番いになんてなりたくない！(byリリィ)

事件？

ウィル。待ってて！

父上や、兄上達の話から、だいたい想像としていた事とほぼ一致した。
運命の神は、一体どれだけ彼を翻弄するのか…
私に取っては、彼女と思いたい時も多々あるが…

何せ、生まれる前の、そう前世では、お互い同じ日本人ではあったが、性別が今とは逆だった。
双子の兄であるウィルは、前世は女性だ。それも成人女性。
自分は今は女性として生まれてきたが、前世は男子大学生だった。
病気で亡くなったけど……病気になるまでは、すこぶる健康体で、スポーツや、武道も嗜んでいたんだ。
だから、今でも過去経験が物を言うではないが、護身術や多少の剣術なども得意だったりもする。

ウィルは、そう言う事は、今世では頑張っていたが、前世では経験がないと言っていた。
護られる側の女性だったとも言えるんだ。
なのに、ウィルに対して運命の女神は過酷な運命を強いる。

確かにゲーム上では、『ウィルバーン』という登場人物はあくまでモブで、悲劇的なストーリー展開が多かった。
それを避けるように、2人で頑張ってきたんだ。
今の自分達には、これはゲームではなく、あくまで現実なのだから…

クロさんや、シロさん。そして、多くの者達と協力して、国のためにも…

自分自身は、やつに捕まったとは言え、幸せに過ごせている。
鬱陶しいと思うこともあるが……

ウィルだって、クロさんがいるんだから、幸せになっても良いはずだ！！

「リリィ？」
「父上、兄上。私にできる事はありますか？直ぐにでもウィルを迎えに行きたいのですが…」
「リリィの気持ちもわかるけど、君はもう隣国の王妃となる。その君が下手に動き、怪我でもしたら、国際問題にも関わってくるんだよ。理解できるね」
「しかし、ウィルは私の…」
「そう、私達の家族でもある。」
「兄上…」
「君の優秀な彼がいるだろ？彼がついて行くなら、大丈夫だろう。神殿に行くだけなら…特にね」

「そうですね。祈りに行くのなら、大丈夫ですね。神殿ですから」

そう言いながら、家族のみんなと顔をあわす。
よし、行くぞ！

「では、父上、兄上。神殿に祈りに行ってきます。子供を授けてもらえるようにか、国の繁栄を祈ることにでもします」

そう言い、部屋を後にする。
ウィル。待ってて！！