オメガ転生。

学園生活

やばいです

「玲奈？」
「いぇ、何でもないです。そう、何でもないの」

ますます表情が暗くなる。
無理やり笑おうとするその表情が痛々しい。

「何でもない訳ないだろ？そんな辛そうな表情で…」
「いいえ、本当に大丈夫です。ほんの少し行き違いが…あるだけで…」

可愛らしい瞳に涙が溢れ出していた。
玲奈には、好きな人でもいたのだろうか？
あまり浮いた話は聞こえてこない。
あの時、色んな男性などから声をかけられ、ダンスを申し込まれたりもしていた。
だって、そう言う場所だったから…

年齢的にも釣り合う男女を引き合わせての、出会いの場でもあったのだから…
もしかしたら、あの場かそれ以外で良い人に出会えたけれど、何らかのトラブルでも巻き込まれたか？

「玲奈。僕たち兄妹じゃないか。隠し事せずに教えて？協力できる事はするから」
「ありがとう。でもね、本当にそんなに大したことではないの。付き合って欲しいとは言われて、初めは友人からと思ったのよ。でも…」
「誰かは知らないけど、好きになったのかい？」

しばらく考え込んで、コクッと頷いた。
そうか、玲奈にも好きな人ができたんだ。誰かはわからないけど、良い事だ。

「でも、その方も、私の友人の婚約者の方も何故か例の転校生姉妹の事が好きになってしまったみたいで…私の事は良いのよ。まだ婚約しているわけでもないし…でも、友人も可哀想ですし、私自身も至らなかったのでしょうが…」

またあの女生徒関連なのか？
もう一人が転入してきて、少しは落ち着いてきたとの噂もあったのに…

「前の彼女の時みたいに、自分からは行ってないの。どちらかと言うと男子生徒や先生から…」
「えっ？先生もなの？」
「数人に囲まれて食事をしたり、散歩をしたりって感じで…だから、翔は近づかないでね。翔まで彼女達に…なって、私の事を…」
「あり得ないよ。玲奈にそんな事。絶対に！」

そう言って抱きしめた。
子供の時は、どちらかと言うと玲奈の方が大きかったが、今では男女差もあり、僕の方が…

玲奈に胸を貸し、そっと抱きしめた。