異世界で囲われた？！

これがいわゆる異世界転移？

何でこうなった？

家族の幸せはいきなり途絶えた。
今まで体験したことのない匂い不気味な地鳴りを感じたと思ったら…

ドーン！！

地震かと思う音と揺れ、そして何処から入って来たのかと思う暇もなく土砂が室内を埋め尽くして…
そこで意識が途絶えた。



何も考える暇も与えられない衝撃。
ん？？？

もうダメだと思う暇も与えられなかったと思ったんだけれど…
何とも言えない香りとじめっとした不快感や圧迫感などが急に消えた。

消えた途端に、何とも言えない香りを感じた。
そう、優しい花の香りだと思う。
母親が好きだった香り。
我が家に一本だけ植っていた…そう、金木犀の香りが…


そう思ってゆっくりと閉じていた瞼を開ける。

「はぁ？なっ、何だ？？」

自分が座り込んでいる場所には、見たこともない白い小さな花々が辺り一面咲き乱れていた。そして、金木犀のような木が向こうに見えた。
そう、この一面の花々が途絶えた先に、湖のようなものが見え、その近くに数本の金木犀のような木々が見えた。

そして、俺の姿は…
あの土砂。あれはテレビなどで見た事のある土石流だと思うんだ。
それに巻き込まれて…衣服が…いゃ、俺自身が泥だらけになっているはずなのだが…
あの時着ていた服は特に汚れておらず、自分の両手も…

ここは天国か？俺は？家族は？
どう考えても助かるとは思えない。
俺は…俺たち家族は…

そんな事を呆然と考えていたら…

向こうに見た事のある服を着た…
思わず駆け出すも、足はもつれて…
でもだ…

何とかかけて行くと…

「うっ…ここは？」

ゆっくりと体を起こすその姿は…

「姉ちゃん！」
「えっ？英二？英二だよね！？ちょっとここ何処よ？みんなは？」

起き上がったのは、姉の沙也加(さやか)だった。