番いになんてなりたくない！(byリリィ)

色々と

デートして

「本当にいい街だ。君達が頑張ってきた事がよくわかるよ。」

そう言いながら、手を繋いで街中を歩いていく。
いわゆる恋人つなぎだ。
恥ずかしくて、何度も外そうとするが、上手くいかない。
その上、そんな嬉しい褒め言葉をもらうと、どうしていいのかわからない。

「どうしたの？」

そう覗き込まれ、頬が火照る。
転生前は男だった自分。
今は女の子として人生を歩んでいる。
当初は戸惑いがあり、何度かウィルに注意された。
ウィルは双子の兄だが、同じ転生者。
しかも、転生前は大人の女性。
自分からして、可愛い女性の様に思う時もあるけど、潔い男っぽさもある。

そんな彼と幼少期から頑張ってきたんだ。
ゲームの世界に似たこの世界。
いつもモブとして非運な運命に翻弄されたくないと頑張っているウィルを応援したいし、護りたいと思って。
勿論、国民や家族も護りたかったしね。

父上達の諸事情も、過去のゲームで知っていた。
良いとは言えないけど、仕方ない事もあったと思う。
でも、それでは駄目だとお互いの知識を総動員して頑張ってきた。
協力者もできて、そして、今に至っている。

それを褒められて、嬉しくないはずがない。
ウィルも、今ではクロさんと良い関係になってるみたいだ。
あのまま幸せになってもらいたい。

………

何か引っ掛かるものを感じたが……
もう大丈夫だよね。
きっと……

でも、何かまだイベントが残っていそうな……

「何を考えてるの？」

そう声かけられたと思ったら、いきなり抱きしめられて、唇を奪われた。
いきなりで、どうして良いのかわからず、口腔内に差し込まれた舌が歯列をなぞり、舌を絡めとられ……

「ん………」

怪しく這い回る手に身体が………
ビクンと身体が反応し、さらに抱きこまれる。
これは、まずい……

頑張ってもがきながら、両手で突っ張ってみたが、拘束はさらに強められ抜け出せない。
息が続かず、酸欠になりそうだ……
ぐらっと力が抜けて、身体が揺らぐ。
すかさず支えてくれるも…

「愛しいリリィ。その顔は反則だ。他の者に見せれない。何処かに閉じ込めたくなる」

そう言うと、横抱きにされ空間が……
気がつけば、彼の部屋。客室のベットに転移していた。

えっ……これはどう言う……
あわててみるも身動きが取れない………