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学園生活
やばいです(雅貴)
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「例の件はどうなっていますか?」
執務室で仕事をしながら報告を聞く。
隣国へ嫁ぐはずのあの男は、厳重に警護していたあの部屋から逃亡した。
それなりの騎士を配置していたはずだが、ほんのわずかな時間でその部屋入り口付近は悲惨なことになっていた。
大体さっさと刑を執行し、嫁がせておけば、こんな面倒なことにならなかったはずなのに…
隣国のあの男が自分の目の前で愛しい者をオメガ落ちさせて、そのまま愛でたいなどとぬかすから!!
「おいおい、イライラするのはわかるけどさ、起こってしまったことは仕方ないだろ。腹がたつけどさ。あの部屋は自国で警護すると、あの男が自慢の騎士達を配置してたんだろ?」
「あぁ、二日後には自国に連れていくからと、自分で選んだ優秀な騎士達だとかほざいていたが、この始末だ。まぁ、こちらからも、もしものために騎士団から数人配置させていたはずだよな?」
チラッと目の前の男に問いただす。
相変わらずヘラヘラしていてよく分かり難いが、この男はかなりの曲者だ。
それなりの理由から、計画を立てて今回の事が起こったのであろうが…まぁ、予想以上に暴れられ逃したと言うことか?
「まぁ、そうなんだけどよ。多少、重症の者もいたと思うが、死亡者はいなかったんだし、それに、まさかあの男が繋がってると思わないじゃないか。追跡はさせてるからもう報告が来ると思うんだが…」
顎をさすりながら、意地の悪いやや挑戦的な笑顔を見せる。そう、友人でありこの国を守る騎士団のトップである鬼道院 一雅がだ。側には副官である上月 遼が素知らぬ顔をして控えていた。
「皇族でもあるあの男が犯罪に手を染めていた事もですが、まさかあの妖の男と繋がっているとは…なんとも言えませんね」
すましてそう答える上月。だがその目は…
何か情報を得ていたのだろう。
もしかしたら、これを機にあの男も捕らえることが出来るかもしれない…みたいな感じか?
「とにかく、直ぐに捕らえて隣国に送る必要がある。まぁ、向こうも何か考えているような素振りが見え隠れしているが」
報告書と今後の計画書を確認し、机の上に戻した。
逃げた事に対して、向こうの騎士から隣国に報告がいっているだろうが、それに関しては特にこちらには何もいってこなかった。そのあたりも何やらキナ臭い。
影の者達からも色々と情報は入ってくる。その中の一つに、あの男が密かに身分を偽ってこの国に入ってきているという情報が入った。
逃げる者を自分で捕らえて、捕食するのが楽しいとか言っていたが(狩の時の話だったが…)何せ逃げる者を追いかけて、捕らえて遊ぶ事を好む困った性格だ。しかも…考えたくないなぁ…
「その件は随時報告。法に引っかからない程度ならある程度は許可する」
「了解」
2人が話は終わったと部屋から出ようとしたところで声をかける。
「そうだ、今度皇室主催の宴がある。そこの警備に周囲警護として第二騎士団を配置してもらいたい。第一騎士団は通常道理。第二の一部は潜入で頼む」
「第二がいるほどか?」
「あぁ、今回の宴には私の大切な者も参加する。勿論、私が側にいるつもりだが、役職として側に居られないこともあるかもしれない。他の者に触れさせる気はないが、その時あの男も来るかもしれない。あれだけ執着を見せたのだから」
考え、思い出すだけで苛立ちを覚える。
外は暗雲が立ち込め、嵐のように激しい雨が降り出した。
執務室で仕事をしながら報告を聞く。
隣国へ嫁ぐはずのあの男は、厳重に警護していたあの部屋から逃亡した。
それなりの騎士を配置していたはずだが、ほんのわずかな時間でその部屋入り口付近は悲惨なことになっていた。
大体さっさと刑を執行し、嫁がせておけば、こんな面倒なことにならなかったはずなのに…
隣国のあの男が自分の目の前で愛しい者をオメガ落ちさせて、そのまま愛でたいなどとぬかすから!!
「おいおい、イライラするのはわかるけどさ、起こってしまったことは仕方ないだろ。腹がたつけどさ。あの部屋は自国で警護すると、あの男が自慢の騎士達を配置してたんだろ?」
「あぁ、二日後には自国に連れていくからと、自分で選んだ優秀な騎士達だとかほざいていたが、この始末だ。まぁ、こちらからも、もしものために騎士団から数人配置させていたはずだよな?」
チラッと目の前の男に問いただす。
相変わらずヘラヘラしていてよく分かり難いが、この男はかなりの曲者だ。
それなりの理由から、計画を立てて今回の事が起こったのであろうが…まぁ、予想以上に暴れられ逃したと言うことか?
「まぁ、そうなんだけどよ。多少、重症の者もいたと思うが、死亡者はいなかったんだし、それに、まさかあの男が繋がってると思わないじゃないか。追跡はさせてるからもう報告が来ると思うんだが…」
顎をさすりながら、意地の悪いやや挑戦的な笑顔を見せる。そう、友人でありこの国を守る騎士団のトップである鬼道院 一雅がだ。側には副官である上月 遼が素知らぬ顔をして控えていた。
「皇族でもあるあの男が犯罪に手を染めていた事もですが、まさかあの妖の男と繋がっているとは…なんとも言えませんね」
すましてそう答える上月。だがその目は…
何か情報を得ていたのだろう。
もしかしたら、これを機にあの男も捕らえることが出来るかもしれない…みたいな感じか?
「とにかく、直ぐに捕らえて隣国に送る必要がある。まぁ、向こうも何か考えているような素振りが見え隠れしているが」
報告書と今後の計画書を確認し、机の上に戻した。
逃げた事に対して、向こうの騎士から隣国に報告がいっているだろうが、それに関しては特にこちらには何もいってこなかった。そのあたりも何やらキナ臭い。
影の者達からも色々と情報は入ってくる。その中の一つに、あの男が密かに身分を偽ってこの国に入ってきているという情報が入った。
逃げる者を自分で捕らえて、捕食するのが楽しいとか言っていたが(狩の時の話だったが…)何せ逃げる者を追いかけて、捕らえて遊ぶ事を好む困った性格だ。しかも…考えたくないなぁ…
「その件は随時報告。法に引っかからない程度ならある程度は許可する」
「了解」
2人が話は終わったと部屋から出ようとしたところで声をかける。
「そうだ、今度皇室主催の宴がある。そこの警備に周囲警護として第二騎士団を配置してもらいたい。第一騎士団は通常道理。第二の一部は潜入で頼む」
「第二がいるほどか?」
「あぁ、今回の宴には私の大切な者も参加する。勿論、私が側にいるつもりだが、役職として側に居られないこともあるかもしれない。他の者に触れさせる気はないが、その時あの男も来るかもしれない。あれだけ執着を見せたのだから」
考え、思い出すだけで苛立ちを覚える。
外は暗雲が立ち込め、嵐のように激しい雨が降り出した。
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