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学園生活
そんな事が?(景正)
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あの日、翔のことが気になって、彼の部屋を訪れようと廊下を歩いていた。
すると、翔の部屋から物音がして、慌ててドアをノックした。
多少乱暴にドアをノックしたのを覚えている。
それだけ焦ったんだ。ドンドンドンとドアを叩きノブを回すと鍵が開いていた。
いつもは室内にいる時でも、学生は皆ドアに鍵をかけているし、いつもの翔なら鍵をかけ、ノックしたら開けてくれたはずだった。だが、今日に限って開いている。
不審に思いながら、バンと勢いよくドアを開け、中に入ると、床に座り込むようにしている翔の姿と、側にあった小さなテーブルが倒れていた。
そして、窓が開き、カーテンが揺れている。
翔の側に近づくと、少し息も上がっている。頬も火照り、瞳も潤んでいるようだ。
まるでオメガのヒートのように…だが、オメガ独特のフェロモンの香りはしない。
オメガであってくれたらという自分の願望がそう見せているのか…
いゃ、今はそんな事を考えている場合では…
そう思って、頭を振り、自分を落ち着かせてから慌てて将のそばに駆け寄り身体を起こした。
「翔、大丈夫か?大きな音がして、嫌な予感がしたから…熱でもあるのか?身体が…」
そう言いながら、額をくっつけて熱を測る。
熱を測るだけなのに、こちらがドキドキする。
そんな気持ちを知ってか知らないでか、ボーッとしながら見上げてきた。
「だい…じょう…ぶ…」
「大丈夫なわけないだろ!!」
じっと観察する。余りの色気に一瞬『ごくっ』と息を呑んでしまった。
何という破壊力だ。我慢のバロメーターが振り切れそうだ。
脇と両膝に腕を差し込み、抱き上げ、そのまま寝室のベットに運んだ。
本当にベータなのか?オメガの間違いなんじゃないか?!
「そんな顔で…煽っているのか⁈」
つい、本音が出てしまった。その言葉に反応して、翔が一瞬驚いた。
「えっ…」
「俺がお前の事を好きな事を知ってそんな顔で見つめるのか?お前がオメガであれば、自分のモノにしたいと思っている俺を…」
変な事口走っているのはわかっている。アルファでなく、オメガでもない事も…体調が悪くて部屋で倒れている翔を見つけて心配し、寝室に運んでるだけだと自分に言い聞かせたいが、もう一人の自分が自分のモノにしいと熱望する。熱でうなされてるとうが、今このチャンスを逃しても良いのかと…
「なに…言って…」
「そんな潤んだ目で見上げてきて…ベータであっても…」
ベットに降ろし、その横からギシッとベットが軋む音と同時に上がった。
我慢の限界だ。
翔が微かに震え身構えたのが見てとれた。
貞操の危機…とでも考えているのか?
幼馴染で、仲の良かった自分がそんな思いであったことの衝撃と、今の危機感にどう対応して良いのかわからないという感じか?
だが、そんな姿を瞳に捕らえれば、身体の芯が妙に火照ってしまう。
焦る翔の姿がまた愛しい。
だんだんと顔が近づけ、体の檻で拘束していたはずなのに………
瞬きひとつぐらいの一瞬で、自分の寝室にいる自分自身に驚いた。
どういう事だ??
夢を見ていたのか?
自分の願望がリアルに夢に出たのか?あの温もり、感触が…
夢なら…冷めてほしくはなかった…
疲れているのだろう…
そうして、夢の続きをもう一度見たいと横になり、この夢の事は絶対に翔には言えないと心に誓った。
嫌われ、側に寄せ付けてもらえなくなれば…辛すぎる…
その後も、翔を見かけ接する時、この事がよぎり、しばらくぎこちなかった。だが、友人達との旅行の話が出て、これを期に気持ちを切り替えようと思った。
でも、大丈夫かなぁ…
すると、翔の部屋から物音がして、慌ててドアをノックした。
多少乱暴にドアをノックしたのを覚えている。
それだけ焦ったんだ。ドンドンドンとドアを叩きノブを回すと鍵が開いていた。
いつもは室内にいる時でも、学生は皆ドアに鍵をかけているし、いつもの翔なら鍵をかけ、ノックしたら開けてくれたはずだった。だが、今日に限って開いている。
不審に思いながら、バンと勢いよくドアを開け、中に入ると、床に座り込むようにしている翔の姿と、側にあった小さなテーブルが倒れていた。
そして、窓が開き、カーテンが揺れている。
翔の側に近づくと、少し息も上がっている。頬も火照り、瞳も潤んでいるようだ。
まるでオメガのヒートのように…だが、オメガ独特のフェロモンの香りはしない。
オメガであってくれたらという自分の願望がそう見せているのか…
いゃ、今はそんな事を考えている場合では…
そう思って、頭を振り、自分を落ち着かせてから慌てて将のそばに駆け寄り身体を起こした。
「翔、大丈夫か?大きな音がして、嫌な予感がしたから…熱でもあるのか?身体が…」
そう言いながら、額をくっつけて熱を測る。
熱を測るだけなのに、こちらがドキドキする。
そんな気持ちを知ってか知らないでか、ボーッとしながら見上げてきた。
「だい…じょう…ぶ…」
「大丈夫なわけないだろ!!」
じっと観察する。余りの色気に一瞬『ごくっ』と息を呑んでしまった。
何という破壊力だ。我慢のバロメーターが振り切れそうだ。
脇と両膝に腕を差し込み、抱き上げ、そのまま寝室のベットに運んだ。
本当にベータなのか?オメガの間違いなんじゃないか?!
「そんな顔で…煽っているのか⁈」
つい、本音が出てしまった。その言葉に反応して、翔が一瞬驚いた。
「えっ…」
「俺がお前の事を好きな事を知ってそんな顔で見つめるのか?お前がオメガであれば、自分のモノにしたいと思っている俺を…」
変な事口走っているのはわかっている。アルファでなく、オメガでもない事も…体調が悪くて部屋で倒れている翔を見つけて心配し、寝室に運んでるだけだと自分に言い聞かせたいが、もう一人の自分が自分のモノにしいと熱望する。熱でうなされてるとうが、今このチャンスを逃しても良いのかと…
「なに…言って…」
「そんな潤んだ目で見上げてきて…ベータであっても…」
ベットに降ろし、その横からギシッとベットが軋む音と同時に上がった。
我慢の限界だ。
翔が微かに震え身構えたのが見てとれた。
貞操の危機…とでも考えているのか?
幼馴染で、仲の良かった自分がそんな思いであったことの衝撃と、今の危機感にどう対応して良いのかわからないという感じか?
だが、そんな姿を瞳に捕らえれば、身体の芯が妙に火照ってしまう。
焦る翔の姿がまた愛しい。
だんだんと顔が近づけ、体の檻で拘束していたはずなのに………
瞬きひとつぐらいの一瞬で、自分の寝室にいる自分自身に驚いた。
どういう事だ??
夢を見ていたのか?
自分の願望がリアルに夢に出たのか?あの温もり、感触が…
夢なら…冷めてほしくはなかった…
疲れているのだろう…
そうして、夢の続きをもう一度見たいと横になり、この夢の事は絶対に翔には言えないと心に誓った。
嫌われ、側に寄せ付けてもらえなくなれば…辛すぎる…
その後も、翔を見かけ接する時、この事がよぎり、しばらくぎこちなかった。だが、友人達との旅行の話が出て、これを期に気持ちを切り替えようと思った。
でも、大丈夫かなぁ…
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