとするも、なかなか受け取ってもらえない。
自分自身が拒否されている様に感じた。
それは、許さない!!

少しイラついて、少量の水を煽り、顔を近づける。
思わず同様して、固まっている。
ふっ………

表情は弾きつって固まっいたが、少し唇が開いていた。
かなり動揺しているようだ。

すかさず片手で顎を掴まれて、煽った水を流し込む。
もう片方の手で抱き抱えるようにして頭を支え、口移しで飲ました。
初めは抵抗していたが、苦しくったのか、抵抗のが弱まり嚥下した。

クスクスと笑いう。
もう少し飲むかと聞いてみたが、返事がない。

彼の頬が、耳元が真っ赤に染まっている。
赤面したのだろう。可愛すぎる。

我慢の限界だ。
そのまま再度唇を合わせた。
下唇を食み、口の中に舌を入れ、舐め回し、彼の逃げ惑う舌を追いかけ吸いあげる。

息をあげながら、潤んだ瞳がなんとも言えない。
痛みが少し出るだろうに、それでも抵抗しようとして暴れようとする。
あまりの可愛さにさらに抱き込む。離す気は無い。

そっと唇を離して呟く。

「そんなに暴れると痛みが出ますよ。可愛い………」

そう言ってさらに貪る。たまらない。
なんて甘いんだ。

彼は息をあげ、ボーツとしだした。

愛しさがつのる。
そのまま、耳を食み、首筋を舐め………ツキッとした痛みを感じたのか、身体が反応している。
ふふふっ、笑みがこぼれる。
もう、逃がさない。
誰にも触れさせたく無い。
拘束したい。

そう思い、片手で魔力を練り、魔装具を作る。
銀色の鎖。紫の魔石を一部はめ込んだ。

「綺麗な首筋にこれを付けましょう」

そう言って首に巻きつける様に付け、固定と清潔保持を魔力で付けた。
これで外せない。
私には黒っぽい鎖に黒い魔石を
はめた物を付ける。
同じく固定と清潔保持を付加して。
これは番いを守るもの、拘束するもの……

「キツくはないでしょ?これで貴方は私の物です。」

何をいっているんだ??という目で私を見る。
クスクス………

「あぁ、病み上がりの貴方に無理はさせれませんね」

そう言って、彼の目での前に手をかざす。

魔力で眠らせる。
興奮してせっかく治した傷が悪化したら困る。
痛みがなかなか取れないだろう………

「もう少し休んでください。後で起こしに来ますから」

彼の意識が闇に堕ちる…………
額に頬に口づけを落とす。

なぜ…………………??
そう呟いて、落ちていった。

「ようこそ我が国へ。やっと来てくれた。私の……私だけのもの……ふふっ、番いとはこんな感じで愛しさが湧き上がるのですね………初めてです。」

クスクス笑う……

そっと眠りについた者の短い髪にくちづける。

「もう少し、休んでいてくださいね………」

上掛けを掛けてベッドで休ませる。

そっと扉を閉めて部屋を後にした。

部屋に守りの結界を張って……外の護衛にも声かける。

「眠っているので、静かにおねがいしますね」
「「はっ」」
簡単に騎士の礼をとる。

その部屋を後にした。
そうだ、弟に連絡を入れておこう。
いつも心配をかけていたから……喜んでくれるだろう。

これからが、楽しみだ。




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