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事件?
さてさて…(ゼネスト)
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ガルディアン大陸に位置する大国、ルゼリア皇国の皇帝エドワード・ルゼリアが治めている国だ。
我妻、愛しい人の祖国であり、彼女の大切な者達が住んでいる場所。
こんな事なら、彼ごと嫁入りさせた方が面倒でなかった……と考えてしまうのは、仕方がないと思う。
妻であるリリアーナことリリィは、双子の兄をとても大切にしていた。
自分の事以上に…という所は気に食わないが…
その彼は、厄介事をよく引き寄せる。
前回も今回も…
彼の番であるものが、もう少し頑張ってくれたら良いのにとも思うが、時折嫌な力が作用するかのようだ…
この国が崇拝する神にも声はかけてきたが…
これは、何とも言えないね。
人とはどうしてこうも強欲なのだろうか…
神と呼ばれる者もそうだが、これは何とも…
建物の屋根から中の様子を窺い知る。
実際にその場から見える訳ではないけれど、ほら、神でもあるからね。
いわゆる神眼ですか、同等以上の力が妨害しない限りは見えるんだよね…
で、リリィの兄であるウィルバーンは……
いた…
目が覚めたばかりなのか、動揺しているように見える。
彼が閉じ込められてるとも言える、白一色に囲まれた部屋。
置かれた家具も、飾られている物もまた白。
側には泉の中央にかの女神像と噴水が見える。
噴水から流れ出た水が泉を伝わり、彼の今いる場所。足元を満たしていく。
両手、両足を鎖で拘束された状態で…
禊ぎを行う場所…といえば聞こえが良いが…
別の角度に、神官であろう者が見えた。
ふむ……
耳を澄ます。
集中して、声を拾う。
「お目覚めですか。殿下」
そう声かけられ、反応してか、ジャラリと鎖の擦れる音がした。
「ここは、闇に堕ちた者を浄化する為の泉ですよ。今の殿下に必要な儀式とも言えるでしょう」
「どういう…」
「殿下はすでにおわかりのはずですが?」
足元の水がどんどんと増えていっている。
「殿下。大丈夫ですよ。全ては我らが神の思し召し。貴方は神に望まれたのです。これは素晴らしい事」
「何を言って…」
なるほどな…
やがてそれは身長を超え、全身が浸かる形となった。
殺しはしないだろう…もう少し様子を見るか…
少しずつ漏れ出て泡となる。
しばらくして、水は徐々に抜かれ、全身水浸し状態でぐったりした表情の彼の者が見てとれた。
ゲホゴホと咳き込むも、拘束されたままなので、身体が倒れ込む事は無く、項垂れている。
「浄化の儀は終わりました。殿下しばしお待ちください」
そう言うと、白装束の男達…そう、神官であろう者達が、鎖を外す前に何かの拘束具であろう装飾品付け、ウィルバーンのつけていた物を剥ぎ取り、白いローブを着せていく。
「何と神々しい。さすがは、神に愛されたお方です。素晴らしい」
側のもののされるがまま、促されるまま自分の意思とは関係なく身体が動かされているようだ。
「さぁ、我らが君。我らのために使わされた聖母となられる方。さぁさぁ…」
姫君のように手を取られ、その場を後にして行った。
集中して見聞きした力を切る。
「不味いですね。少し急ぎましょうか…」
彼女にバレたら怒られるな…
悲しませるのもどうか…
そう考えて、少し行動を起こした…
我妻、愛しい人の祖国であり、彼女の大切な者達が住んでいる場所。
こんな事なら、彼ごと嫁入りさせた方が面倒でなかった……と考えてしまうのは、仕方がないと思う。
妻であるリリアーナことリリィは、双子の兄をとても大切にしていた。
自分の事以上に…という所は気に食わないが…
その彼は、厄介事をよく引き寄せる。
前回も今回も…
彼の番であるものが、もう少し頑張ってくれたら良いのにとも思うが、時折嫌な力が作用するかのようだ…
この国が崇拝する神にも声はかけてきたが…
これは、何とも言えないね。
人とはどうしてこうも強欲なのだろうか…
神と呼ばれる者もそうだが、これは何とも…
建物の屋根から中の様子を窺い知る。
実際にその場から見える訳ではないけれど、ほら、神でもあるからね。
いわゆる神眼ですか、同等以上の力が妨害しない限りは見えるんだよね…
で、リリィの兄であるウィルバーンは……
いた…
目が覚めたばかりなのか、動揺しているように見える。
彼が閉じ込められてるとも言える、白一色に囲まれた部屋。
置かれた家具も、飾られている物もまた白。
側には泉の中央にかの女神像と噴水が見える。
噴水から流れ出た水が泉を伝わり、彼の今いる場所。足元を満たしていく。
両手、両足を鎖で拘束された状態で…
禊ぎを行う場所…といえば聞こえが良いが…
別の角度に、神官であろう者が見えた。
ふむ……
耳を澄ます。
集中して、声を拾う。
「お目覚めですか。殿下」
そう声かけられ、反応してか、ジャラリと鎖の擦れる音がした。
「ここは、闇に堕ちた者を浄化する為の泉ですよ。今の殿下に必要な儀式とも言えるでしょう」
「どういう…」
「殿下はすでにおわかりのはずですが?」
足元の水がどんどんと増えていっている。
「殿下。大丈夫ですよ。全ては我らが神の思し召し。貴方は神に望まれたのです。これは素晴らしい事」
「何を言って…」
なるほどな…
やがてそれは身長を超え、全身が浸かる形となった。
殺しはしないだろう…もう少し様子を見るか…
少しずつ漏れ出て泡となる。
しばらくして、水は徐々に抜かれ、全身水浸し状態でぐったりした表情の彼の者が見てとれた。
ゲホゴホと咳き込むも、拘束されたままなので、身体が倒れ込む事は無く、項垂れている。
「浄化の儀は終わりました。殿下しばしお待ちください」
そう言うと、白装束の男達…そう、神官であろう者達が、鎖を外す前に何かの拘束具であろう装飾品付け、ウィルバーンのつけていた物を剥ぎ取り、白いローブを着せていく。
「何と神々しい。さすがは、神に愛されたお方です。素晴らしい」
側のもののされるがまま、促されるまま自分の意思とは関係なく身体が動かされているようだ。
「さぁ、我らが君。我らのために使わされた聖母となられる方。さぁさぁ…」
姫君のように手を取られ、その場を後にして行った。
集中して見聞きした力を切る。
「不味いですね。少し急ぎましょうか…」
彼女にバレたら怒られるな…
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